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167. 試合中に自分の得意スキルを発揮できる機会って何回ある?

みなさんこんにちは。三浦優希です。

今回は、試合中に自分の得意なスキルを発揮できる機会について、お話をしていきたいと思います。結論から言うと、そのようなチャンスは1試合に多くて2-3回です。

なぜ、そうなるかを説明していきます。アイスホッケーの試合時間は20分×3ピリオドの60分間です。アイスホッケーは交代がいつでも認められているスポーツであり、1シフトは40-45秒ほどが一般的です。選手一人一人の1試合あたりのアイスタイムは、合計20-25分ほどです。(もちろん選手によります)

その中で、自分がパックを実際に保持している時間の合計は、おそらく1分-2分程度です。それも、チームトップ選手でそれくらい。繰り返しますが、60分間の試合のうち、パックを持てる時間はたった1分ほどです。

このような短時間の中だと、自分の得意スキルを発揮できる回数は、多くて2-3回になる、ということです。

しかも、レベルが高くなっていけば行くほど、パックを保持できる時間は短くなっていきます。相手チームのプレッシャーが早くなるためです。一回のプレイでパックに触れている時間は、大体2-3秒ほどではないでしょうか。
この、「試合中に得意スキルを発揮できる機会は決して多くない」という事実は、海外でチャレンジを続けたり、より高いレベルでプレイを目指す選手は、しっかりと把握しておく必要があります。

そして、それと同時に理解すべきことは「試合の大半は、敵を止めたり、パスを繋いだり、体の当たり合いなどのプレーが圧倒的に長い時間を占めており、得点チャンスが訪れるのは、そういったバトルを勝ち抜いている選手にだけ」ということです。

言い方を変えれば「試合中訪れるたった数秒のチャンスを得るには、それ以外のすべての時間において、得点につながらないプレー、泥臭いプレー、みんなが嫌がるプレーを続けなければいけない」ということです。これが非常に重要なポイントになります。

勝利を掴むためには、他の誰もが避けたくなるような仕事・役割を果たすことが不可欠です。このような泥臭いプレイは、あまりスタッツには表れないかもしれません。外から見たら目立たないことかもしれない。でも、コーチやチームスタッフは、必ず気づいているし、評価をしてくれます。

アイスホッケーはコンタクトスポーツです。球際のバトル、ゴール前でのポジショニング争い、シュートブロックなどは避けて通れません。そして、そのような一見誰も気づかない細かい部分が、実は試合の勝敗に大きな影響を与えています。

ここ最近は、世界のアイスホッケー選手たちのスーパープレイが手軽に見れるようになりました。敵を何人も抜いて決めるゴールなどは、その分インパクトがあります。でも、それをできるのはトップレベルの中のさらにトップ選手だけです。試合の99%は、ハイライトには出ないようなプレイが行われている、といっても過言ではないと思います。

僕がこれまで一緒にプレイしてきた上手な選手たちに共通していることがあります。それは、スキルがとても高いことに加えて、自らチャンスとなる起点を作り出す能力の高さです。つまりそういった選手たちも、必ず泥臭いプレーをしています。

どんなに上手な選手でも、最初からパックを持って自陣から全員敵を向いてゴールを決めることは簡単ではありません。フォアチェックをして相手からパックを奪ったり、ポジション争いに勝つことでフリーでいる味方にパスを繋げたり、ゴール前に走り込んでパックを触ったりと、チームが勝つために必要なプレイをずっと続けています。

トッププレーヤーだからといって、チャンスが毎回必ず一試合に10回以上ある選手はほぼいないです。本当にずば抜けた選手じゃないと、そんなことは起こり得ない。

つまり、自分が超決定的チャンスを掴んだり、自分のスキルを見せつける機会に恵まれるには、まずはしっかり自分が献身的にチームのためにプレーをし続けることが必要です。そういう選手は必ず好まれるし、チームにとっても大事な存在になります。結果的に、アイスタイムも増えます。

この前Voicyで「ポイントにこだわれ」という話をしましたが、それは得点とアシストをすることだけを心がける、という意味ではありません。それ以前にやらなければいけないことはいっぱいあります。試合の大部分を占める、目立たないプレーをきっちりと行うことが、最終的には目立つプレーに繋がる、ということです。

実際に自分が試合中にパックを触る回数や時間や、思いっきりシュートを打てる機会が一体どのくらいあるのかを、もう一度考えてみることも良いかもしれません。

おそらくこれは、アイスホッケーに限らず他のスポーツでも同じだと思います。ボールを持っていないときの動き、みんなが注目していない部分での働き、といったものが、その選手の試合出場時間にも大きく影響してくると思います。つまり「与えられた役割を当たり前にこなす能力」です。

もちろんチャンスを作り出すことや、貪欲に得点を狙うことはとても大切です。少ないチャンスを活かして決めることもとても大切です。でも、もっと考えるべきは「それ以外の時間」のプレイです。ぱっと見、インパクトもないような地味なプレーを、どれだけ真剣に、愚直に、強い意志を持って続けられるか。

僕はこの大切さを、毎日感じています。

今回は、スーパープレーの陰にある、勝利に繋がる大切な試合中の要素についてお話しさせていただきました。少しでも参考にあれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

三浦優希

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