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胞壁の音を聴き関係の境界を周回するK氏。個展なか日。

今日は、金曜日です。

2024/2/12(mon)〜2/17(sat)
12:00〜19:00 (last day17:00)

巷房→〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F+B1F

胞壁の音を聴き
関係の境界を周回するK氏

Listen to the sound of the cell walls.
Mr. K circling the boundaries of the relationship.

個展も数日間が過ぎてゆきました。

会期中、作品を観ていただき
話をし、そして見送る。
その繰りかえしの中から
あなたの中に作品を送り出すこと。

あらわれ、そして、消えてゆく、
かけがえのない時間。


空間作品のクローズアップ
ビーズと銅線がシルクの薄い布におおわれて


こちらは壁面のクローズアップ


おそるおそるとドキドキのぶつかり合い。


おそるおそる奥野ビルの扉を開く。

初めて「ギャラリー巷房」に来られる方は、おそらくその古めかしいビルのいでたちや、はいった瞬間に感じるレトロ感にビックリすると思います。

私も初めてここを訪れたときは、ビルの奥に果たしてギャラリーがあるものなのだろうかと、おそるおそる階段を上がった記憶が残っています。今では、ギャラリーやお店などが増えたので、そこまでおそるおそるではないかもしれません。しかし、初めての方の話を聴くと、その感覚は今でも残っているようでした。

そして、おそるおそるギャラリーの戸をガラガラと開け、
静かに「大丈夫でしょうか?」とか「観させてもらいます」と
小声をかけながらはいってくるのです。

こちらはガラガラという音がした瞬間。
だれが来た?と一瞬身構えます。

全神経がそこに集中し、部屋にはいり作品を観だした背中に視線をむけ、アーティストなのか、表現者なのか、美術関係者なのか、ギャラリー巡りをされている方なのか?作品を観るまなざしから分析し、話しかけるタイミングをみはからい、いつ「ご覧いただき、ありがとうございます」と声をかけて、作品の感想などをききだそうかとドキドキしているのです。

ひとしきり、作品の説明をし、話が盛りあがり、
「ありがとうございました」と背中を見送ったあと

また、ひとりの時間がやってきて
午後のやさしい日差しが磨りガラスごしに
部屋を明るくしているのでありました。


ドローイングのクローズアップ
万年筆で描いた部分です


こちらもドローイングのクローズアップ
水彩画で描いた部分です


自分の体の中にはチリのようなのようなモヤモヤがある


お客さんがじっくりと作品を観た後。
昔は、「君の作品は、……だな〜」と、こき下ろされることが沢山ありました(最近はそういうタイプの人も少なくなってしまいましたが)。感想や、作品のコンテキストなどを丁寧に論じてくれる人が、観てまわっているのです(意外と知らない方が多いのです)。

ギャラリーで展示する目的は、そういう人たちとの接点にあるのだ。と私は展示するたびに感じてきました。先輩の個展を観に行ったときに、先輩がそういう人と対峙しているのに出くわしたときには、ホントに得した気分になりました。

そして、自分が展示する際にも懸命にそういう分析家タイプの人の思考にダイブし、展示されている表現物がどこに収まってゆくのかを、アミダくじの線をおいかけるかのごとく、いいの?わるいの?とその人が発する言葉をたよりにて下へ下へと結論にむけおいかけるも、そこに答えがあるわけでもなく、ただただ、深いところに分け入ってゆくことにヒントが隠れていたりするのです。

たとえば、ピッチャーとキャッチャーの関係のように、作者がいて、その作品を受け止めるキャッチャーがいて初めてアートは成立します。

今回の展示の中でも、「自分の体の中にはチリのようなのようなモヤモヤがある。たとえば、絵の中に描かれた一本の曲線がそのチリに何か影響を与えてくる、その一期一会が作品を観る価値なのですよ」というような言葉を残してくれた人がいました。

実際には、ポンっと上記の言葉が出てきたわけではなく、10分以上そのようなことを対話していたわけで、私が勝手に結論を書いているだけであって、さらに奥の方で浮かびあがる心象自体に意味があるのであって、言葉にはたいした意味などないかもしれませんが、とりあえず書いている次第であります。

作品とモヤモヤと偶然とが共振して、別次元の何かにつながれた瞬間。
あなたも、そのようなものを感じていただけたでしょうか?


金属線のクローズアップ
洋白銀とピアノ線
地下の空間

ギャラリーを出てゆく背中を追って
「ありがとうございました!」と
まるで試合後の相手選手に挨拶をするように見送りました。

あなたの中に、ちゃんと作品を送り出すことができたのでしょうか?
心の深いところの心象風景を描くことができたのでしょうか?




ゆっくりとご来場、ありがとうございます。


なか日にも、多くの人にご来場いただき感謝いたします。

ゆっくり、じっくり作品の中に入っていただけている姿がみれて
本当に幸せを味わうことができました。
そして、深い対話ができ
アートを信じる人たちにとって、心豊かなひとときを
すごせたことを本当に感謝いたします、
ありがとうございました。

そして、明日はいよいよ最終日です。
お時間に余裕がありましたら
ぜひご来場くださいませ!

あなたとお会いできることを心より楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いいたします。


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