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湯のしについて

染めの色々な作業工程で生地はストレスを与えられています。

生地が縦横に伸びたり、あるいは縮んだり、歪んだりします。

様々な染めの加工を加える事によって風合いが固くなっている事もあります。

「湯のし」は、生地に蒸気を当てて風合いを柔らかくすると共に、皺を伸ばしたり、幅や長さを整えたりする仕上げの工程です。生地の布目を合わす目的もあります。

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湯のしをすると、アイロンで伸ばしたのとは違うふっくらとした風合いが出ます。

染め上がった布でしばらく経ったものでも湯のしを通すと生地がふっくらと艶やかになり。生き返った感じがします。

湯のしには機械を利用した「機械湯のし」と手作業による「手のし」の2種類の方法があります。

「機械湯のし」は、テンターと呼ばれる幅だし機械を使います。

全く別の生地の端を縦に繋ぎ合わせて、長い1枚の布にして効率よく連続して湯のしが出来る様になっています。

現在では、着尺や帯は「機械湯のし」が殆どです。

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「手のし」は「機械湯のし」の機械にかからない規格外のものや、絞り染めや刺繍等のように機械を通す事によって、その加工の特性を損なう場合や、仕立て上げられた着物の丸湯のし等で行われます。

手のしは、細かい加減が可能な為、絞り染めや刺繍以外でも特別に「手のし」と指定して仕上げされることもあります。「手のし」の方が仕上がりがふっくらする傾向があるようです。

この作業は外注に出して専門の方にお願いしています。

(写真・吉澤湯のし加工所)


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