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そこからかい・・・?

工房構成員の甲斐から聴いた話なのですが、これは特殊技能が必要な分野に入りたいという若者に良くある話です…

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ある声優さんのご友人の、ある音楽学校の講師の方とのお話で(クラッシック系ではない音楽学校)

音楽講師:…入学希望の子と面接するじゃん。そうすると、プロのギタリストになりたいって言うからさ、どんな音楽が好きなの?ギタリストの誰が好き?ギター何を使っているの?って話を振るとさ『あ、いえ、まだギター持っていません。何を買ったらいいですか?僕は何も知りません、全てこれからです』なんて言うんだよ…それでプロのギタリストになりたいって言うんだぜ…

声優:あー、私の業界でもいるよ、そういう子。私、声優になりたいんです!でも何も知らないので教えて下さい!って子…

講師:ほんとさ、プロになりたいっていうのに、そこからかい!って思うよなあ…

声優:そんなんで、なれるわけないじゃんね

講師:もうね、怒りを通り越して変な笑みが漏れるよね────

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…私がいる伝統工芸系でもこういう子が多くて、ウチの弟子募集でもこういう子が来ます。

今まで創作に興味を持った事は無いし、親方の作品は良く分からないし言っている事も良く分からないけど、でも手作りの作品を作って、それで食べれればいいな、って思うんです!

って。

いやいや、食べられれば良い、そんな甘い世界、どの分野でもこの世に存在しないよ…まして新規参入で作品制作のみの専業で食うのを実現している人がほぼいない分野なんだから…

募集要項にあるように「手に職付けておけば食える」なんてノンビリしたものじゃ無いんだからさぁ…もうちょっと自分で色々してから、プロの現場の門を叩いてくれ、お教室じゃないんだから…少なくとも創作や文化に猛烈な興味関心があってくれ、好きであってくれ…

特殊な技能が必要で、その分野に資質と才能があっても、それで食えるかどうか分からない分野なのに、そういう分野ほど「オレ、それになりたいんで教えて下さい。何したら良いんスか?オレには出来る気がするんスよね」という人が沢山来ますし、ちょっとやってチヤホヤされないと「あの先生のレベルが低いからオレ様の才能を理解出来なかった」なんて宣って他の所へ行き、また同じ事をし、また他へと、その分野周辺を漂い続ける…あっという間に歳を取ってしまい、拗れた中年が出来上がる…

そんな人を、私はイヤという程観てきました。


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