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今の私はアイドルになれない

私は人間の一生から見ても、社会的な年齢から見ても、まぁ大体のものごとから見ても「まだ若い」方には入るとは思うのだけど、「若いうちにやっておけばよかった」と思うことを3つ抱えています。

それは「ドラムを叩くこと」と「ヒップホップダンスをすること」と「アイドルになること」。

これを書いている今は37歳なのですが、なんというかこう、10代とか20代前半あたりまでの、なんでもスポンジのように吸収しちゃえてかつ若さゆえの「とりあえずアクセル踏んじゃおう」感のあるうちに、これらをやっておきたかったなぁ…と事あるごとに思うのです。


ですが年を重ねるにつれ、「やりたかったなぁ、やっておけばよかったなぁ」と思うこれらが「まぁ多分やっても向いてなかっただろうし、縁がなかったんだろう」と消化できるようにもなりました。

いつまでも悔いていても仕方ありません。それにドラムは30歳のときにさわってみた経験があるのですが「あーこれ私無理だわ」と思ったし、そもそも私は運動神経だけどこかに置いてきたような人間なので、ダンスなんて踊れるとは思えないのです。

なので、「やっておけばよかった」と熱烈に思う時期は過ぎて、今は「まぁ、人生できないこともあるよね」ぐらいに思っています。
今からでも始めるには遅くはないのかもしれませんが、なんとなく私の中で納得した区切りは打てているのです。


そう区切りを打っていることは自分でも認識しているのですが、唯一まだ心残りなものがあります。それが「アイドルになること」。
記憶している限り、10年以上前から「アイドルになりたいなぁ」と漠然と思っていました。当時「3時間でいい、ステージに立って歓声を浴びたい」と周りに漏らしていたことも覚えています。


10年以上前。10年以上前と言っても24、5歳です。そして今は37歳。一般的に想像するアイドル像ならびにオーディションなどで求められる年齢からも大きく外れています。


ですが私は「むしろアラフォーという年齢だからこそ輝けるアイドル像もあるのではないか」と思い、「アイドル 40代」「アイドル アラフォー」などで検索をかけてみました。

そうしたら、本当にいらっしゃるのです。アラフォーというか、「アイドルは若い子」という概念を覆すようなアイドルが。
モニターに映る皆さんは、とても輝いていて、綺麗で、チャーミングでした。そしてなによりふわっとした勇気をもらえたのです。「やろうと思えば年齢関係なくなりたい自分になれるんだ」と。


私はどうしてこんなにアイドルに憧れるのでしょう。
多分、前述の「3時間でいい、ステージに立って歓声を浴びたい」と言っていたあたり、「ステージに立ち、歌うという自己表現で共鳴を得たい」と思っていたのかもしれません。元々表現することが生きる手段のひとつで、歌うことも上手か下手は置いといて好きですから。
ですが、年を重ねるうちに、そういった一行で収まるような理由にはならなくなってきました。


なんていうんでしょう。このご時世そういう様子が受け手側も見られるようになりましたが、「努力を支持されたい」のかもしれません。自分の限界を越えるほどの努力をし、そして「自分」という存在が誰かの支えになり励みになり「推し」になり、それを自分が好きな「歌う」ということを通じて一体化したかったのかもしれません。

「私はあなたの支えになりたい」「わたしはあなたを推す」。そんな繋がりで私は自分を磨き、輝いていたかったのかなと。なにかを挟むのではなく、自分自身が表現そのものとなることに私は憧れていたのだと思います。


ということで、恐らくこの2024年という世界では「アイドル=若い子」という式はもはや成立しないことを知ったので、やろうと思えば私はアイドルになれるようです。

でも、良くも悪くも37歳。私は自分の身の丈と自分の限界と自分の適した世界をそこそこ知ってしまっているのです。
それはアイドルという世界ではないことももう知ってしまいました。「まぁ、人生できないこともあるよね」です。

それに実名でこうやって自分の素性を投稿しているあたり、アイドルとしての適性はないような気がします。もっとトドメを刺すのなら、私はそんな、支持を受けるような容姿ではありません。「そういう主観は関係ない」のかもしれませんが、四肢に自傷痕があるあたりでもう向いていないのは分かっています。


アイドルになれないと悟った今、私はできるときに文章を書き発信し、そして気まぐれに絵を描いては発信する大人になりました。

これが「自分自身が表現そのもの」となるのかも誰かからの「推し」になるのかも、そういうことは分かりません。
でも自分の持っている手札で満足に表現・発信できているとは今のところ思っています。


私がもっと年を重ねて還暦になった頃、もし還暦のアイドルが当たり前になっている世界がそこにあるのなら飛び込んでいるかも分かりません。今はできないこともあるけれど、人生なにが起こるかも分かりませんから。

とりあえず今はアイドルにはきっとなれないんだろうなとは分かっているのですが、そういった「努力の先にある自己表現で、誰かの支えになり心を揺さぶりたい」という、心の奥底にあるキラキラしたものは絶やさないでいたいと思います。きっとこれって、文章や絵を通じて表現・発信するときにも忘れたくない気持ちだと思うので。

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