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チェスのハメ手その1.0 ナイト・アタック、フライド・リバー・アタック、ロリアタック

♘イタリアンゲーム:ツー・ナイツ・ディフェンス、ナイト・アタック

1. e4 e5

2. Nf3 Nc6

3. Bc4 Nf6

4. Ng5

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4. Ng5がナイト・アタックです。
黒はこの後に指す手を知らない場合、圧倒的不利におちいります。初心者殺しの基本定跡です。


♟例1

4...h6

5. Nxf7 Qe7

6. Nxh8

白五手目のナイトのフォークからh8ルークのただどり。
黒が五手目でクイーンを動かさなければ白は6. Nxd8でクイーンをとるかより有利な形に持ち込んでからルークをとります。いずれも白が圧倒的に有利な展開です。


♝例2

4...Be7

5. Nxf7

黒はクイーンが動けず絶体絶命です。


♛例3

4...Qe7

5. Bx7+ Kd8

6. Bb3

黒はポーンをただどりされキャスリングの権利を喪失、陣形も悪く不利です。


♞例4

4...d5

5. exd5 Nxd5

5...Nxd5は一見とても自然な応手であり、古典定跡となっています。が、これに対しては白の強力な応手が二種類存在し、定跡として確立されています。

♘例4-1 フライド・リバー・アタック

6. Nxf7 Kxf7

7. Qf3

白は六手目でナイトをサクリファイスして黒キングを積極的に攻めていきます。定跡フライド・リバー・アタックです。このあと黒に反撃の手立てがあるにはありますが綱渡りの連続です。

フライド・リバー・アタックとはFried Liver Attack、つまり揚げ肝臓攻撃です。和訳が意味不明ですね。英語でも意味不明のようです。ネット上に「Fried Liver Attackってなんぞ?」という質問があがっています。

なんでも昔のイタリアでこの戦法が流行しその強烈さから「揚げ肝臓のようだ=お前はもう死んでいる」というイタリアの慣用句をあてた名前になっていたのをそのまま英訳した為、イタリアでの元ネタがわからない人にはシュールで意味不明な名前になったらしいです。

♙例4-2 ロリ・アタック

6. d4

フライド・リバー・アタックと比べると地味な定跡です。しかし6. d4はとても強力な一手で、白は安全かつ確実に試合の主導権を握ることができます。黒は抑え込まれてしまい打開策を見出すのは困難です。

名前の由来はまだ調べていません。


♞まとめ

ナイト・アタックはツー・ナイツ・ディフェンスに対する有力な定跡の一つです。黒を指すときにイタリアン・ゲームに対してツー・ナイツ・ディフェンスを選択するなら必ず対策を覚えなければなりません。でなければほとんどの試合で勝てないでしょう。

上記の攻撃の流れは初心者帯でも頻繁に指されており、ハメ手狙いの白プレイヤーの攻撃に対策を知らない黒プレイヤーがやられているからです。初心者帯の対人戦はハメ手を覚えていく過程でもあります。

白でナイト・アタックを指すなら上記のハメ手の各分岐に持ち込むことを狙いつつ、黒が対策を知っているプレイヤーであった場合のプランも持っておく必要があります。


黒番のナイト・アタック対策は以下の記事に書きました。

チェスのハメ手その二 ナイト・アタックへの黒の対応定跡|古地行生|note

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