広告業界から最先端スタートアップ企業に「越境」して体験したこと_後編
今、広告業界で悶々としている若い人たちに、「広告」以外にもコミュニケーションパーソンとして貴重な経験があることを発信したいな〜と。
選択肢は、多彩にありますよ、と。
さて、、、前回のnoteでは、GROOVE X入社初日からオフィスに向かわず海外出張するという展開まで書きました。
一応計画はあったりしますが、「良い意味でも悪い意味でも、それに縛られないよ。アジャイルってやつです。」的な洗礼。
タイトルにあるように「越境」して体験したことは、自分の場合、大きく3つに絞られそうです。
そして、これらはコミュニケーションを生業にしていく自分のキャリアにおいて「宝・財産」と言っても過言ではない経験でした。
(1)自分達の会社の認知度・魅力度・期待値の向上と維持を、自ら行う
設立間もないスタートアップは先人たちが作ってくれた認知や評判がまったくないわけで、基本「使えるもんは、社長だろうがなんでも利用」して伸ばすというスタンス。当時、会社のことはTech界隈とスタートアップ界隈の少数しか知らず、創っている製品は非公開でステルスといった状態。
●オフィスの引越し、人形町移転の話を使う。
GROOVE Xは、元々秋葉原にオフィスがあり、2017年1月に「日本橋人形町」という場所に移転したわけですが、「引越し」ですらこれから生み出すプロダクトのストーリーに組み込んでいきました。
「人形町の町は、かつて人形師たちが活躍し、栄えていた場所。私達が日本から発信したいと考えている次世代ロボットは、過去に丹念な作業で1つ1つを作りあげ、「無機物に魂をこめてきた人形師」たちの系譜と歴史を礎にしていると考えております。人形町の町は、古き良き日本文化を守っており、そこに日本独自のテクノロジーが融合する事で、新世代家庭用ロボットの未来へ続く産業の起点に適した町だと考えております。」
これは、代表の要さんが発案されたんですが、会社のTOPがこういう発想であることに好感を覚え入社させていただきました。
でも、このストーリーありきで人形町にしたのかぁ。。。もしや、後付けだったりして。。
そんなことはないと信じて。笑
とにかくこのストーリーは、とても好きだ。
●「資金調達」の活用
広告業界でクライアントワークをしていた時は、「資金調達」なんて自分には関係のないことと完全スルーでしたが、スタートアップにとっては超重要なイベント。
「なんでも利用する」の姿勢でいると、せっかくメディアに取材してもらえそうな数少ないチャンスをモノにすべく、コミュニケーションやPRの力で認知・期待値の向上に役立てようと全力で考えます。
2017年12月のシリーズA資金調達時に、「大きな予算ない/プロダクトは見せられない」という条件下で実施したコミュニケーションがこちら。GIZMODOさんがまとめてくださっていました。
この時は、看板2枚(カリフォルニアSpace X本社 / 汐留)、WEB動画、PRで低予算ながら以下の目的を果たすべき実施しました。
・「投資家様/市場のご期待にしっかり応えていきます!!」という意志表示
・「資金調達だから日経にリリースする」だけではなく、LOVOTを購入しそうなイノベーター層にアプローチ
・開発中プロダクトの一部分だけ見せて、想像を巡らせてもらう
・インナーモチベーション喚起(社員全員で動画を試写した時、拍手が起こったのは忘れられん)
・副産物として、優秀な人材数人がGROOVE Xを知り入社へ
個人的意見ですが、今、シードラウンドにいるスタートアップ企業は、せっかくの「資金調達」をもっとうまく使った方が良いような気もします。
スタートアップの経営者の皆様、お問い合わせお待ちしております!
ちなみに、汐留にOOHを掲出してちょっとしたコトがありましたが、それはまた今度。
(2)「資金調達」というファイナンスの超重要イベントに立ち会える
これ、広告代理店にいたら99%立ち会えないのではないでしょうか。
多くの投資家は「将来性や夢」に大金を張るわけです。
投資家やCVCなどへのプレゼンをどうしたらいいか?
山口周さんの本でもよく書かれていますが、ロジックやサイエンスも重要ながら、最終局面では人を惹きつける「ストーリー」の重要さを体感しました。
そう言った意味では、投資家・市場への打ち出しを考える際には、もっと コミュニケーションパーソンが絡んでいって良い場所だと思います。ストーリーが刺さらない≒資金調達がうまくいかない、ということなので。
スタートアップ企業の皆様、お問い合わせお待ちしております!!
(3)「LOVOT」という世に2つとない”ゼロイチプロダクト”のものづくりを体感し、そのコミュニケーション原型を形造ることに関われた
・会社のミッション・ビジョン
・プロダクトやサービスに関わるネーミング開発
・ブランドロゴ/ステートメント
・Key Visual開発
・国内外ビジネスイベントでのプレゼンストーリー etc.
あらゆるコミュニケーションにおける「シンボル」を一気通貫で設計し、プランしていけたのは財産。これに尽きます。
サイモン・シネックの「ゴールデンサークル」信奉者の自分にとって、とても贅沢な体験でした。
・自分たちはなんで、一緒に働いているのか?
・自分たちはなんで、LOVOTを世に出そうとしているのか?
・LOVOT(LOVE × ROBOT = LOVOT)って、何なのか?
真剣に、「WAHT IS LOVE?」的な議論ばっかしてた時期があったし、とにかくあの時は辛かったけど、楽しかった。
ちなみに、自分がサイモンシネックを知ったのは、数年前に原野さん(モリ)がなんかのセミナーで、「実現ハードルの高い企画を通す時、クライアント担当者をやる気にさせるために見せる動画」と評して紹介してたのがキッカケ。そんな状況にいる人は、ぜひご覧になって、クライアントを感化しましょう。
そんなこんなで、
<広告業界 → ハイテクスタートアップ業界 への「越境」して経験したこと>というテーマで、GROOVE Xでやってきたこと・自分の糧になったことを書ける範囲で書いてみました。
広告業界の方で、キャリアプランについて悩んでいる方がいらっしゃったら違う業界に「越境」するのも、"多少の"カルチャーショックはありますが、素敵な経験を積めるのでオススメです。
中でも、「スタートアップ」の場合、スタートアップがたくさん成功していけば、アメリカ・中国のように、日本の産業が活性化するはずなので。
かくいう私は、先週をもってGROOVE Xを退職し、
・統合コミュニケーション
・事業企画
・プロジェクト初期からのプロトタイプ開発やコミュニケーションの並走
・大企業とスタートアップ企業のアライアンス+コミュニケーション支援
といった分野で新たなるスタートを切ることにしました。
大変お世話になりました!!!🙇♂️
新しい仕事については、別途書きたいです。
スタートアップ企業の皆様、お問い合わせお待ちしております!!
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GROOVE X社のご紹介:「命はないのに、あったかい」を掲げ、最先端テックをふんだんに使いながら、何かの効率や生産性を上げるわけでもなく、ひたすら「人に愛されること」「人の笑顔を生み出すこと」だけを考えて開発された家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発・販売するスタートアップ企業。本社:日本橋浜町、人形町界隈
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