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歳の離れた友人が亡くなった

歳の離れた友人、と表現するのが良いだろう。

歳の離れた友人の、訃報を受け取った。
突然死だった。

突然死というくらいだから、突然のことだった。

***

彼は、「どこにでも現れる人」だった。
いつも、突然に現れて、
そして、一度現れると、ずっと昔からいたかのように、そこにいた。

だからきっとまた、どこかにひょっこりと現れて、
当たり前のように座っていて、
一見、傍観者で批評家のような振る舞いをしながら、
「今日のあれは、良くなかったなあ。」なんて、文句のような口調で話しながら、
どうしたら良かったのかを、自分ごとみたいに思案して、
愉しんでいる姿を見せてくれそうな気がしてしまう。

普段は小馬鹿にするような言い方をするけれど、
本気で悩んでいることについては、
私がどんなに軽い言葉で表現しても、決して茶化さなかった。

***

報せてくれた人に返信しようとして、
こんなとき、何を言えばいいのだっけと考えた。

「生前は、大変お世話になり……」なんていうのは、他人行儀すぎるだろうか、と思考して、
「生前」という響きに、はたと手を止めた。

彼はもう、生きていないのだ。
また会いましたね、と言うことも、
軽口を叩きあうことも、できないのだ。

悲しみが溢れてきた。

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