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小選歌集「やさしく起こす」

水のみを求めし肉の奥に在る愛だけが骨 よく曲がってる

この世の角部屋に住まいて海は魚眼の青と信じ続ける

生活の窓辺で星を洗う手に特別なことは何も起こらず

不可もなく部屋にからだはひとつきり秋雨は夜に彷徨いて降る

アルバムにタイトルがないわたしには名前があって夜明けが来ます

台風一過ふるえてるただひとをひとたらしめているかげぼうし

まっすぐ見てください大切なことだけが書かれている身体です

嫌われた罪なき者がいる部屋は流れ星だけ捨てられている

印鑑が傾いているぼくたちはまだ地球にはなじめていない

何時までも生きて欲しいと思えば新しい顔よどうか元気で

譲られた寝床についたゴジラたちやさしく起こす声になりたい

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