見出し画像

164. 試合に勝っても負けても必ずやっていること

今日は僕が試合に勝っても負けても、必ずやっている一つの行動についてお話をしたいと思います。

僕が試合の後に必ず行っていることはとてもシンプルで、それは「試合に来てくれたお客さんに、ありがとうを伝える」ことです。

と言っても何か特別なことをやっているわけではありません。具体的に僕が何をやっているかというと、ホームゲームが終わった後に、すぐに控室に戻るのではなく、必ずリンクを一周しながら、試合を見にきてくれた方々に対して、手を振ったりスティックを振ったりしながら、感謝の気持ちを伝えています。

これは、勝っても負けても、必ず行なっています。

これは僕個人の考えですが、プロ選手(というか応援をしてくれる人がいる立場)である以上、試合を見にきてくれた方々や、オンラインでも応援をしてくれているファンの方々を喜ばせることは、選手側の責務だと思っています。

これは僕自身のプロ選手としてのマインドセットにもつながる話になりますが、僕はプロとは「スポーツを行うことで報酬を受け取る以上、お客さんを最大限に楽しませることが役割である」と考えています。

なぜなら、僕たちがプロ選手として活動できる理由は、見に来てくれるお客さんが存在するからです。

「見てもらう」ことが大前提な仕事である以上、見てくれる人がいなくなってしまったら、それはプロとして成り立たなくなります。

だからこそ僕は、試合をわざわざ観戦に来てくれたお客さんが、リンクにいる時間を楽しんでくれる機会を最大限に増やすことが、アスリートとしての義務であると考えています。

最初の話題に戻りますが、試合に勝っても負けても僕が手を振る理由は、至ってシンプルです。勝敗に関わらず、自分たちを応援してくれた、という事実は変わることがないからです。

もちろん選手たちは、どの試合も勝つためにプレイしています。しかし、スポーツである以上、負けることもあります。ずっと勝ち続けられるチームはありません。

そんな中でも、わざわざリンクに足を運んでくれたり、画面越しにチームの勝利を願ってくれる人たちは、かけがえのないほど貴重な存在です。だからこそ「お礼」を伝えることが大切だと思っています。

これは、地域のファンの方々に限りません。現在僕はアメリカでプレーをしていますが、以前にはヨーロッパのチェコでプレーしていた経験もあります。

こうした場所でも、日本からわざわざ僕の試合を観に来てくれる方々がいます。決して安くない移動費を支払ってでも、限りあるスケジュールの中でも、なんとか時間を作って僕がプレイしている姿を見にきてくれる人たちがいます。

これは、言葉で表すことが難しいほど、本当に特別なことだと思います。僕の試合のためだけに国をまたいでリンクに来てくれる人たちがいます。

もちろん選手やチームとしては、常に良い結果を出すことに全力で取り組んでいます。でも、毎回結果が出せるわけではありません。だからこそ、勝敗に関わらず、ファンの方々に楽しんでもらえることが非常に重要になります。

そして、お客さんを喜ばせることは、選手側の些細な行動やちょっとした気付きさえあればできることです。どの選手にも可能です。

手を振ったり、パックをあげたり、コミュニケーションを取ったりと、とにかくリンクにいる人たちがどうすれば「今日は来てよかった」と思えるかを、常に考え続ける必要があると思います。

スーパープレイを見せることや、白熱した試合を見せること以外にも、選手個人でできることはたくさんあると思います。

僕は、周りの方々が僕のために時間を割いてくれることに本当に感謝しており、その価値を深く理解しています。これは当たり前のことではなく、ものすごく特別なことです。この文章を読んでくださっている方々ももちろんそうです。

だからこそ、皆さんが提供してくれている時間に見合う、もしくはそれ以上の価値を提供し、楽しんでもらえるよう心がけています。(この部分に関してはまだまだ未熟ですが…)

これが、僕にとってのプロフェッショナリズムです。

「今日は調子が悪いから」といって、試合中でも、試合が終わった後でも、愛想を悪くしたりする選手も中にはいます。そういった行動を取ることは選手それぞれの自由です。でもそれは、僕の考えるプロフェッショナルとは違う姿です。

僕は常に名将野村克也監督のこの言葉を胸に刻んでいます。

「選手にとっては数ある試合のうちのひとつでも、観客にとっては一生に一度の野球観戦かもしれない」

アイスホッケーでも同じです。どれだけ自分の調子が悪くても、どれだけチームがボロ負けしていても、全力でプレイする姿勢や、お客さんを喜ばせる姿勢を失ってはいけません。それは、プロ失格だと思います。

どんな状況でも、その試合が特別な舞台になるように、ファンの方々に楽しんでもらいたいと思っています。そして、今後もこのこの信念は常に持ち続けます。

ということで、もし今後僕の試合を見に来てくださる方がいたら、試合前、試合中、試合後、リンクに乗る前など、いつでも声をかけていただいて構いません!

選手によっては試合前や試合中のコミュニケーションを避ける人もいますが、むしろ僕はウェルカムです。人と話すことで、リラックスできたりします。

もし今後僕の試合を見に来ていただく機会がある場合は、常識の範囲内で、どんな時でも遠慮なくお声がけください!

今回は、僕が試合に勝っても負けても必ずしていることについてお話しさせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

三浦優希

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?