唇(2013.8 15歳)
「唇って、きっと汚いの。リップスティックで彩っても、もう無理なの。」
それにしてはグロスで濡れそぼる唇で、レミが笑う。きょとんとそれを眺めていると、彼女はつまらなそうに私を一瞥した。よくある女子大生ファッションに身を包むレミ。指定制服のスカート丈を常に長く保つ女子高生、私。そんな二人が喫茶店でお茶をするのには訳がある。レミは私の姉だ。学校帰りにレミに捕まり、こんな居心地の悪い場所へ来てしまった。
「キスしたり、食べ物入れたり吐いたり、一言で人を喜ばせたり、しなかったり」
「