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発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 

 この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。


 発達障害という言葉は昔に比べるとかなり世の中に浸透してきているので、今では幼稚園や小学生といったいわゆるこどもの頃に「発達障害があるんじゃないか?」と疑われて、お医者さんの受診につながることが増えてきました。それ自体は良いことですが、そのせいでほぼ日本中どこでも、こどもの発達障害を診てくれる医療機関はパンクしています。ですので、お医者さんにかからなくても、自分で発達障害についての知識や基本的な考え方を学んで知っておくことは大切です。その方が、お医者さんとの診察時間を無駄なく活用できるでしょう。

 発達障害は少し難しい言葉でいうと「生まれながらに持っている認知や行動パターン特徴」と言えるもので、ものごとや対人関係や世の中をどのように捉え、どのように感じ取り、どのように考えたり、どんな気持ちになったりするかについての、それぞれの人の捉え方の特徴のことです。人によって感じ方や考え方が違うことはみんなわかっていると思いますが、その感じ方や考え方、行動の特徴が極端すぎると、世の中で生きにくくなってしまいます。そういう人たちのことをうまくサポートするために「発達障害」という診断が必要になると考えてもらうとよいです。では、具体的にどのような特徴がある人が「発達障害」と呼ばれるのかを具体的に説明していきましょう。

 発達障害を疑われるこどもが受診したときに、まず見極める必要があるのは、知的な遅れがないかということです。

発達障害の重なり

 上の図は発達障害を考えるときに基本となる図になるのでよく見てください。まず知的な水準についての遅れ、専門的に言うと「知的障害(知的発達症)」がないかというのを、検査で調べる必要があります。検査といっても、いくつかのクイズやパズルのようなものを組み合わせた「知能検査」と呼ばれるもので、こどもの場合、最も一般的な知能検査は「ウェクスラー式知能検査(WISC)」と呼ばれるものがよく使われます。WISCは年を追うごとに内容が改訂されていっていて、2023年現在だとWISC-Ⅴと言われる「第5版」が最新のものですが、新し過ぎてまだそんなに行き渡っていないので、WISC-Ⅳ「第4版」が使われていることが多いです。WISCについて詳しく知りたい方はこちら https://junior.litalico.jp/column/article/025/
 
 ※LITALICOさんのページは私のnoteよりずっと詳しいですよ(^-^;


 この検査で測るのは、その人のIQと呼ばれる認知能力です。IQは、学校の成績を評価する偏差値のようなもので、普通の偏差値は50が平均になるように作られていますが、IQは100が平均になるように作られています。そして85から115の間におよそ68%のこどもが、70から130の間におよそ95%のこどもが収まります。ですので、IQが70未満の場合について、「知的な遅れがある(知的発達症)」と診断されます。この場合、言語聴覚的な能力や視覚情報処理能力、対人社会性など、様々な認知能力が全般的に平均的にゆっくりである、つまり実際の年齢より数年幼いこどものように見えるということになります。

 IQはこどもそれぞれで様々ですが、IQが高くても低くても、上の図にあるような、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習症(LD)といったようないわゆる「発達障害」の特性を持っているこどもがいます。

 次はADHDについて説明いたします。


 また、動画でキホンの内容を見てみたい方は下記のYoutubeをご覧ください。


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