#215 帰国日の朝・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月22日(木)22日目・・・1

New York最終日。帰国日の朝。
昨夜、寝入ったのが遅かったので、携帯の目覚ましで飛び起きた。
目が覚めると、いきなり、淋しい、悲しい、残念、心残りなどなど、ネガティブな感情がたくさん襲ってきた。けれども、もうどうすることもできず、表向きだけでも諦めて、おとなしく帰国することにした。

今日は感謝祭。アメリカでは11月の第4木曜日で、Thanksgiving(サンクスギビング・感謝祭)と言われ、七面鳥を食べて、街中お祭り騒ぎの日だ。
リビング兼ダイニングに降りていくと、朝食の用意ができていた。Thanksgivingの今日は、宿のオーナー・陽子さんが気を利かせてくれて、
七面鳥とパネトーネだった。

早朝にブラジルから到着した旅行者と、数日前からいる猫好きさん、私の3人+陽子さん。
8:30に食べ始めた朝食が、心地よい空間と楽しいおしゃべりで、気づけば10:00を過ぎていた。
そろそろみんな、それぞれのスケジュールに入る。私は最終荷造りをし、スーツケースの重さを計ったら24.5㎏。少しオーバーしていたので、余裕のあったボストンバッグに詰め替えた。

陽子さんから、ロングアイランド鉄道のチケットを先に勝っておいた方がいいとアドバイスをいただいた。大きな荷物を持って迷うより、出発前に徒歩数分のAtlantics Avenue - Barclays Center stationを往復して買っておいた方がいいとのことだった。

早速行ってみると、何の困難もなくすんなり買えた。〝ちぇ、つまんないの〟。ドラマティックなことが何もなく、10分足らずで宿を往復できて、チケットもすんなりと買えてしまった。
外は寒くて気持ちよかった。

今日は、3週間前に日本から出発した日、到着した日と同じで、雲一つない清々しい秋晴れが気持ちいい。

大切なことがある日は、ほぼ雨降りの私だが、日本出発もNew York出発も、文句のつけようがないほど晴れ渡ったドピーカン。冷えた空気が気持ちよかった。なんと幸運なんだろう。幸せ気分に浸りながら、宿の周りで記念写真をたくさん撮った。

実はこの後、半年ほどすると、宿は改装工事に入るため、年単位で閉じられる。次回来るときは、もう今の構造ではなくなっているのだ。よーくよーく見ておこう、写真に収めておこう、この目でしっかり見納めよう。
宿の玄関先から見える近さの、お世話になったmr.mangoにも写真を撮りながら〝お世話になりました。ありがとね〟と心の中でご挨拶した。

部屋に戻り、身支度を終えると、3週間お世話になった部屋にも、
「ありがとうございました。お世話になりました」
と声に出してお礼を言い、頭をさげた。

12:00。3週間お世話になった宿を出発した。

Atlantics Avenue - Barclays Center stationまでの5分ほどの道のりを、3週間前に来た時と同じように、スーツケースをゴロゴロと転がしながら歩いた。
きっと周りの人たちの中で、私が1番悲しくて淋しくてやりきれない思いをしていただろう。道行く人たちは、そんな私の気持ちを知る由もなく、何事もなくすれ違って行く。

3週間前に駅を出て初めて歩道に出たときが、随分遠い昔に思えた。あのときのドキドキワクワク感とは真逆な今、とりあえず夢の1つは叶えられた清々しさを少し残しながら、Atlantics Avenue - Barclays Center stationから、Manhattan行きとは全く違う路線の、ロングアイランド鉄道でジャマイカ駅に向かう。
Atlantics Avenue - Barclays Center stationにも心の中で〝ありがとう〟とお礼を言った。

来た時は夜になっていたので、ジャマイカから外の風景は全く見えなかったが、今度は住宅街を走る風景がよく見えた。それでも本当にジャマイカ駅に着けるのか心配で、隣のボックス席に座っている、騒がしいパリピJK風のグループの1人の女の子に聞いてみた。
「ジャマイカステーション、OK?」
パリピ女子は、突然私に話しかけられ一瞬真顔になると、優しくうなづいた。なんだ、お行儀はよくないけれど、可愛い女子高生じゃん。いや、もしかしたら中学生かも。

とにかくこれでジャマイカ駅に行けることはわかって一安心。我に返って流れる風景を見ていたら、また悲しさと淋しさがこみあげてきた。

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