毒親からの解放ストーリー (6)

 お菓子とお茶をご馳走になっていた時、おばさまは少しの間私達と雑談した。その間、隣に座っていた娘の髪の毛をなでて、いい子いい子をしていた。しかも幼い子供にするように!
きっとその子は、いつもそうしてもらっているのだろうが、私には想像すら出来ない光景だった。
 
 母親というものは息子のことを可愛がるけれど、娘は母親のお手伝いと、母親の鬱憤ばらしの対照でしか無いものだと思っていたからだ。私は母から頭を撫でてもらったという記憶も褒めてもらったことも無い。私の記憶の中の母は常に私を支配下に置いて、私から喜びを奪う人だった。

 当然母の前に出ると、ビクビクしていた。いつ叱責されるかわからないので、なるべく母の目に付かないように、目立たないように毎日を過ごしていた。と同時に母から何か嫌なことをされるかも知れないという恐怖からなのか、母から目を離す事も出来ないでいた。
 
 そんな私の目の前で母と娘が仲良くしていてしかも母親の娘を見る目がとても優しい。私の家以外のお母さんは優しいのかも知れないと発見した瞬間だった。その日以来何度も友人とその母親の姿が浮かんでは消えた。
そしてなぜ私の母と他のお母さんの娘に対する態度がこうも違うのかと考えた。

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