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初めてWorkshopをプロデュースした話。 Report:Maria de los Angeles Pais WS

開催から1ヶ月ばかり時間が経ってしまいましたが、3月上旬に日の出町団地スタジオにて開催したMaria de los Angeles Paisワークショップについてレポートします。平成最後に間に合ったー。
私にとって、初めてのWorkshop企画。Noteデビュー記事としては熱いネタです。

Mariaとは、2017.08~2018.03にて神戸の下町 新長田にあるArtTheater dB 神戸を拠点に、NPO法人DANCE BOXが主催する「国内ダンス留学@神戸 6期」にて出会いました。
同じメンバーとして日々のダンストレーニング時はもちろん、下町での日常生活でも同じ時間を様々な人達と過ごしていく中で共有したダンス感があります。
日々目にする景色、五感で浴びる四季の変化、商店街で流れるBGM、すれ違う町の人達。
些細なことから大きな出来事までカラダと繋がり、それだけでダンスになる瞬間が日々溢れていた8ヶ月間でした。
そんな密な時間を一緒に過ごしてきたMariaとだから、新しい出会いの場をワークショップを通じて創りたいと思いました。
今、自分の考えるダンスへの問いにも繋がっているので、少しばかり長いですがお付き合いくださいませ。

【企画編】

1)やってみたかったこと、 開催場所を選んだ理由

お堅く書くと・・今回の開催目的。
カラダの記憶”共有 -share-”する価値を伝える
・日常的に起きているカラダのアート力を知ってもらう、使ってもらう

私たちが考える生活すること・旅することとダンスが隣り合わせにあるとするならば、わざわざワークショップという場を設けなくても良いものだが、実際ヒトの数だけその実体験=実体感があるわけで。それを共有する場がなかなか無い。
様々な実体感、私なりに綺麗に言い換えると「カラダの記憶」を同じ時間で"共有"することで、より豊かなものに変化する。また掛け合わされた新しい「カラダの記憶」として更新されていくことで、より日常の中で起きている実体感が頻繁にカラダと繋がるようになっていくのではないかと。
それがパブリックスペースやソーシャルコミュニティの中で起きていること、起こせること、これらはカラダのアートの力が創っていると考えるとしよう。
でもそれを気づいている人、使っていると体感している人はどれだけいるだろうか。
普段ダンスとの関わりが多くない人にもこの力は絶対的にある。
だからInstagramにも綺麗な写真や動画をあげるし、Twitterにも今日の声をあげる。

開催場所を選んだ理由・・・
・日の出町団地スタジオに集まる方々が
非常にMariaのワークショップでやりたい内容と相性が良いように感じたから
・日の出町団地スタジオが共催という形で、関わっていただけることが集客でも情報拡散する上でも、効果的だったため

もともと、日の出町団地スタジオ主催の永井美里さん・上本竜平さんとも交流があり、ワークショップが頻繁に開催されていることも知っていて、相談させてもらった。
はじめは場所だけレンタルすることも考えたが、北千住に引越してきた去年の4月頃に初めて当スタジオを訪ねた時に出会った人たちを思い出してみた。普段ダンスをばりばりやっているわけではないがカラダと丁寧に向き合う人たちが集う場所だった印象。
この条件はMariaのワークにぴったりすぎる。お願いするほかないと思い、この場所を選んだ。
結果的にも日の出町団地スタジオからの情報発信できてくれた参加者が多く、この選択は大成功だった。

2)ワークショップ内容を公開、言葉に落とし込むまで

noteを書いているのにこんなことを呟くのも何だが・・
私はとにかく語彙力がない。というか、日本語力がない。
自分のこれまでの人生はまた別の機会に触れるとして・・
本題へ戻る。

美里さんにもリードしてもらいながら、まずワークショプ内容を公開するまでに詰めていったこと。

◎ ワークショップの日程、形式を設定(同じ内容を1日1コマ?2コマ?、発展させた内容も取り入れてA/Bで段階にする?)
◎ ワークショップでフォーカスする内容を公開用へトピックに落とし込む

ワークショップ日程は、平日・休日どちらも選択できるように。かつ連続受講でも繋げやすいように金曜日・土曜日に設定。
日程設定したことから形式も決めやすく、A・Bコマでの実施を設定。

**・金曜日 夜19:00~ ワークショップA
・土曜日 昼13:00~ ワークショップA+B **

形式を設定した後、Mariaに依頼して今回のワークショップの詳細を送ってもらった。
予想はしていたけども、これまた結構抽象的な言葉が並ぶ・・。

" ヤバい。これだと誰もワークショップの内容も分からなければ、来てもらうのにハードル上がる。"
しかも "Site-specific(サイト・スペシフィック)"やるって。
ここ新長田じゃないし。どこも許可取れないし。日ノ出町団地は絶対NGだし。

ここから始まった私の言葉と条件との戦場。
Mariaの実施したい内容・目指したいこと・参加者へ伝えたいメッセージは消さないように、少しでも興味を持ってもらいやすい身近な言葉に変換していく。
Site-specific(サイト・スペシフィック)は、苦情がないように広い荒川の土手を選択。
最終的に出来上がったワークショップ内容の公開ページがこちら。
* サポートしてくださった美里さんにはSpecial Thanksです。

実際には同じ内容でFacebookイベントページも作成し、各種グループなどにも投稿。
結果的には公開されていた内容を読んで興味を持ってきてくれた参加者が大半で、ワークショップ集客は言葉が決めるといっても過言ではない。
なかなか得意になれないが・・言葉に落とし込む旅は、これからも味わっていきたい。

【開催編】

3)ついにワークショップ開催!

3-1. Experience 体験:「カラダが持つ創造力を見つける」

2日間のワークショップ内で特に強く印象に残っている点をピックアップしてレポートする。

お互いの自己紹介からスタートしたワークショップ。
まずMariaから参加者へ質問。

「日常の中で行動 "Action" と考えや感情 "mind or feeling"はどのくらいカラダと繋がっていると感じていますか?回答はパーセンテージで良いですよ」

普段からよくダンスをしている方は50%以上の回答が多かった。
そうでない方は50%以下、人によっては平日は50%以下だが、土日は高くなるという回答も。
Mariaの考えとしては100%だという。むしろカラダは考えや感情そのものだと。
私たちは当たり前に日頃から服を着て生活しているから、前や後ろ、上半身と下半身などの割れ目が自然と定められてしまっている。
でもカラダ自体は1枚の皮膚の服を着ているのと同じ。カラダ全身に感情は繋がっていることに気づく。

体感してもらうためのワークとして、”ただ手を上げて下ろす”を2パターンでやってみる。

①ポジティブワードを使いながらやってみる
②ネガティブワードを使いながらやってみる

ポジティブの時の方が自然と動きが早く活発。
参加者のカラダの反応がかなり良くて驚く。空間に出てみてからなんてこの笑顔^^ 全員でやるから余計なのかもしれない。

行動 "Action" と感情 "Feeling"にフォーカスしてみる
喜び・楽しみ(Plesure)と恐怖・不安(Fear)には流れやすい方向があるとMaria。

カラダと顔との関係性にもあると話す。
顔の表情も普段は相手のことを考えて、動こうとしているものを止めていることも少なくはない。
でも実際、カラダ自体は素直に感情に紐づいて相手との距離をとっていたり、もっと近づきたいと動いたり。身近なところからシチュレーションを掘り返してみると意外と多いと気づく。


ダンサーにおいては、この行動 "Action" と感情 "Feeling"の方向性は ”観客とつながる”ヒントになると。

”As all of Artist we have access to unmanifest things in the world.”
アーティストは世界の不明確なことへのアクセスする方法を持っている。

いわゆるアーティストがもつ”自由な創造力”はどんな人の中にも秘めていて、それに気づいてみることが難しいだけ。
ワークを通して、体感で気づいて、Bワークでは実践で経験してみようと改めてゴールを参加者と共有した。

声 ”Voice”とカラダ "BODY"のつながりにフォーカスしてみる
ダンスをするのにはもちろん、カラダのことを見つめるのにとてもよい栄養素があるという。
そこで持ち出したのが "解剖学 Anatomy"
細かい名前を覚えてほしいのではなく、どんな機能がカラダの中にあって、どのように繋がっているかを知るだけで、カラダとの距離感がより近くなると。

そこの中で特にフォーカスを当てたのが、声 ”Voice”とカラダ "BODY"のつながり
声を出す時に自然と使っている肺。
肺とカラダ全身のつながりについて探ってみる。
まずはMariaが作ってきた声とカラダ(Feelingも含めて)を繫げる譜面をもとに参加者全員でやってみる。

これはやってみての感想、ネイティブの言語によってカラダに起きる事象は違うように感じた。
むしろはじめは初めての音だらけで肺が驚いていたような。笑

そこからは譜面も参考にしながら、参加者の好きな音でとにかくカラダを動かしてみる。

音を創り出す時に動いている肺がリードしているのか、肺が音を先行して動きを創り出しているのか、境界線がなくなるところまで自由に動き続ける時間で参加者の表情も自然にすごく色々変化していて、これがダンスのもつ強い力なんだと。観ていた自分の肺も熱くなっていった。

A最後のワークとして、全員椅子を一列に並べて壁に向かって座る。

今の感覚(feeling/mind)を捉えながら、声を出しながら立ち上がり、壁の先を突き抜ける、というタスク。
総まとめのこれが結構難しい。
Mariaのアドバイスとしてはあまり緊張しすぎないこと。
自分のペースで声から生まれるカラダの振動で全部を運ぶ。
結局、両日とも2回以上はやり直してスッキリするところまで最後身体をまとめ切った。

3-2. Action 実行:「場所と人から創造するカラダ」

2日目のみの開催になった野外ワーク。
私のお気に入りスポット荒川へ参加者皆さんと大移動。
前半のワーク後だからか少し疲れた様子も見えつつも、移動中にも街の中にある様々な少し気になる画や瞬間を捉えている参加者さんたち。
これもワークの成果なのかなと・・Mariaと雑談。

荒川の河川敷はとにかく広い。
河川敷にいる人たちも、
読書を楽しんでいるカップル
遊具で遊ぶ親子、
野球の試合をしているおじさん達、
自転車・ランニングで行き交う人達、など
同じ時間・場所でこんなにも違う目的で様々な人が集まっている。それだけでものすごく豊かな感じ。

ペアワーク:相手に絵を見せる

ペアになって1人は目を瞑り、1人は相手に見せてあげたい絵を探して手でフレームを作り相手に見せてあげる。
広い範囲でも限定した範囲でも、すべて自由。

自分自身もMariaと実践。
目を開けた時にはフレームとして浮き上がるので、自分が写真を撮っているような感覚になる。
SNSのストーリーなどで流れてくる"この絵どこで撮ったのかすごい!"と感じる時と似ている。
自分が相手に見せてあげる時は、自分が投稿するみたいな感覚。
意外と現代人はロマンチストで芸術性にたけているのかもと感じた瞬間だった。

今日の作品を描いてみる
Mariaから参加者全員に太めなチョークをそれぞれ手渡される。
はじめMariaのアイディアとしては、枠を実際に書いてからスタートしたいとのことだったが、さすがにパブリックなスペースで書けるような場所はなかったため、急遽 チョークを使うのは、”なんでも良しに"に変更。

これまでのワークで共有してきたことを踏まえて、自分たちの作品を作ってみる、まとめのワークだ。

自分たちのクリエーションタイムが始まってから、皆それぞれの過ごし方で作品を創り上げる。
ずっとカラダと探り合っている人、
周りの景色を眺め続ける人、
ただ歩いて空間を馴染ませている人、など様々な過程を踏みながら作品と向き合っていた。

作品シェアする時間
一人ずつそれぞれが創り上げた作品を他の参加者とシェアしていく。
それはそれは驚きの連続!!
終わる頃にはMariaも感動の涙目。

広い荒川の河川敷で、全員選ぶ作品の場は全然違い、時間の刻み方も違う。
渡されたチョークも全員全く違う使い方をしていた。
空間自体を作り上げる道具にしているもの、音として利用するもの、カラダと一体化して利用するもの、意味性が強い小道具として利用するもの
共通して言えることは、どの使い方も作品の中でかなりキーになっていたということ。
チョークの色のように作品を鮮やかにしていた。
急遽の選択も捨てたもんじゃない。

素敵な写真が沢山撮れたので、みなさんの許可も得て公開。

最後は特別良い写真が撮れました!

4)ワークショップを終えて

4-1. 参加者からの感想

[ワークを始める前は、日常で生まれる行動・考え・感情に反してカラダはコントロールしているので繋がっていないと感じていたが、案外小さな変化は全体で起っていたことに気づいた。カラダ全体がとても賢い脳みそなのかも。]

[野外ワークするときにはなんだかもう疲れてしまってて。笑
でも自分の心地よい空間を作ろうとしたら、それが知らぬ間に作品になってました。自分の初めての作品がこんな形でできるとは思いませんでした。笑]

[これまで気付けていなかったカラダの変化と向き合うことができて、もっと長く過ごしたかったと感じました。]

一部だけの紹介ですが、全部とても嬉しい感想。
(Mariaからのお土産に戯れる皆さん^^)

Mariaとワークショップ開始時から目指していたゴールは達成できたかな?
シンプルなワークからの参加者のカラダの変化に私も客観的に見ていても驚くことが多く、非常に収穫の多い2日間となりました。

ご参加いただきました皆さま、またご協力いただきました皆さま、
本当にありがとうございました!!

4-2. Mariaと私, ビール片手に振り返る

2日間を終えて、Mariaとワークショプ全体を振り返る。
企画の段階ではかなりざっくりとしていた内容も時間・実施内容の枠組みを決めて、Mariaに手渡したことで、Maria自身もかなり内容を絞り込んで構成を組んだという。
驚いていた点として、今回参加者の男女比がなんとほぼ同じ。
多くの場合は女性の方が多く、Mariaもこれまでのワークショップでもこの比率は初めてだという。

今回をきっかけにMariaはすぐに次の機会の話を始めた。
来日できた時にはもちろん実施したいけど、オンラインなどでも共有する機会って作れないのだろうかと。
言語の壁はあるかもしれないが、ビデオチャットやYouTubeなどでヴィジュアル化して身体に寄り添う時間って作れるのかと。
ビデオチャットやYouTubeってもうすでにありそうだし、差別化するために今回の経験を活かしてコンセプトをつけるとしたら・・

・「どこでも誰でも作品になれる!」
パフォーミングアーツ体験ができるサービス

なんじゃこりゃ。笑
文字に起こしてみるとまだまだ笑える。
長期戦で作戦会議しようとMariaと約束。地球の反対側にいる彼女ともう少し今回の経験を活かした新しい取り組みを練っていこうと思います・・!

最後に・・・

はじめてワークショップをオーガナイズしてみて、アーティスト視点って今回のような体験から得られることが非常に多いなと痛感していく。
経験・体験を主観的・客観的、どちらの方面からもみてみる。
これってかなり作品創りで使う神経と似ている。
もっとたくさんの人と出会って共有する機会を味わっていきたい。それをまた色んな人にも伝えていきたい。

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踊る広報こと柴田菜々子さん率いる踊る銭湯PJ **とコンテンポラリーダンスの「踊る場を創る」ためにみんなが踊れる劇場 **セッションハウスを設立した伊藤直子さんがタッグを組んだ企画です。
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