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内向型は「静かな人」ではなく「静かな時間を求める人」

内向型カウンセラーの井上ゆかりです。

『元々は内向的な性格だったのですが、変わったおかげで今は楽しく毎日を送っています』

嬉しそうに話す声がテレビから聞こえて、複雑な思いがしたのを今でも覚えています。
なぜなら、「内向型は直すべき欠点で、内向的は自分を変えないと幸せになれない」と言っているかのように聞こえたからです。

内向型であることは、良くないことなのでしょうか?
自分に自信を持つには、性格を直さないといけないのでしょうか?


 
内向型である本人も周りの人も、「内向的な人=消極的な人」「内向型=欠点」「内向型=直すべき性格」とネガティブに捉えている人が少なくありません。

「内向型だから恋愛や結婚はうまくいかない」「内向型には接客や営業の仕事は向いていないですよね」と思い込んでしまっている人もいます。そして、自分はだめなんだ、変わらないと、と悩む人にもたくさんお会いしました。

私自身も、「私には何もできない」「みんなみたいにもっと積極的にならないと 」ずっと自分に自信がありませんでした。そして、30歳を過ぎて初めて自分が内向型であることを知ってもなお、コンプレックスを感じていました。
でも、自分の性格を変えようと無理してがんばってもうまくいかず、むしろ自己肯定感が下がるばかり。
そこから少しずつ、「内向型は自分と切り離せないものなのだ」といい意味で諦めて自分の内向性を受け入れられるようになっていきました。



そもそも、内向型とはどういう人のことを指すのでしょうか?

「内向型」というと、無口な人・内気な人・コミュ障、といったイメージを浮かべる人が多いと思います。また、「内向型=静かな人」というイメージが強いかもしれません。

私はこれまで自分と向き合い、内向型について学びを深めながら、約1万人の内向型の方と関わってきました。

実は、同じ内向型気質の人でも、話すことが好きな人も、普段 は人見知りでも仲のいい友人となら話がつきない人もいます。初対面の人と話したり、 大勢の前で話したりするのが苦手なだけで、社交的で明るい内向型もいます。

つまり、内向型は「静かな人」とは限りません。

私は、内向型は「静かな人」ではなく「静かな時間を求める人」だと考えています。



内向型と外向型の違いは「求めている時間の使い方」であり、本来、どちらがいい、悪いという順位はありません。
辛党の人と甘党の人がいたときに「辛いものを食べられる人のほうがすごい」とはなりませんよね。辛いものが好き、甘いものが好き。それ以上でもそれ以下でもありません。内向型と外向型も同じです。

それなのに、内向型が生きづらさや自信のなさを感じるのは、「外向型であることがいいことである」という社会の価値観の中に生きているからです。

学校では「元気で明るく」「みんなと仲よく」。会社では「積極的に」「考える前に行動しよう」。学校、家庭、友だち、会社......長い間、「外向的になるべき」「外向型の方が優れている」という価値観の環境にずっといたら、「今の自分じゃダメなんだ」と感じるようになるのも仕方ありません。

環境のせいであって、内向型のあなたのせいでもなければ、能力が劣っているわけでもないんです。

内向型にとって苦手なことや難しく感じることは、確かにあります。でもそれと同じくらい、それ以上に、内向型だからこその魅力や強みもたくさんあります。

 

2023年の夏に痛烈に感じた、内向型の自分が嫌いになって、内向型の自分にやさしくなれた瞬間たち。そして、絶望感。

2018年に内向型をサポートする活動を始めた私(当時の肩書は内向型コンサルタント)は、勝手に何かを成し遂げた気になっていました。

(詳しくは、記事後半「『私らしさ』と『アイデンティティ』について」)


でも、大きな大きな勘違いをしていました。
私が過去にやってきたことは、1%も結果を出せていない。1%も社会に影響を与えられていない。
そのことをまざまざと思い知らされました。

今回プログラムで関わった人たちの中で、「内向型」の意味を知っている人は決して多くありません。初めて聞いた人もいるかもしれないし、単純にネガティブな意味として捉えている人もいるかもしれない。
いずれにしても、内向型という気質を知識としてきちんと知って受け入れる機会や環境があったなら、もっと早い段階でモヤモヤから解放されて自分らしさを開花できたかもしれない。外向型と内向型の相互理解を土台に、よりよい場所がもっと生まれたかもしれない。
そんな思いがどんどん強くなっていって、私は今まで何をやってたんだろうと、呆然としました。


内向型の意味を再定義して、内向型に対する偏った負のイメージを変えたい。そして、「内向型は直すべき欠点である」というイメージを払拭したい。

そう強く思った私は、生きづらさを感じている内向型の方の一生涯の人生の指針になるような本を作りたくて、帰国後にさっそく本の企画書づくりに挑戦。出版社さまと何度も話し合いを重ねながら、約半年間にわたり準備を進めてきました。

内向型に関する本のほとんどが、海外で出版されたものの翻訳本。私もそれらを読んで参考になったのですが、国による慣習の違いによって自分ごとに落とし込みづらい事例が並べられていたり、翻訳本独特の言い回しが難しく感じた経験があります。

そこで、「読みやすい、わかりやすい、すぐに実践できる」内向型の資質と活かし方を書いた入門書的な本をつくりたくて、本を書きました。

そして、出版社の担当編集者さまをはじめ各所にお力を借りながら、『世界一やさしい内向型の教科書』を刊行する運びとなりました。

・質問にすぐ答えられなくて焦ってしまう
・大人数の場が苦手
・誰かと会った後は『ああ言えばよかった』と後悔ばかり
・予定外のことが起きるとすぐ余裕がなくなる

「みんなみたいにできない自分はダメだ」「私には何もない」と自信をなくしているすべての人に本書を読んでいただきたいです。

自分らしさを取り戻して、内向型を活かす生き方を叶える人が増えますように。



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読書と手帳が好きなので、本や文具の購入に使わせていただきます♡