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北海道ひとり旅 キャンプツーしてみた 26

9月1日 14:10
利尻島の鴛泊港に到着。
今回、利尻島へ来た目的は、バフンウニ!(もちろん、登山もあるけれど)
フェリーターミナルの前に食堂が2軒あり、ウニ丼もあるようだったけど、観光地価格だと嫌だなぁと思って、宿でオススメを聞いてから食べようとまずは宿へ向かった。

フェリーターミナルから宿泊予定の宿までは2キロ弱。このくらいならと、歩くことにした。

これが思っていた以上に大変で。防水のワンショルダーのバックに、着替え、洗面道具、水2リットル一本に食料と、重たい荷物。加えて、直射日光と暑さと、トレッキング後の疲労。
本当にしんどかった。

チェックインの15時までは少し時間が早かったので、少し寄り道。海岸そばまで行ける路地があったので、海を見に行くことにした。
路地を曲がると、昆布を干している男女3人がいて、声をかけて昆布干しの様子の写真を撮らせてもらった。
利尻といえば、利尻昆布が有名。これがあのおいしい利尻昆布になるんだなぁと、カメラに収める。

海岸の隣には小さな漁港があった。
海は感動するくらいに透明で、昆布がゆらゆら揺れているのが一目でわかる。
本当にきれいな海。
海へ続くスロープには、潰れたウニの殻が転がっている。

この漁港は「泉の袋澗」という、ニシンを漁獲するための施設だったそうだ。
波よけ用に石積みで囲われた船だまりを、ニシンを時化で失わないように袋網に小分けして一時保管をするのに使われていて、漁業遺産にもなっている。ふらっと寄ってみた場所に、そんな歴史的価値があったとはびっくりだ。
ちなみに現在も、ウニ、昆布漁の漁業基地として使用されているそうだ。

漁港を見た後、元来た道を戻っていると、昆布干しの3人に声をかけられ、オロナミンCをいただいた。
荷物は重いし汗だくだったので、冷たくシュワっと炭酸で、ものすごく美味しい。思わず一気飲みしてしまった。

よく見ると、3人とも結構若い人たちで。しばし立ち話。
昆布干しの風景を写真に撮りたいなんて、珍しい人がいるなぁと思ったらしい。

昆布漁は、朝から漁をし、午前中に干して、午後には回収するのが通常だが、この日はたまたま遅くなり、午後この時間に干していたそうだ。

旅の経緯などを話したり、世間話をしているうち、せっかくだから地元の方に、ウニ丼のおすすめのお店を聞いてみようと思いついた。

「利尻でバフンウニ丼を食べようと思っているのですが、おすすめのお店ってあります?」
「利尻のバフンウニ漁は8月いっぱいで終わっちゃったよー。今はムラサキウニの漁の時期で、それも9月で終わりだけどね」

と、大ショックな事実が判明。
1週間、稚内で足止めされているうちに、そんなことになっていたとは…。
完全に盲点だった。(うっかりしていただけとも言えるが…)

こうなったら一刻も早く、バフンウニを探しに行くしかない!と、急いで宿に向かった。

この日の宿泊は「利尻ぐりーんひるiin」
恵山の水無海浜温泉で会った男性からおすすめしてもらった宿だ。
チェックインの時に、おすすめされて来た事を伝え(男性の名前は聞かなかったから、どんな人だったか伝えるのに苦労した)泊まるという約束も果たせた。
宿といってもゲストハウスに近く、部屋は相部屋。この日は客が少なく、女性は私1人だけ。なので、部屋も貸切だった。キッチンもあり、自由に使うことができるので、自炊もできる。

部屋に荷物を置き、ウニ丼探しの旅へ。
宿の方にもウニ丼の食べられる店を聞いてみる。答えはやはり、バフンウニ漁が昨日までということ。そして、安く食べるならフェリーターミナルのところにある漁協がやっている直売所で塩水ウニを買ってきて、宿でご飯を炊いて乗せて食べるのが1番、ということ。
(実際にそうやって自分でウニ丼を作って食べる人がいるらしい)
ただし、漁期は8月31日までだけど、実際はその前にバフンウニの漁は終わってしまったので、もしかしたらもう生ウニは無いかも…ということだった。

僅かな望みに賭けて、とりあえず行ってみることにした。
再びフェリーターミナルまで歩く。タッチの差で売り切れ…なんて事になったら、悔やんでも悔やみきれないので、歩くペースも早くなる。サクサク歩き、15分ほどで到着。
身軽なのもあったが、その原動力はウニとしか言いようがない。

直売所に入り、店内をウロウロ。冷蔵コーナーを見ても、ほとんど商品がないし、ウニの姿も見当たらない。
レジの人に尋ねると、塩水ウニはもう入荷が無いそうだ。そりゃそうだ。

結局、フェリーターミナル前の食堂で食べる事にした。明日になったらもう無くなっているかもしれないし、今、食べないと!
入った店は「食堂さとう」。着席の前に、ウニ丼がまだあるか確認する。

「まだありますよ」
「そしたら、ウニ丼をお願いします」
「今日からムラサキウニ漁が始まったから、2色丼もできるけど。しかも、値段も少し安くなったの、今日から」
「じゃあ、2色丼にします!!!」

迷う事なく、2色丼を注文。
待つ事数分。ついに念願の利尻のウニ丼が出てきた。

ウニは、大大大好物。
「死ぬ前最後に何食べたい?」
と聞かれたら、迷わずウニ丼と答えるほど。
今までは、バフンウニ至上主義だったが、積丹でムラサキウニを食べてからは、ムラサキウニの美味しさにも目覚めた。
そんな大好物のウニ丼を現地で食べられる幸せ。ウニのためなら金は惜しまない。

超濃厚なバフンウニに、濃厚さもありつつ後味がさっぱりしているムラサキウニ。どちらも、とてつもなく旨い。

今回の旅の目的は、道の駅と利尻島でバフンウニ丼を食べることだったから、ウニ丼を食べることができて、本当に良かった。ここまで来て食べられなかったら、大ショックで立ち直れなかったかもしれない。

「うちは保存法が良いから、塩水ウニの持ちが良いの。他のお客さんからも、ここのウニが1番美味しいって言われるのよ」
と、店のおばさんが教えてくれた。手作りの昆布の佃煮もとても美味しかった。

宿の近くに、夕日ヶ丘展望台という夕日スポットがあり、ここで、夕日を見に行こうと思っていた。
ウニ丼を食べた後、そのまま展望台へ。
展望台にはすでに数人がいて、私のあとも続々と人が登ってくる。
夕日にはちょっと早いかな、と思ったが、早めに来て大正解だった。展望台の1番上の良い場所を確保できた。
ただ、日中暑く薄着のまま行ったので、肌寒かったのが辛かった。でも、ベスポジのこの場所を離れることはできないので、寒さは耐えるしかない。

少し雲があったので、夕日が沈むところが見れるか心配だったが、一旦雲に隠れた太陽が再び雲から現れ、礼文島へ沈む夕日を見ることができた。感動的な風景だった。

時間は少し戻るが、食堂から宿に向かって歩いている最中、足元が何かおかしい。トレッキングシューズを見ると、靴底が取れかかっている。
運良くホームセンターがすぐそばにあったので、駆け込んで靴用の接着剤を購入。宿に戻ってから、修理をしたが、みるも無惨な姿に…。
接着剤がくっつくまでと、持っていたガムテープでぐるぐる巻きにしたのだ。
買ったのがかれこれ10年以上前。履かなかった時期もあり、もともとやや劣化していたが、ついに来るところまできてしまった。
まだ、登山の予定があるし、この旅中だけでも頑張ってくれないと困るので、応急処置だ。

靴の修理に時間を取られてしまったが、寝る前にもう一つやることが残っている。翌日用のおにぎりを作らなくては。
深川の道の駅で精米した米を塩水で炊いて、塩むすびに。2合炊いたから、大きいおにぎりが4つもできた。

夜は、宿でガイドさんが利尻島についての上映会を開催してくれた。
話を聞いていると、やはり利尻山に登るのは時間的に無理そうだ。以前、登った時も、早朝から登り始めて、宿に戻ったのは午後だった記憶がある。翌日稚内へ戻るのに、午後のフェリーに乗りたい。
なので、ポン山経由で姫沼へと続く、トレッキングコースを歩くことにした。早朝の姫沼は、利尻富士が水面に映って鏡のように見えるらしい。
次回訪れる時は、再び、利尻富士登山にチャレンジしようと、心に決めた。

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