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日本共産党の変化・田村体制のポイントと野党共闘の行方


共産・初の女性委員長に

日本共産党には20年ぶりのある変化が起きました。

それはトップである委員長の交代です。

これまで約20年間、日本共産党のトップを担っていた
志位委員長が議長に就任することで、委員長は田村智子氏となりました。

また田村氏が担っていた政策委員長のポストは
党の若手議員である山添拓氏が党の
政策を担う責任者となることも
今回の人事での注目点ですね。

デビュー戦は延期も

今回の補選で日本共産党初の女性委員長として
デビュー戦と言われていたのが4月の島根1区と
東京15区の補欠選挙です。

しかし候補者調整に回ったことで、候補者を下ろしたため、
デビュー戦は延期となりました。

そのため志位体制から田村体制となり、
集票力を見定める機会もなく、
まだ不明といえます。

新たに新任された副委員長と参議院議員団長に注目

さてメディアではそれほど大きく取り上げられていませんが、
田村氏がこれまで副委員長を担っていたため、
今回委員長就任で空席となり、
後任探しが必須でした。

そこで選ばれたのは田中悠氏です。

なお田中氏は共産党の幹部ですが、
国会議員でも地方議員でもないため
情報にアクセスできる機会が少ないです。

しかしながら、いずれ共産党の候補として国政に出られると思いますので、
要注目の若手党幹部です。

また今回の人事で書記局長代行も担います。

もう一人は紙 智子氏です。
紙氏は山下 芳生氏より参議院議員団長のバトンを受け継いだ
女性参議院議員です。

議長って何?

日本共産党議長に就任した志位氏ですが、
そもそも議長ってなんでしょうか?

正確にいえば党の事実上のトップですが、
名誉職に近い形だと見られます。

日本共産党の党則によると
委員会及び幹部会は以下のとおりに定められています。

詳細は日本共産党の公式HPでどうぞ。

第二十一条 党大会からつぎの党大会までの指導機関は中央委員会である。中央委員会は、党大会決定の実行に責任をおい、主としてつぎのことをおこなう。
 (一) 対外的に党を代表し、全党を指導する。
 (二) 中央機関紙を発行する。
 (三) 党の方針と政策を、全党に徹底し、実践する。その経験をふまえてさらに正しく発展させる。
 (四) 国際問題および全国にかかわる問題について処理する責任をおう。
 (五) 科学的社会主義にもとづく党の理論活動をすすめる。
 (六) 幹部を系統的に育成し、全党的な立場で適切な配置と役割分担をおこなう。
 (七) 地方党組織の権限に属する問題でも、必要な助言をおこなうことができる。
 (八) 党の財政活動の処理と指導にあたる。

第二十四条 中央委員会幹部会は、中央委員会総会からつぎの中央委員会総会までのあいだ中央委員会の職務をおこなう。
 幹部会は常任幹部会を選出する。常任幹部会は、幹部会の職務を日常的に遂行する。
 幹部会は、書記局長を責任者とする書記局を設け、書記局員を任命する。書記局は、幹部会および常任幹部会の指導のもとに、中央の日常活動の処理にあたる。
 幹部会は、中央機関紙の編集委員を任命する。

つまり党運営のトップが田村氏であり、
志位氏は最高顧問に近い位置というわけです。

志位氏のポジションについては自民党ですと麻生副総裁、
立憲民主党ですと野田最高顧問に近い立ち位置と言えるはずです。

立憲との選挙協力は如何に?

補選で3選した立憲ですが、
いずれも共産が候補を立てず、
左派票の一本化に集中できました。

そのこともあり、次期衆議院選挙に向けて
いくつかの場所でこれから候補者調整が行われると思います。

先の衆院3補欠選挙で全勝した立憲民主党にとって、勢いを持続させたまま次期衆院選に臨むことができるかは最大の課題となる。懸案の一つは、補選勝利に貢献した共産党との関係をどう整理するかだ。立民執行部には今後、協力関係の「深化」を求める共産との神経戦が待ち受ける。

出典:産経新聞 2024/5/1 立憲民主、いいとこ取りの〝共産票利用〟いつまで 補選全勝も次期衆院選へ課題

ただそれは補選の結果のみの判断であり、
次期衆議院選挙に関しては
連合と共産が対立し、
維新が一本化に向けて前に進まないなど、
通常は本当に至難の業です。

現在、共産党が擁立している候補者数は約140です。
そして立憲が擁立している候補者数は約178です。

うち共産党など左派層が強い北海道・沖縄
首都圏の6地域で立憲と共産が候補者を擁立している小選挙区は
32選挙区です。

さらに最近は立憲の幹部方の選挙区に
共産の刺客を送り込み、野党共闘に釘を刺しています。

【立憲幹部の選挙区に送り込む共産候補】
埼玉5区:枝野幸男(前代表)ー山本悠子氏(新人)
北海道8区:逢坂誠二(代表代行)ー本間勝美(新人)
千葉14区:野田佳彦(最高顧問)ー坂井洋介(新人)
新潟1区:西村智奈美(代表代行)ー中村岳夫(新人)
・・・

それだけでなく前回、立憲が自民を下し勝利した小選挙区でも
共産党が刺客を送り込んでいます。

仮に野党共闘した場合、果たして共産はいくつ下ろすのか?

また前回、枝野代表時代に立憲執行部は共産党との閣外協力を
発表したことで立憲共産党とみられ、比例区の票数が低かった実情もあり、
今回の選挙では比例区でどう投票数を増やすかも注目です。

しんぶん赤旗が資金源も

共産党は唯一政党交付金を受け取らない政党であり、
しんぶん赤旗で財源を賄っています。

しかし赤旗の発行部数は年々落ちてきていることが
共産党にとっても、党勢を維持するのが年々難しくなるでしょう。

早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、共産党が苦境を脱せずにいる。党勢回復の起爆剤として期待する野党共闘の再構築は見通せず、財政基盤を支えてきた機関紙の部数減少にも直面する。通常国会の前半に火を噴いた党員除名問題も尾を引いている。

出典:2023/6/12 苦悩続く共産 赤旗部数減少、野党共闘視界不良

もちろん共産党の大物の方が除名された件も影響があるでしょう。

しかし自民党の問題も閣僚経験者の不祥事も、
色々な問題は実はしんぶん赤旗が最初に報じていたこともあります。

そのため新聞の質が悪いとはいえず、むしろ
時代の流れによって新聞離れが加速しているかもしれません。

ここは田村執行部でどう変化するのかが注目ですね。

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