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一般名詞になるうるタイトルが理想

昨日もしれっと自慢させていただいたが、ふるさと秋田文学賞のエッセイ・紀行文で、受賞しちゃいまして!と書きたいところだけど、佳作に選ばれ、授賞式にお呼ばれされた。


ふるさと秋田文学賞の選考委員が豪華

ふるさと秋田文学賞とは、小説とエッセイ・紀行文の2部門で構成され、秋田県を舞台とした、あるいは秋田県の自然・人物・風土・物産などを題材とした作品を募集するもので県内外を問わずどなたでも応募できる文学賞です

ふるさと秋田文学賞

今年で10回も開催されているのに、なんと今年初めて知ったおまぬけな秋田生まれが私である。しかも、知ったのが締め切りの2週間前。とはいえ、応募しなければ秋田出身とは言えぬとばかりに、あれやこれやとネタを書きまくり、1日で書いて、1日で再考して、1日で提出し、やり切った感満載だった。

ちなみに、「ふるさと秋田文学賞」と”秋田”という響きだけで、とってもローカルな文学賞かと思うなかれ。あ、秋田を田舎呼ばわりする私だけか。いやいや、これがこれがどうして選考委員が早々たるメンバーなのだ。

脚本家 内館牧子氏
説明はいらない。この名を聞いて知らない人はいないだろう。大河ドラマなど多くの脚本を手掛けている大御所

読売新聞特別編集委員 橋本五郎氏
報道番組のコメンテーターとして知っている人も多いのでは?癒しの笑顔がトレードマークのお方。とわたしが思っている

作家 塩野米松氏
日本絵本大賞受賞。塩野先生を知ったのは日刊イトイ新聞の定価0円の本「中国の職人」。これ、めちゃくちゃおもしろいのでぜひどうぞ。

と、こんなすんばらしい先生方に自分の原稿を読んでもらえるチャンスなんてそうない。もし、文学賞、かすって佳作にでもなったらなんと選評までもらえる豪華企画。

とはいえ、初めての応募だし、今回は時間もなかったし、応募することに意義があると自分を納得させて、応募したことに満足し、しばし忘れていたのだった。

目からうろこがボロボロと落ちる内館牧子先生の選評

授賞式まで1か月もない、10月中旬。秋田県の市外局番「018」から電話がかかってきた。

親が高齢になるにつれ、「018」から電話がかかってくると、何かあったんじゃないか!と心臓がバクバクするのがいただけない。なんだなんだと慌てて電話をとると(←スマホだからスライドするかw)

「秋田県文化復興化の●●です」

はて?文化復興と親の健康は関係なさそうだし、なんでしょ?と聞いていると、なんとふるさと秋田文学賞を受賞、あ、いや佳作に入ったそうな。

応募したことすらすっかり忘れていて、あ、そうだそうだ!と小躍りしようとした瞬間、は!と思い出した。
ということは豪華選評委員からの選評があるじゃないか!ということで、3連休、ばっちり予定がはいっていたものの、そんなもんはすべてキャンセルして、授賞式に出席。

さすがプロの先生方の選評は、褒めるだけでなく、次につながるアドバイスが深い!深すぎる。壇上に座っていたため、メモを取れなかったのが残念だったが、耳をダンボにして、今年一番の集中力を発揮して聞いていたので全部頭の中に入った。が、いつ忘れてもおかしくないので、noteに書いておくことにした。

人間を感じる人物描写
ネットでさまざまな情報が簡単に手に入る昨今。だからこそ、ネットでは得られない人間を感じられる描写が必要。物語を動かしているのは、登場人物であり、もちろん人間。その人間がそのときに、どう思って、どう悩んで、どうしてその場に立たされているか、人間の心理を丁寧に描かないと、人間が感じられないし、文章に魅力が出てこない。

ネット検索ではわからない人間の細かい心理を丁寧に書いてほしい。その点がどの作品にも足りなかった。

ほんとに首がおかしくなるくらいうなずいた。自分の原稿も読み直してみると、状況がわかるように書いているつもりだけれどその人が「どう感じたか」が深く書けていなかった。

と反省しているときに

「ここに座っているお三方は文章が上手い人たちです。でもうまいヘタ・・・」

文章がうまいと褒められて、にやにやしてしまい、集中力が途切れそのあとは聞き逃した。やっぱり褒められるとだらける子。

説明に終始したタイトル

一番声高に伝えていたのが、タイトルのつけかた。
冒頭に「タイトルが考えなさすぎる」
といわれて、これまたグサッときた。一応考えはしたが、字面で決めてしまったというのが正直なところ。

視聴者や読者をつかむにはタイトルは熟考しても熟考しきれないくらいしないといけない。
「都合がいい女」「週末婚」のような一般名詞になるようなタイトルが理想だし、これはライター冥利につきる。

小説にしろエッセイにしろ、中身の説明はタイトルにはならない。この説明をタイトルにする人が多すぎる。とっても残念。タイトルはとても重要だ。

はぁ~もう内館信者になりそうなくらいためになりすぎて、この選評を聞けただけでもこの場にいれてよかったと思った。

秋田美人は背中美人

はい、これが「タイトル考えなさすぎ」といわれた、わたくしめのダメダメタイトル。

「タイトルを見ただけで、秋田美人は背中がキレイな人のことを書いているエッセイってわかっちゃう。推理小説読んでいるのに最初に犯人がわかっちゃうそんな感じでかなり残念。もし、背中美人をタイトルにするならもっと背中美人を練って書かないといけない」

おっしゃるとおり。犯人わかったら小説を読む必要がないじゃないかと自分で笑ってしまったくらい、的確な表現。さすがプロ。さっきも書いたが、字面の美しさで決めてしまったところがある。

「文章のリズム、構成、ユーモラスさ、読み手を飽きさせないテンポ、よかったです。しかもね、文章の中にタイトルになりうる、いい言葉がたくさんあったのよね」

褒められて、ニタニタしそうになるのをぐっとこらえ、大人な余裕の女的な笑みを浮かべておく。と思っていたが、会場にきた両親いわく、だらしなくて見てられないほどにたついてたらしい。

ニヤツキは仕方ないとして、ヒントは自分の文章の中にあったとは!

ということで、タイトルの変更は受付しないらしく、文章の書き直しもNGなため、そのまま掲載されるようだが、noteにはアーカイブがアップされてから、選評をうけてのタイトルをアップしようと思う。

ちなみに橋本五郎先生には
「タイトルは確かに、内館さんが言った通りなんだけど、わたしね、なんかこのエッセイ好きなんですよ」

危うく、恋に落ちそうになりました。

書くことは本当に楽しい

「書くことは本当に楽しいです。だから書いてほしい。そして来年、ふるさと秋田文学賞に応募してほしい」と力説していた内館先生。

ということで、これを読んでいるあなた!来年の募集に向けて、まずは秋田を旅して応募しよう!もちろん、わたくしめも大賞めざして再チャレンジ!ここで宣伝することで、ライバルが増えてしまうが、秋田を調べて、訪れてくれる人が多くなるのは、秋田応援隊としてはうれしい限り。

映画評論家の水野氏じゃないが
「いやぁ~書くってほんとうにいいもんですねぇ~」
としみじみ思った授賞式だった。



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