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【経営編10冊】楠木建氏(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)

経営の「抽象」と「具体」を行き来する。


経歴

1964年東京都生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師、同大学同学部助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、同大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職。


「経営戦略の勉強」

①ON COMPETITION

本書を書いたマイケル・ポーター氏は僕の専門である「競争戦略」という分野の始祖です。彼の体系的な考え方を述べた本はたくさんありますが、この本は彼の論文をまとめたもので、ポーター氏の競争戦略のロジックがよくわかります。


②ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則

経営というのは、個別のアクションよりも全体的な流れの方が重要です。”経営の本質は循環である”ということを正面から捉えた本で、今でも読み返すたびに「そうだよなあ」と再認識させられる名著です。


③ビジネスモデルの教科書 経営戦略を見る目と考える力を養う

著者の今枝さんはとにかく聡明な人です。経営戦略構想力の中核は、ある儲かるロジックをパターンとして認識する力ですが、これを31個のパターンとして抽出し、読者に理解させるということをやってのけました。これは素晴らしいパターン認識=型稽古の教科書です。


「経営者」

④小倉昌男 経営学

できれば『小倉昌男 経営学』から読み始め、次に『江副浩正』を読んでほしいです。成功した経営者の本は、武勇伝というかサクセスストーリーになりがちですが、この本はそういった部分が全然なく経営というものを論理として書いてあるので、汎用的な教科書になっています。


⑤江副浩正

1989年のリクルート事件以来、表舞台から姿を消した江副さん、謎の多い人物の実像に迫る書です。小倉さんと江副さんのどこが同じでどこが違うのかを考えるだけでも、経営についての理解が深まると思います。


⑥経営者になるためのノート

僕はずっとファーストリテイリングの仕事を手伝っているので、自分のノートとしてこれを使っています。柳井さんの言葉は当たり前のことしか書いてないけれど、仕事をしながら常に横において読んでいると、気づきがどんどん出てきます。それを書き込んで初めて完成する画期的な本です。


⑦ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

一番新しい本ですが、仕事の舞台が大きく、最高傑作だと思います。社員340人規模だったミスミを、1万人のグローバル企業に育てていったご自身の経験を書いたものです。


「企業」

⑧ビジネス・フォー・パンクス

クラフトビールを作る小さな会社の経営者が、自身の会社をどう経営しているかを書いた本です。読んで面白かったので、解説を書かせていただきました。


⑨スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家

「大企業は閉塞感があって行動力がなくて意思決定が遅くて淀んでいる。その点、スタートアップは自由でワクワクする」みたいな論調があります。確かにそういう傾向はあるかもしれませんが、スタートアップにも愚かな面はあります。「世の中”行って来い”でチャラ」ですね。


⑩インテル 世界で最も重要な会社の産業史

誰でも知っているインテルという会社の歴史をガッチリと書き込んだ本です。三位一体の経営陣で発展したのですが、この3人は決定的にソリが合いません。企業が生き物だということを教えてくれます。

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