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【短編小説】アジャイル卒業式 第ニ話「変わるもの変わらないもの」

企画会議の日が近づくにつれ、美咲の心は不安と期待で満たされていました。彼女は、自分の提案が卒業式、そして生徒たちの未来にどのような影響を与えるかを深く考えていました。

ある夜、美咲はかつての高校の先生、田中先生に相談するために、彼の自宅を訪れました。田中先生は美咲が高校時代に尊敬していた教師で、いつも彼女を励ましてくれていました。

「先生、私、卒業式の企画委員になったんです。でも、自分のアイデアに自信が持てなくて...」

美咲は田中先生に自分の不安を打ち明けました。
田中先生は優しく微笑みながら言いました。

「美咲さん、あなたはいつも新しいことに挑戦する勇気がありました。自分のアイデアを信じて、前に進んでください。」

美咲は田中先生の言葉に勇気づけられ、新しい挑戦に対する自信を少しずつ取り戻しました。

「ありがとうございます、先生。私、自分の提案を信じてみます。」

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美咲が高校生だった頃、田中先生は彼女のクラスの担任でした。ある日、美咲は学校のプロジェクトでリーダーを任され、不安でいっぱいでした。
彼女は、目立つことを避け、他人の影に隠れることを選んでいたからです。田中先生は美咲の様子に気づき、彼女を呼び出しました。

「美咲さん、あなたには潜在能力があります。リーダーとして、自分の力を試してみませんか?」

美咲は不安そうに答えました。

「でも、先生、私にそんなことができるのかしら...」

田中先生は優しく励ました。

「大丈夫です。失敗を恐れずに挑戦することが大切です。あなたならできますよ。」

その言葉に勇気づけられ、美咲はプロジェクトのリーダーとして一歩を踏み出しました。結果として、プロジェクトは成功し、美咲は自分の中に眠っていたリーダーシップの才能を発見しました。

この経験は、美咲にとって大きな自信となり、彼女の人生において重要な転機となりました。田中先生の励ましは、彼女が新しい挑戦に向かう勇気を持つきっかけとなったのです。

◻︎◻︎◻︎

企画会議の前夜、美咲は自宅のデスクに座り、卒業式の企画案について深く考え込んでいました。彼女のデスクには、ノートパソコンが開かれ、その画面には卒業式のアイデアとスケッチが並んでいました。

彼女は、自分なりの革新的なアイデアをどのように卒業式に取り入れるか、どうすれば生徒や保護者の声を効果的に反映させることができるかを熱心に考えていました。美咲の頭の中では、様々なアイデアが渦巻いていました。

「もし、生徒たちが自分たちのセクションを持って、自由に表現する時間があったら...」

彼女は考えを巡らせました。また、保護者や教員からのフィードバックをどのように取り入れるかについても、具体的な方法を模索していました。

美咲は、これまでの卒業式とは異なる、より参加型で革新的な卒業式のビジョンを描きました。伝統的な要素を尊重しつつも、新しい試みを加えることで、卒業式をより記憶に残るものにしようと考えていました。

彼女は自分のアイデアに自信を持ち始めていましたが、同時に、委員たちの反応や批判に対する不安も感じていました。しかし、美咲は自分のビジョンを信じ、翌日の会議で自分のアイデアを堂々と発表する決意を固めました。

そして迎えた企画会議の日、美咲は新しい挑戦への期待と緊張で胸がいっぱいでした。彼女は、自分の提案が卒業式、そして生徒たちの未来にどのような影響を与えるかを想像していました。


第三話へ続く。

▼第三話「時を越えて」

▼第一話「今、できること」

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