家から出られない、環境を変えられないことで気が狂いそうだ。

私は病気で自分の身の回りのことすら自分でできない。居間に敷いた布団、5歩で行けるトイレ、そこが私の生活圏内。こんなのはもう10年になるからまだいいのだ。

今は色々あって実家にいる。実家で作ってもらったご飯を布団の横にあるテーブルまで持ってきてもらい、一人で食べる。食べた皿はそのうち下げてもらえる。
実家の、以前は祖母が生活していた1階の居室の居間で、今は私が寝起きしている。半二世帯のこの場所にはトイレだけでなくキッチンやお風呂場もある。
週に一度来てもらうヘルパーさんにお風呂に入るのを手伝ってもらい、洗濯物を干してもらって生活している。
1階はバリアフリーになっていて、続き間があるのだけれど、そこはロールカーテンで仕切って、兄弟が寝起きしている。

少し前まで別に部屋を借りてそこで生活をしていたのだけれど、色々あってまた戻ってきての生活は、前以上にストレスだ。

前も凄くつらくなって連れ出してもらったんだったんだと思い返す。

親や兄弟にはとても迷惑をかけているしとてもお世話になっている。
だけど、母娘がうまが合うとは限らない。母娘だけではない、親子が合う合わないはあるだろう。私は母とは合わないのだ。昔から。仲良くできた頃もなかったわけではないけれど、一緒にいて私のすべてを否定するかのような物言いがちょくちょく出るのだ。

・親にそんな口を聞くな
・何を偉そうに
・自分は親にそんな物言いをしたことはない
・どれだけしてやっていると思うんだ
・だからそんなふうになるんだ
・だからよくならないんだ

「だからそんなふうになるんだ」
これって禁句じゃないのかな？と思う。私のように病気になって、身の回りのこともできなくなって支援を受けている人に。誰も好き好んで病気や障害になる人はいないんだよ。本人が一番苦しいんだよ。

そう言われると口に出したくなる。
「あなたがそう産んだんだろう、育てたんだろう」
これは私は言ったことはないし言うつもりもないけれど、うっかり出てしまわないうちに、できるだけ早く距離を置きたい。合わない人と一緒にいるのはお互い不幸だ。
そして距離を取ればまた言われるんだろう、親を大切にしないって。

言ってはいけない言葉を言わないために離れることは、私は親孝行だと思う。いつまでも従属させようとする親、動けないために地元や実家にいる私。動けていたときには地元から離れていた。そして会うたびに言い合うことも少なくなかった母娘なのだ。

親の手を煩わさないために介護を受けられるように手続きしたというのに、実家から出たというのに、また戻ってしまっている…。
今は仮住まいであと2ヶ月の我慢だ。また離れることができる。

だけれど、親は私の部屋にまた来るだろうし、引っ越しだって手伝ってもらわなければできないんだ。

この体が忌々しくてたまらない。
できたはずのことができない。諦めなければならないことばかりだ。

そんなの当たり前だと言わんばかりに、「出来もしないのに」と繰り返し言われる。

これはね、虐待だと思うんだよね。

だけど、実の親に、そして介護が必要な子供からはそんなことは言えない。言えるはずがない。
更にひどい言葉を浴びせられるだろうし、変わらず私は布団の中から動けない。

浴びせられた言葉に腹を立てて言い返したら動けなくなって、でも「コップに水を入れて」と言わなければいけない。そういえば「なんでそんなにお前は偉そうなんだ」と言われる。いや、動けないんですよ、大きな声を出して消耗したから。「ふざけるな」と言われながら水をもらわなければいけないんですよ。

私にどうしろというのか。
言ったことにははいと一言返し、他に何も言わず、助けも求めず、ここで息をしなくなればいいのかと。

病気で動けないってこういうことなんだよ。
病気や障害を理解されない生活はそういうものなんだよ。

そう言い聞かしていくしかないんだ。