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思い出の地とのお別れの儀式

先日、渋谷の東急文化村(Bunkamura)に行ってきました。
1月末に閉店した東急百貨店本店に隣接している、Bunkamura。
4月にはそこも閉まってしまうというので、どうしても写真を撮っておきたかったんです。

この外観だけでワクワクしたものです


私にとってBunkamuraは特別な思い入れのある場所。
青春の記憶と共にある、といっても言いすぎではないかもしれません。

近年、館内で最も行ったのは地下のBunkamuraミュージアム。
さらに同じフロアにある書店は、書籍や雑貨の品揃えが特徴的で眺めているだけでも楽しい。
一般書店を軽く見ているだけではなかなか出会えないような書籍の存在が、自分の知的好奇心をくすぐってくれて心地よい。
そのときの展示や上映作品にまつわるものが置いてあるのもよいのです。
(以下、写真のなかの人物の消し方が雑なのはご容赦ください)

ブックショップ ナディッフモダン


上階にある映画館ル・シネマは、高校生のときに初めて訪れたミニシアター。
ミニシアターで上映されるようなタイプの映画が描く、なんともいえない感情の機微にしびれ、大人の世界をのぞいたようなくすぐったい気持ちになったのを覚えています。

シアターコクーンは、憧れの劇場。
20歳前くらいのときに小劇場の世界と出会い、大人計画やナイロン100℃など、ちょこちょこ観に行ってました。
コクーンは、野田秀樹さんとか松尾スズキさんとか大竹しのぶさんとか、ひと癖ある上質な大人の芝居を上演している劇場のイメージ。
コクーンで上演される芝居はなかなかチケットの取れないものばかりという印象だけど、一度だけ、コクーンで芝居を観ることができました。

知り合いが関わっていてお勧めしてくれた、『女教師は二度抱かれた』。
お勧めしてくれたポイントが、松尾スズキさん作演出で役者陣も豪華なのに加えて、「SAKEROCKの人が音楽をやっていて、出演もしているんだよ」。
当時は存在を認識していた程度の、星野源さんのことでした。

いろいろ最高じゃないか、ということで当日券の列に並び、桟敷席から観ました。
生で星野源さんの芝居を観た最初の思い出です。
大ファンになるのは、まだそれからしばらく後の話。

これが憧れのコクーン


Bunkamuraで最も訪れた場所は、案外オーチャードホールじゃないかと思います。

何度も訪れたエントランス

クラシックのコンサートにバレエの公演、ミュージカルなどなど。
一番印象深いのは、東京国際映画祭。
今は六本木ヒルズで行われる東京国際映画祭、かつてはBunkamuraのオーチャードホールで開催されていました。

昔、レオナルド・ディカプリオの大ファンだった時代がありまして(照)
映画『タイタニック』のワールドプレミア上映が東京国際映画祭のオープニングを飾ることになり、ディカプリオが来日するというのです。
私と友人たちは、それはそれは頑張ってチケットを入手し、それはそれは頑張って自由席の前のほうを獲得し、舞台挨拶のディカプリオを生で拝むことに成功したのです。

今となっては、生で見られた歓喜よりも、みんなで頑張って楽しかった記憶のほうが深く残っているんだから…わからないもんですね。

私に、さまざまな文化芸術の楽しさ素晴らしさをことある毎に体感させてくれた場所が、Bunkamuraでした。

4月の初旬までに、Bunkamuraを再訪できることは、たぶんないでしょう。
私の愛する現在の姿のBunkamuraとの思い出をここに書き連ねるまでが、私なりのお別れの儀式です。

また形を変えて私たちを楽しませてくれるとは思うけど、ひとまず思い出の詰まったBunkamuraとはこれでお別れ。
いっぱいいっぱいのありがとうを伝えて、終わりにします。

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