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自助・共助・公助? 映画「パンケーキを毒味する」

「官邸の圧力」と聞いても
具体的なイメージがわきませんが、
映画「パンケーキを毒味する」では
実際に官邸から圧力をかけた方たちが
実体験を語っています。  

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(映画「パンケーキを毒味する」については
前回の投稿をご覧ください。)

加計学園問題で国会証言をした
前川喜平氏は
いつ、官邸の誰から、
どんな風に圧力をかけられたかを
はっきりと話します。

そして、
「本当にスキャンダルを握られて
黙らされている人がいっぱいいるのでは。」
「報道ステーション」のコメンテーターだった古賀茂明氏も
当時官房長官だった菅総理から受けた圧力について話し、
「自分の国でそんなことが起こっているのか」
と暗澹たる気持ちになりました。

そんな中でも、思いがけず笑ってしまったのは、
法政大学の上西充子教授が
国会審議について解説する場面。

テレビのニュースで見る国会答弁は
質問とそれに対する答弁が
コンパクトに切り取られて
編集されていますよね。

でも、実際には総理がたった一つの質問にも
きちんと答えないため、数十分かかっていたり
するのです。 

総理が聞いたことに答えず、
まともな日本語のやりとりになっていない…

そのうちに加藤官房長官が出てきて、
質問した共産党の小池晃氏が
「なんで加藤さんが出てくるんですか?」
と改めて総理の答弁を促すと、
総理が答えたのは
「今、官房長官が答えたことと同じです。」 

(しょ、小学生か。)

小池氏の
「自分で答弁できない総理が
自助をとくんじゃない!」
と言うツッコミに
膝を打ちました。

さらに
「自分の言葉で答えてください」
というと、秘書官が手書きで原稿を書き出し、
総理はその「即席答弁書」を
そのまま読み上げます。

正直、笑うところではないのですが、
あまりにあんまりで、
笑ってしまいました。

テレビのニュースで短く編集されたやりとりだけを見ていると、
総理が何十分もかけて
こんなにどうしようもない答弁
(というか、答弁になっていない答弁)
をしていることは、わからないですよね。

自民党の石破茂氏が現在の国会について
「初めて見る言論空間。
議論がかみ合っていない」
と話していましたが、
「もしかして、見るものをうんざりさせて
政治に関心を失わせる手法なのか?」
と思わずにはいられないくらいでした。

そして、上西先生の解説はやはり面白くて、
もし自分一人で見ても気がつかないことに
気付かされます。

たとえば、学術会議の任命拒否についての質問に
総理が答えないのは、
「答えられないようなことをしているから、
答えられないんですよ。」 

(なるほど、そうか・・・。)

上西先生の国会答弁の解説は
この映画のためだけに行われたわけではなく、
「国会パブリックビューイング」という活動で
継続して行っていらっしゃるとのこと。 

また先生の解説を聞いてみたくなりました。

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そして、数カ所に差し込まれてる
アニメの部分にも、
多分に風刺や毒が仕込まれています。 

特に記憶に残っているアニメは2つ。

地獄で鬼たちが
嘘をついた人の舌を抜いているのですが
「霞が関から来たやつは二枚舌ばっかりだ!」
「こいつは針の筵でも平気なのか!」
と鬼たちも驚愕。 

そして、抜いても抜いてもまだ舌がある人を前に
「こいつ、118枚目だ!」
と鬼までドン引き。 
(もし枚数が違っていたら、ごめんなさい) 

閻魔様までそれを見て
「さすがのワシも舌を巻く・・・」。 

(ちなみに、118枚舌を抜かれても
ニヤリと笑う人物が
A元総理に似ているように見えたのは
気のせいでしょうか・・・)

もう一つのアニメは、
たくさんの羊を飼う農場が舞台。

農場主は暖かい部屋で
従業員と豪華な食事を楽しんでいるのですが、
寒空の下、静かに佇む羊たちは、
あちらでばたり、こちらでばたり、
と無言のまま倒れていきます。

従業員が羊を不憫に思い、
「隣の農場では設備を改善したらしい」
と言っても、農場主は
「もうすぐ大きな村祭りがあるんだから
そんな金使うわけないだろ」
と即座に却下。

羊にはいかにも思いやりがありそうに
優しい言葉をかけながら粗末な餌を与え、
自分たちは部屋で美味しいご馳走を食べ、
従業員が抗議すると
「嫌なら出て行け」。

室内でペットとして飼われていた猿は、
そんな目にあっても
大人しく従順な羊に真実を知らせようとするのですが、
農場主はその猿を射落として殺してしまいます。

わたしは騙されたままばたりばたりと倒れていく羊たちが
今の日本の国民そのままのように見えて
辛くて仕方がありませんでした。

そして、そのアニメの最後には、
二つの言葉が映し出されます。

「羊の国家は狼の政府を生む」
(アメリカ人ジャーナリスト、エドワード・R・マロー) 

「問題に沈黙するようになった時、我々の命は終わりへと向かう。」
(キング牧師)

まさに、今の日本の姿を映し出しているようで、
ぞっとしました。

・・・2回に分けたら書き切れるかなと
思ったのですが、やはり書ききれず。

続きはまた次回に。

今回も読んでいただき、
ありがとうございました。

*オリンピックの熱戦が続いている、
ようですが、正直言って、
その高揚感に浸る気分にもなれず。

特に、昨日の
「コロナ感染しても、軽症・中等症の場合は
原則自宅療養」
というニュースを聞いてからは
映画の中のばたりばたりと倒れていく
羊の姿が、なんども頭に浮かぶのです。

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感染情報が気になると、
twitterで医師の方の投稿や
ニュースの速報を見たりしているのですが、
社会学者・国際政治学者でもある
内藤正典先生の投稿にとても共感しました。

「感染力の強いデルタ型だから、五輪がなくても蔓延しただろう。
しかし、五輪に割いた人的資源、
マスコミが五輪に割いた時間、
自粛疲れとお祭り気分を考えれば、
この時期にやるべきでなかったことは明らか。
それ以上に、五輪開催を優先して厳しい対策をとらなかった政府の責任は重い。」

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