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鵺の鳴く夜はおそろしい…?  青山の鵺よ、その仮面をめくっておやり!

鵺(ぬえ)の鳴く夜はおそろしい…で知られる鵺。

鵺とは何か。
外見は、猿の顔、狸の胴体、前後の肢は虎、尾は蛇。
文献によっては胴体については何も書かれなかったり、胴が虎で描かれることもある。
「ヒョーヒョー」という、鳥のトラツグミの声に似た大変に気味の悪い声で鳴いたと言う。

トラツグミは森の中で夜中に細い声で鳴くため、夜の鳥鵺(ぬえ)と呼ばれ、「うらなけ」「片恋づま」「のどよふ」という悲しげな言葉の枕詞となっている。

古事記では大国主(八千矛)が、高志国の沼河比売を夜這いする歌に登場する。

青山に鵺は鳴き
さぬつ鳥 雉(きざし)はとよむ
庭つ鳥 鶏(かけ)は鳴く

高志国の青山と言えば、誰もが立山を想像する。
沼河比売は、翡翠の産地糸魚川の姫川である。

雉は矢鳥、風を表す。風は天候の兆し。
鶏は、夜明けを告げ、カケカケ鳴くため卦占の巫女にも例えられる。
鵺は得体の知れないものの例えに使われる。
猿の顔は申つまり西南西を、狸の胴体は皮フイゴ(狸の皮で作られた)を、虎の足は踏フイゴ(タタラ)を、蛇の尾は川(水)を表していると思う
また、猿は知恵(暦)、狸は富(商売)、虎は武力、蛇は算術(測量)にもあたるだろう。
つまりこれら全てに精通していた一族が鵺である。
猿は申=西南西、西風は秋風、もの寂しい秋風、ヒョーヒョーと鳴くトラツグミの声が秋風に掛けられた。

鵺はその特性から、風使いといえる。
それを支えていたのが雉と鶏、風読みと卦占。
気象予報にあたる。

西南西の風は、強風と関係している。
世界中で西風はいつも文化を運んでくる存在である。


ヤマタノオロチは高志のヤマタノオロチと言われる。
製鉄鍛治との関わりを指摘されてきた。
鵺の特性を見ると、製鉄鍛治との関わりが非常に強いと思われる。

大国主は何故、八千矛と言われる?
矛は刺すモノ、つまり寒風を意味しており、
たくさんの冬風と言う意味以外に、
八は左右に分断する意味があることから
風を分断する事を伝えたがっている。

さて、この風を分断するものは何か。
本州中央部に吹き付ける冬の季節風の下層流は、中部山岳が障壁となって西回りと北回りに分流し、西回りは若狭湾から伊勢湾を吹き抜け、北回りは上越国境の山脈を越えて関東平野を吹き抜け、伊豆諸島北部付近で合流しそこに収束線を形成する。


日本アルプスが風の分断地帯となっている。

虎落笛(もがりぶえ)とは冬に強い風が竹垣などにあたって鳴る笛の音のような高い音。
ヒューヒューなる笛の音。
冬の季語だが、語源は中国で虎を防ぐ竹の柵の城壁を虎落といったことからくる当て字のようだ。
虎は西方白虎、つまり西の強風。五行では秋。この強風に耐えうるのは、天然の要塞、山。


スサノオが作った八重垣
妻を隠した八重垣
八雲立つ出雲は何処にある
雲が湧き立ち、垣根のように聳え立つ立山連峰

立山は東日本と西日本に列島を分断した。
しかし二つに分断された風は、伊豆で再び合体し、第三勢力を形成した。
富士山勢力圏。コノハナサクヤヒメ。

古事記の作者は、カケカケ掛け合わせて物語を創作していった。
だが、一番伝えたかったのは妻を隠した場所だろう。
妻は何を意味し、何処に隠したのか。
沼河比売が重要な鍵を握る。









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