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納豆の食べ方について

納豆の一番スタンダードな食べ方の

納豆+しょうゆ+薬味

で混ぜて食べる方法については、諸説ありますね。

調味法はもちろん、薬味や副食材について、皆さんそれぞれ一家言お持ちかと思います。

魯山人が以下のような納豆の調味についての詳細を著作『春夏秋冬料理王国』に残していて、多くの人は、だいたいそれに近い調味をしている感じです。

納豆のこしらえ方
①納豆を器に出して、何も加えないで2本の箸でよく練り混ぜる。
②しばらく練り上げたら、醤油を数滴落として練るという作業を繰り返す。
③糸の姿がなくなってどろどろになった納豆に、からしを入れて撹拌する。
④好みによってねぎのみじん切りを加える。

といった具合にまずは「納豆の糸が良く出るようにしっかり良く混ぜる」のが基本で、それから好みの薬味をザックリと混ぜていただく、という感じでしょうか。

ここまでやらなくても、納豆を調味する際には良く混ぜて納豆から出る糸で泡立った状態で食べる人が多いかと思います。

が・・・

私は全く逆の食べ方で、殆ど混ぜません。

納豆を箸でザックリと崩して、濃口醤油をサッとかけ、ネギや辛子を入れ軽く混ぜるだけ

こうすると、納豆の発酵した大豆の味わい、しょうゆの味わい、薬味の味わい、納豆の食感を明瞭に感じられますし、口中で味が展開して行きつつ纏まって来るので単調さが無く楽しい味わいになります。

私は納豆の糸が空気を含んでホワホワのムース状になった状態が嫌いなのです。空気を含み過ぎた納豆は味がぼやけ単調になります。

しばらく放置しておくとムース状になった納豆の糸の空気が抜けて収まりますが、しかし調味して時間が経った納豆は味が平板になるので私は好きでは無いのです。納豆は調味したらスグに食うべし!

そして私は、納豆をご飯にかけて食べません。さらに面倒くさい事に納豆を食べる際には、納豆用の匙を用意して、それで食べます。

なぜなら、納豆の強い風味が白ご飯や箸に付いて他のおかずに影響するからです。

しかし納豆とご飯と合わせて食べる事自体は好きなので、焼海苔を八切ぐらいに切り、それで白ご飯を受け、そこに調味済の納豆を乗せて食べます。そうすれば、他の料理に納豆の風味が移る事がありません。

納豆とパリパリした香ばしい焼き海苔は良く合いますので、美味しくいただけます。

そういう私ですので、

【どうして魯山人は「納豆は糸が良く出るようにしっかり混ぜて旨味を引き出す」と言ったんだろう?別に良く混ぜても美味しくならないのに。個人的にはむしろ味が落ちると感じるけど・・・】と、若い頃から疑問に感じていました。

その後、その魯山人方式への自分なりの回答が出たのですが、それは以下のような経験からでした・・・

まだ若い頃のある日、妻と子どもたちと草津かどこかの温泉へ行った事がありました。

その際、妻が「ここの納豆は、納豆菌を使わない自然発酵で、温泉の熱を利用して発酵させるんだって。面白いね」と、当地のローカル納豆を購入したのです。

それは「ああ、昔の納豆ってこういうものだったんだろうな」というもので、茹でた大豆が少し糸を引く程度のものでした。現代では当たり前の「純粋培養された強い納豆菌でガッツリ発酵し糸が良く出るもの」ではない、現代基準で言えば中途半端な発酵具合のものだったのです。

とりあえずそのまま食べてみましたが、物足りない。香りも味も「納豆になり切っていない」感じです。そこで私は「ああ、もしかしたら魯山人の時代の納豆ってこういうものか、これに近い物だったのではないか?」とピンと来て、この自然発酵の納豆を魯山人方式で調味してみました。

そうすると、なんて事でしょう!味が出て美味しくなるのです。

そんな事があり、私は

「ああ、こういう事だったのねー・・・魯山人先生、疑ってすんません・・・」

と思った次第です。

魯山人の料理本では「発酵が悪く粘りが少ないザクザクした納豆ではいけない」と指摘していましたから、当時の納豆の出来は不安定だったわけで、なるべくしっかり発酵している物を選んでも現代のエリート納豆菌によるものとは比べるべくもないでしょう。(どちらが美味しいか、好みかは別として)

まあ、もちろん私がその時代に生きていたわけではありませんし、本当の所は分かりませんが、魯山人の納豆の調味法について疑っていたけども、その疑いが晴れたというお話でした。いつものように、話が少しズレました。どうもすみません。

そうそう、私は納豆に、ダイコンの細切りと薬味のネギを混ぜ、塩味で食べるのを良くやります。青紫蘇や生姜や茗荷、白煎りゴマや焼海苔、あるいは島田海苔を加えても美味しいです。

ダイコンの千切りがしなっとする前、シャキシャキする間に食べ切った方が美味しいです。

私はこれが好きなのですが、ウチの家族はあまり好みません。納豆を塩で食うというのに抵抗があるそうです。

それはともかく、

納豆や卵料理の食べ方は皆さん一家言お持ちでいろいろご意見があろうかと思います。

こういう事って個人の性癖が出ますから、面白いですよね。

もちろん、上記は私好みの納豆の食べ方に過ぎません。異論は大いに認めます。笑


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