Chelsea Market（チェルシーマーケット）を出て、High Line（ハイライン）へ向かった。
High Lineは空中庭園と言われていて、元は高架鉄道路線だった所。
だから、High Lineから見る風景は、電車の窓から見えていた風景ということになる。
そこにたくさんの植物を植え、歩けるように公園にしたのだ。
線路がそのまま残されており、ベンチは鉄道の線路と貨物車のパーツが使われている。もちろん私の観光リストに入っていたのだが、事の流れで初日に来ることになった。

High Lineの入り口近くまで行くと、人の流れが自然とできており、そのままついて行って階段を上ったら、すんなり入ることができた。ただ、たくさんの人の流れについて行くも、少し緊張していたせいで、足がおっかなびっくり状態になって、それが心臓にも伝わり、ドキドキした。

ちょうど展望スポットから入ったので、気持ちを落ち着けるために、階段型の木製の椅子で休むことにした。下を走る道路が見えて、歩道橋の上に座っているようだった。
〝おお！　ここもYou Tubeやガイドブックで何度も見たなぁ。でも今は、現実だなぁ〟
階段型の木製の椅子に座り、しばらくボーッとしていた。曇り空を見上げ、周りの風景をじっくり眺め、日本人が1人もいない周りの状況を、不思議に思っていた。聞こえてくる言葉が、すべて日本語以外の状況を、不思議に思いながら体感していた。

東京の自宅を出てからここまで、2日間しか経っていないが、すでに、すいぶん長い時間が経っていること、成田空港からHigh Lineにたどり着くまで、いろいろな人に助けられたこと、実に多くの初体験をしたことなどを、振り返っていた。

初海外、初機内食、初New York、自覚はなかったが初日付変更線通過、
行くところ見る物すべてが初づくめ、すでに満腹だ。けれどこれから3週間、膨大な〝お初〟の連続であろうことに、わくわくした。

今回の旅は、ほぼノープラン。
主要な観光地の目安だけをつけ、決まっているスケジュールは、この日のチェルシーと、私にとってのNew Yorkの聖地訪問と、11月10日にマディソンスクエアガーデンで行われるBilly Joelのコンサートのみ。
あとはその時々で臨機応変に対応する予定だ。旅行ツアーのように時間に追われ、スケジュールを気にしながら周ることには魅力を感じず、行き当たりばったりで行動しようと決めていた。
成り行き上、まずは、Chelsea Marketから 、そしてHigh Lineへ。
 
30分程まったりした後、木製の階段椅子から立ち上がり、ゆっくりと歩き出した。
すれ違う人、休憩している人を観察しつつ、写真を撮りながら、元線路から左右のNew Yorkの風景を楽しんだ。
木製のビーチチェアのような椅子で寝ている人がいたり、ベンチでアイスクリームを食べているおひとりさま男性、お花を見ながら笑顔で歩いている男女。場所が公園なだけに、みなゆったりと歩き、のんびりムードだった。
いたるところにベンチがあり、すぐに休憩できることが嬉しい。

 New York最初のそぞろ歩きが、Times Square（タイムズスクエア）でも、Central Park（セントラルパーク）でも、自由の女神でもなく、High Lineというのも、中々おもしろいではないか。
きっと、いきなり有名どころや繁華街では、私のテンションが異常に上がって冷静ではいられなくなり、判断力が鈍って変人になってしまわないよう、神様がHigh Lineに向けたのではないか。
そんなことを考えながら、散歩を楽しんだ。