古代色覚と発音の関係
古代の人々は、色をどんな風にとらえていたのか。
日本では、色そのものを表現する言葉は無く、
明
暗
顕
漠
という四種の表現があったらしい。
明は「明るい」で赤に
暗は「暗い」で黒に
顕は「著しい(ハッキリした)」で白に
漠は「淡い(ボンヤリした)」で青に変わった。
古代ギリシャでも、色は質感やそれ自体のもつ性質を表現したものであり、明度、彩度の違いが重要であった。
例えば、流れたり動いたりするものは「紫色」であり
海や波は紫色と表現された。
何故このような事象が起こるのか原因を考えてみると
「色覚」が違う事に由来する可能性が高いと思う。
色覚は色の違いを見分ける能力になるが
一型色覚の人は「白と黒」の世界で生きているが、明るさを感知する能力は非常に高く、わずかな月明かりの暗闇の中でも漁をし、星を探すのが非常に得意だそうだ。
この事実から、夜行性の人間の生活において、一型色覚は非常に有利であった。
夜行性の人間の生活ー移動型の人間である。
海や砂漠など目印となるものが周囲にない場合、
夜空の星は方角を示す重要な手掛かりとなる。
砂漠などでは昼は暑いため、夜間移動したであろう。また、色覚の乏しさは狩では有利に働く事があった。
しかし、人類が定住するようになった時、必要な色覚は、より色を見分ける能力に変化したのではないだろうか。その感覚が、色の概念を生み出す。
農耕など昼型の生活において、「色」の色調の変化ー季節の変化を感じとる事が重要になった。
定住は都市を作り、人間の集団規模を拡大させた。
こうして意思疎通の為の言語化の必要性が増していく。
さて、発音である。
音に色を感じる事を「共感覚」といい、脳の仕組みである。
共感覚は個人差が大きいとされるが、
ドレミファソラシの音階と虹の7色が相対していると明らかにされている。
ドー赤
レー黄
ミー緑
ファーオレンジ
ソー青
ラー紺
シー紫
また、E音は青緑、F音は紅色とも言われる。
Fは陽(フィ、ヒ)である。
オレンジ色の太陽の色。
火(ひ、カ)は明るい。赤であり、ドの音階。
陽と火の光りの性質の違いは、背景にある。
白昼に光る太陽
夜の闇に光る火(おそらく星の光も同一)
色と光の三原色はそれぞれ違う。
光は黒を背景とした、赤、青、緑
色は白を背景とした、青緑、赤紫、黄である。
人類史において、まず人間は暗闇の中に色を感じた。
見たのではない、まず、感じた。そして発音した。
a i u e
赤、白、黒、青
古代日本では緑と青の区別がなかったことから光の三原色は色覚からの関係上、ニ原色だったと考えられる。
時代は下り、太陽の下で物を見るようになった。
色の世界は変わった。
色の三原色ー青緑、赤紫、黄色で構成される世界。
黄(オウ)ー王ーO音が加えられる。
この色に対する意識の違い考慮せずに
言語の成立は語れないと感じる。
光と色と音の波長、古代の人々はしっかり感じていたのではなかろうか。
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