かつて大陸はひとつだったらしい。
長い年月をかけて、陸地は動き、海を旅して、離れ離れになった。
遠い日のパンゲア。
地球の気の遠くなるような壮大な歴史に、自分をなぞらえるのも大変おこがましいというか、規模感がおかしいのかもしれないけれど。

歯が動いている。このひと月かけて、特に右下の3番が動いている。
2番と3番の間に隙間がみえてきて感動している。
痛みはほとんどない。時折、噛みしめている左側の歯がうずくくらい。
人体はつくづく不思議だ。骨に長い根を下ろす歯が動くのだから。
（痛みよりも悩んでいるのは滑舌の悪さ。死活問題。どうにもならないとは思うけど、今度クリニックで相談しようと思う）

来週、上の歯にもブラケットとワイヤーをつける予定。
また食べられない日々の到来だ。でもそれも一歩ずつだ。
ゼリーとスープでデトックスだ。栄養バランスが崩れがちだと気がついたので、今度は野菜ジュース（KAGOMEが好き）を大量購入するつもり。

歯列矯正に踏み出したことで、自分の体に向き合うきっかけをつかんだ気がする。
食べ物がワイヤーに詰まる不快感を解消すべく、歯間ブラシでの歯磨き。
時間はかかるけど自分の口腔内を観察する良い時間になっている。
これまでおざなりにしてきた肌の手入れも入念にするようになったし、日焼け止めもちゃんと塗るようになった。
さらには、寝る前に横になった状態でできる簡単な運動を始めた。
仰向けで脚を交互に上げ下げしたり、膝を立てて左右にひねったり。
ことごとくシンプルな運動。
ただそれだけでなぜかすっきりする心。心地よい疲れと満足感とともに眠る。
もともと、【寝つきの良さ】は自分の良いところトップ３にランクインする特徴の一つだと自負しているけれど、適度な運動はそれを加速させると確信。
変な夢も見ないし、何なら目覚めまでよい。
アラームが鳴る10分前に目覚め、しばしまどろむ至福の朝。

勇気をもって踏み出したら、大陸が動いた。
それは、ささやかだけれど【自分の体に向き合う時間】を与えてくれた。
自分を大切にするって、簡単なようで難しい。
大きく息を吸って、ゆっくり細く長く吐き出すように。
私の旅は始まったばかり。