カフェオレとコーヒー

子どもの頃は日曜だけがおやすみで、週に一度の特別な日だった。いつもの朝とは違ってゆっくりとブランチを家族で食べて、牛乳たっぷりのカフェオレを飲ませてもらえた。いつものガラスのコップとは違う厚手のカップ。うれしくて、ゆっくりゆっくり飲んだ。

夏休み、母の実家のある広島へ。朝ごはんを食べている私と弟のそばに置かれた森永のカフェオ・レのパック。めったに会えない私たちのために用意された飲み物。普段はごはんどきに甘い飲み物は許されない。私たちは喜んで飲んだ。

学校から帰ると、我が家はコーヒーの薫りがした。母がドリップコーヒーを淹れている。同じマンションの人たちが集まって、何やら楽しそうに話している。私は混ざりたくて、でも子どもなので外へ遊びに行かないといけなかった。

母がお友達に出しているコーヒー豆はいつも同じお店のもの。バスに乗って買いに行った。あれこれ見て回った最後はヒロタのシュークリームを買って帰る。ときどきシューアイス。夏には北極のアイスキャンデーも。うれしいお出かけの思い出。

いつしか私は自由に出かけられるようになり、好きな飲み物を飲めるようになった。当たり前のように毎朝カフェオレを飲む。自分で選んだ好きなカップで飲む。

スタバデビュー。結婚祝いでもらったネスカフェのバリスタ。妊娠してカフェイン断ち。シートン動物記で読んで以来の憧れのタンポポコーヒーを試しての落胆。子育ての合間にまたコーヒーを飲む時間をと、あれこれ試したカップで淹れるドリップバッグ。

そしていま、カフェインレスコーヒーとたっぷりの牛乳でカフェオレ。カフェインの影響や体調に思うところがあり、原点回帰。出かけた先でたまに飲むコーヒー。

特別と日常を往き来するコーヒーが、毎日の中に少し素敵な彩りをくれる。


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