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#11 答えは現場にあり

~土壇場でジタバタしても始まらないが,何もせんのも芸がない~

私がオーナーとして銀座のレストランに立っていたことのことです。お客様から「オーダーしておいたバースデーケーキお願いします」と言われ,パティシエ兼シェフ氏(彼は人間は抜群にいい奴だった)に出すように指示したところ「すいません,注文されてたバースデーケーキ焼くの忘れてました!」との返事。

バカヤロー!と怒ってみたものの怒っていても始まらないので,「今ここにあるだけのデザートとフルーツ全部もってこい」と指示して,大きな皿にきれいに盛り付けて,粉糖とフルーツソースで皿を飾って,チョコレートのデコペンで”Happy Birthday♡”と書いて,BGMに乗せて客席に持っていきました(自信たっぷりにやらないとヤバいと思ったので,オーナーの自分が持って行きました)。いろんなデザートが楽しめたので(ボリューム満点で原価割れだったし)お客様には喜んでいただいたようで,何とか事なきを得ました。その他にも,現場での突発事故を臨機応変にかわしたことは幾度もあります。

人間,あまりにもショックな事が起こると思考停止状態になってしまいますが,経営者は思考停止状態に陥ることは許されません。経営者は意思決定するのが仕事であり,どんなに事態が生じてもそこから逃げることはできないのです。ですから想定外のことが起こらないように,事前にあらゆる事態を想定し意思決定の選択肢を持っておこうとします。

しかしながら,人間は万能ではないのであらゆることを予測することは不可能です。ある程度準備したうえで想定外のことが起こってしまったら仕方がない。また逆に,あらゆるものが想定内であったとしたら,これは経営も人生も面白くないのではなかろうかと思います。思いもかけないことが起こり,思いもかけないセレンディップな出会いがあり,それがエキサイティングドラマチックなのだと私は思います。そんな気持ちで「想定外」を楽しむ気持ちが,現場に答えを見出すエネルギーとなっているのではないでしょうか。

#ビジネス #エッセイ #勇者は懼れず #私の仕事



正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html