見出し画像

心優しい人で本当によかった

この時期、ツバメが家の周りをよく飛び回っています。

私の自宅は都市部ではなく、ほどよく自然の残る地域にあります。山が見えてすぐ近くには大きめの池もある。

ある朝、可燃ごみを出そうと玄関ドアを開けると、頭上からツバメが飛んで逃げていった。
ん???と思って足元も見ると、玄関タイルの上に鳥フンと藁や枯れ草&泥が…。
おお。ツバメが巣を作ろうとしてる!しかも玄関ドアの真上に。
泥を塗られ、少し出来かかってる。この家に住んでもうすぐで4年、巣を作られるのは初めてだ。

でもさすがに、玄関ドアの真上はちょっと…。
出勤前に頭に糞が落ちてきても困るし、ドアの開け閉めの振動で卵や雛が落ちてきてもかわいそうだし、かといって出入りしないわけにもいかない。玄関を汚されるのが嫌、とか掃除が大変、とかは二の次で。

頼むから、ココじゃなくてベランダや掃き出し窓の上とか他の屋根下や庇に場所を移してくれないかな~、と夫と一緒に掃除して対策にアルミホイルを貼ってみた。

ドアが泥だらけになっちゃったので、ホースで水をかけて
お掃除したあとに。鳥はギラギラ光る物が苦手だとの情報から。

でもさ、私たちがここを掃除して脚立でホイルを貼ってるあいだ、2羽のつがいらしきツバメちゃんが、電線にとまってこっちをずっと見てるんですよ。
ピピーッ、チチーッ、て鳴きながら。威嚇?嘆き?
そりゃそうだ。ここまでの苦労が台無しになっちゃったんだから。怒るよね。何往復もして運んで、頑張ったんだろうね。すっごく申し訳ない。

鳥語がしゃべれたらいいんだけど。
 「ウチに巣作りするなって訳じゃないんよ!」
 「ドアの開閉の振動や風圧が危ないから!汚されるのが嫌とかじゃないからね!」
 「ここの場所以外ならどこでもいいから、お引越しお願いね!」
とテレパシーで会話を試みる。ほんと、ごめん。

気になったので、ネットで調べてみる。
ほうほう。
ツバメが巣を作るってのは縁起がいいのね。

縁起だけの話でなく、動物愛護の観点からもね。
命のことだから。鳥獣保護法とかもあるし。


カラスなどの天敵から身を守るために、敢えて人が通る場所を好むのだとか。
そして巣を壊さない優しい人がいる家を選ぶ、なんてことも書いてある。なんか、やっちゃったことに心が痛む…。

この朝は普通の平日で仕事に行かなきゃいけなかったから、時間もあまり無い。気になりつつも、夫も私も出勤。

ツバメだってもちろん生きていく為に
我が家を選んでくれたんだろう

そして、夕方。
この日は、ちょっとの差で夫のほうが早く帰っていました。(私は保育士なので勤務時間は変則的)
私が家に着くと、脚立に乗って玄関のアルミホイルをはがしている夫。
 私:「やっぱりな~。私も帰ったらはがそうと思っててん。ありがとう。悪いことしちゃったな~ってずっと気になってたし。」

すると、夫の手にはコレが。↓↓↓

廃材の板でDIY

 夫:「仕事の合間に廃材でパパッと作ってみてん。勤務時間中やけどな(笑)。20分ぐらいでできたわ。」
すごー。手作り巣箱? なんて優しい人や。知ってたけど。

 私:「へぇ〜。仕事中に? 大丈夫なん、職場の人たちになんか言われんかった?そんな私的な物作って。部下にシメシがつかへんくないんの?」
夫は一応、管理職でそこでいちばん偉い人。
 夫:「別に全然。優しいですね、いい巣箱できましたねー、ってむしろ場が和んだぐらいや。」
だって。いい職場や。

そして、設置してみた(すでに日が暮れかけ)

設置後。

 夫:「…あれ?なんかサイズ感間違えた? 測らずテキトーに作っちゃったからなぁ。天井近すぎて頭打ちそうかな、深すぎて雛が顔出されへん?」
 私:「ま、おいといて何日か様子みよか。優しさは伝わるんちゃう?」

しかし、翌々日まで変化なし。うーむ。
やっぱりサイズが合わないのか。家にあった100均の木箱(小物入れとして使ってたやつ)が軽くて大きさ的にもちょうどよさそうやから、そっちに変えてみよう。

で、変更。こっちのほうが浅くて低い。
これなら燕が入りやすいんじゃないのかな。

それから3日ほど経過。

うーん。。。 周りを飛んではいるけど、ツバメがここに来た形跡がない。
あれこれ人の手を加えすぎて警戒しちゃったか、一度壊されたからもう戻ってこなくなったのか、いずれにせよ申し訳ない。

と、思ってお隣さんの家を見ると。
おお!お隣さんの玄関ドアの上に、せっせと巣を作り始めている!!
しかもウチと全く同じ場所に!

なるほど~。そっちへお引越ししちゃったかぁ。
なんか、お隣さんにも悪いことしちゃったかな。お隣さんは、そのまま巣は壊さずに糞対策用の段ボールを玄関タイルの上に敷いてはりました。そっか、そうすればよかったのか。反省。
しかし、お隣さんも心優しい良い人だわ。何も触らずにおいといてあげるのが正解だった。ただ見守るだけでよかったんやね。
お子さん4人いらっしゃるご家庭。見習わなきゃな、来年またうちにツバメが戻ってきてくれたらそうしよう。

反省と罪悪感・心の痛みを伴って、ひとつ勉強した私。

そして夫も、お隣さんも、心優しい人で本当に良かったと思ったお話でした。おしまい。

この記事が参加している募集

今週の振り返り

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?