水原祐起@みずはらクリニック 児童精神科・精神科・心療内科

https://mizuhara-cl.jp/ 京都の「みずはらクリニック」の精神科医…

水原祐起@みずはらクリニック 児童精神科・精神科・心療内科

https://mizuhara-cl.jp/ 京都の「みずはらクリニック」の精神科医。患者さんやご家族に役立つリアルな臨床情報をわかりやすく発信します。 http://seedkyoto.net/ 摂食障害の地域支援を行うNPO法人SEEDきょうとの理事長も務めています。

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不登校は問題行動ではない

 発達特性を持ったこどもをたくさん診療していることもあって、不登校になっているこどもにもたくさん出会います。学校に行けないことは、こどもにとっても親にとっても、学校の先生にとっても頭を悩ませる問題なのですが、まず確認しておきたいことは、そもそも「不登校は問題行動ではない」と国も通知を出していることです。  これには私も賛成です。不登校になったこどもについて、解決すべきことは「学校に行けるようになること」ではないと、まず周囲の大人が理解することが大切です。そのため、不登校児の

    • 普通の不登校(精神科医はそんなに役に立たない)

       「不登校は問題行動ではない」の記事の反響が大きかったので、しばらく不登校をテーマにしてこれまでの臨床経験から得られたものをシリーズで記事にしていきたいと思います。  今回は「普通の不登校」について考えてみたいと思います。すこし長い文章になっていますが、とても大事なポイントなので、お付き合いください。  ここでいう「普通の不登校」とは、不登校の背景に、これまで書いてきたような「自閉スペクトラム症の不登校」や「ADHDの不登校」、「学習症の不登校」や「不安障害の不登校」とい

      • 学習症の不登校(勉強が苦手)

         「不登校は問題行動ではない」の記事の反響が大きかったので、しばらく不登校をテーマにしてこれまでの臨床経験から得られたものをシリーズで記事にしていきたいと思います。  発達障害の特性のあるこどもは、どうしても不登校になりやすいと言えます。自閉スペクトラム症、ADHD、学習症のいずれもそうです。前々回はADHDの不登校(自己コントロールが苦手)について書きましたが、今回は学習症の不登校について考えてみます。  学習症の特性については「発達障害を考えるときのキホン4 〜限局性

        • 不安障害の不登校(外出自体が苦手)

           「不登校は問題行動ではない」の記事の反響が大きかったので、しばらく不登校をテーマにしてこれまでの臨床経験から得られたものをシリーズで記事にしていきたいと思います。(といっても、前回書いてから、だいぶ時間がたってしまいました・・・)  発達障害の特性のあるこどもは、どうしても不登校になりやすいと言えます。自閉スペクトラム症、ADHD、学習症のいずれもそうです。前回はADHDの不登校(自己コントロールが苦手)について書きましたが、今回は不安障害の不登校について考えてみます。

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        • 発達障害と不登校
          6本
        • 発達障害を考えるときのキホン@みずはらクリニック
          5本

        記事

          ADHDの不登校(自己コントールが苦手)

           「不登校は問題行動ではない」の記事の反響が大きかったので、しばらく不登校をテーマにしてこれまでの臨床経験から得られたものをシリーズで記事にしていきたいと思います。  発達障害の特性のあるこどもは、どうしても不登校になりやすいと言えます。自閉スペクトラム症、ADHD、学習症のいずれもそうです。前回は自閉スペクトラム症の不登校(集団が苦手)について書きましたが、今回はADHDの不登校について考えてみます。  ADHDの特性については「発達障害を考えるときのキホン2 〜ADH

          発達障害を考えるときのキホン5〜不安になりやすいかどうか〜

           この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。先に以下のリンクの記事をお読みください。 ・発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 ・発達障害を考えるときのキホン2 〜ADHD(注意欠如・多動症)〜 ・発達障害を考えるときのキホン3〜自閉スペクトラム症(ASD)〜 ・発達障害を考えるときのキホン4〜限局性学習症(S

          発達障害を考えるときのキホン5〜不安になりやすいかどうか〜

          自閉スペクトラム症の不登校(集団が苦手)

           「不登校は問題行動ではない」の記事の反響が大きかったので、しばらく不登校をテーマにしてこれまでの臨床経験から得られたものをシリーズで記事にしていきたいと思います。  発達障害の特性のあるこどもは、どうしても不登校になりやすいと言えます。自閉スペクトラム症、ADHD、学習症のいずれもそうですが、まずは自閉スペクトラム症の不登校から、少し掘り下げて考えてみましょう。  自閉スペクトラム症の特性については「発達障害を考えるときのキホン3〜自閉スペクトラム症(ASD)〜」に書い

          Dr.STONEとボヤボヤ病とメガネ(障害について考える)

           長男が「面白いよ!」と教えてくれたアニメ「Dr.STONE」には「スイカ」というド近眼のかわいいこどものキャラクターが出てくる。このアニメはなんらかの理由で人類が石化し、主人公の天才科学少年「石神千空」も石化してしまうのだが、そこから時が経って人類が科学力を失い、原始時代化してしまった未来に石化の解けた主人公が現れて、様々な知識と科学力で仲間を助けていくという話である。そして長男がいうように確かに面白いし、勉強になる。  そしてその「スイカ」という少年はド近眼で全然物が見

          Dr.STONEとボヤボヤ病とメガネ(障害について考える)

          発達障害を考えるときのキホン4〜限局性学習症(SLD)〜 

          この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。先に以下のリンクの記事をお読みください。 ・発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 ・発達障害を考えるときのキホン2 〜ADHD(注意欠如・多動症)〜 ・発達障害を考えるときのキホン3〜自閉スペクトラム症(ASD)〜  キホン1では知的発達症について、キホン2ではAD

          発達障害を考えるときのキホン4〜限局性学習症(SLD)〜 

          発達障害を考えるときのキホン3〜自閉スペクトラム症(ASD)〜 

          この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。先に以下のリンクの記事をお読みください。 ・発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 ・発達障害を考えるときのキホン2 〜ADHD(注意欠如・多動症)〜  キホン1では知的発達症について、キホン2ではADHDについて書きましたが、この記事では自閉スペクトラム症(ASD)

          発達障害を考えるときのキホン3〜自閉スペクトラム症(ASD)〜 

          発達障害を考えるときのキホン2 〜ADHD(注意欠如・多動症)〜 

           この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。先に以下のリンクの記事をお読みください。 ・発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜  キホン1では知的発達症について書きましたが、キホン2ではADHD(注意欠如・多動症)について説明したいと思います。まずは下のパンフレットのイラストを見てください。  これはADH

          発達障害を考えるときのキホン2 〜ADHD(注意欠如・多動症)〜 

          発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 

           この記事では、発達障害かもしれないと考えて受診される方やそのご家族、さらに発達障害を持つ方を支援する方、あるいはご本人が、発達障害を理解するための基本になる考え方をわかりやすく説明します。  発達障害という言葉は昔に比べるとかなり世の中に浸透してきているので、今では幼稚園や小学生といったいわゆるこどもの頃に「発達障害があるんじゃないか?」と疑われて、お医者さんの受診につながることが増えてきました。それ自体は良いことですが、そのせいでほぼ日本中どこでも、こどもの発達障害を診

          発達障害を考えるときのキホン1 〜知的障害(知的発達症)〜 

          みずはらクリニック 2023年10月2日に開院予定

          ~こどもから大人まで、地域の専門家として知識と経験に基づく医療を~  発達障害の含む多くの児童青年期の精神的な問題は、病気というよりは個人の特性と、環境との相性が良くないことで引き起こされます。  そのため児童精神科医の関わりとは、こどもを正しい方向に「治療する」というよりも、その子の個性や得意なことを伸ばし、苦手なことで必要以上に自信を失ってしまわないようにすることです。安心できる環境で、その子が自分の個性を生かして、心も身体ものびのびと成長できるようにすることが重要です