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古民家ゲストハウス開業1年目の結果報告3 宿泊者数・稼働率・属性分析・目的

前回、オープンして1年の予約件数とその傾向について書いていきました。今回は宿泊者数(延べ人数と実人数)と稼働率、その属性分析、細かく分析していきます。

分析して何になるのか?

実は、宿業はどんな人がきて、どれくらいの年齢で、どんな属性で、目的は?など、様々なことが把握しやすいので、細かく分析できるということもわかりました。

そのなかで、データを分析して何になるのか?と、考える人もいるかもしれません。感覚を大切にするというのもよいことだと思います。ただ、私は数字を細かく分析することで、自分たちが進むべき未来が見えてくると考えています。

具体的には

・反省すべき点とその理由が明確になる。
→今後の改善点につなげることができる。

・一年間の傾向から市場のニーズを把握することができ、そこから自分たちの宿に求められてることを考えることできる。
(マーケティングの専門用語でいう「マーケットイン」)
※私たちの立場における市場のニーズとは、年間約120万人という圧倒的な数の淡路島に宿泊する人(観光客、サイクリング、移住検討者など)
→たとえば、小学生以下のファミリーが多いので、子どもにも優しいものを取り入れるなど。
※ただ、そこにすべてを合わせるのではなく、自分たちが見ている世界観や想定している顧客(ペルソナ)を考えて事業を進めていくことはとても大切です。

・事業計画をより具体的に考えることができる
想定していた数字と比較して、事業計画をより明確にすることができます。

など、ほかにも様々な効果があります。

宿としてのスペック

築約60年の古民家をリノベーション。みつばちと本、猫のいる古民家ゲストハウスとして開業した素泊まり宿です。元民家でとても小さな規模なので、掃除・準備などは夫婦二人で十分対応できる規模です。

-----------草地家の宿のスペック-----------
部屋数:2部屋(和室、洋室)、貸切、ドミトリー(和室)
※ドミトリーは2020年1月末でやめました。
定員数:8人(和室:定員4~6人、洋室:定員1~3人)
動物:猫2匹、みつばち
食事:なし(キッチン利用可能、夏季はBBQセットレンタル)
その他:キッチン・トイレ・洗面は共同
料金:1人あたり約4,000~6,000円(宿泊人数や客室によって異なる)


記事の内容について

今回記載する内容は、昨年1年間(オープン(2月)~12月末)の宿泊されたお客さんについてグラフなどで示し、分析した結果を考察していきます。トピックは以下の通りです。
【宿泊者数】
延べ人数、実人数、各部屋(和室、洋室、貸切)の稼働日数、平均利用者数など

【月別推移(各部屋の稼働日数・宿泊者数】
月別の稼働日数及び宿泊者数の推移

【各部屋の稼働率・月別推移】
全体の稼働率と各部屋における月別稼働率

【属性分析】
同行者(だれと行くのか)、年代別割合、男女比、

【目的】
どういう理由で淡路島に来て、うちに宿泊していただいたのか。

※昨年の予約件数100件がどのような属性であったのかということを分析します。属性については、あくまで私の目測です。

【宿泊者数】

延べ人数と実人数
宿泊者数をカウントする中で、延べ人数と実人数という考え方があります。

延べ人数:1人1泊として考えた場合の人数
実人数:施設に宿泊した実際の人数
(例:1人の人が連泊は延べ人数は2人、実人数は1人となります。)

前回の投稿にて、一年間の予約件数は100件とお伝えしましたが、それを踏まえたうえで、草地家の昨年一年間の宿泊者数はというと、
延べ人数:371人
実人数:299人

この人数に、単価をかけてみてください。これで、おおよその宿売り上げは計算できます。とても厳しい数字であるということがわかります。
この原因は前回書きましたが、全くWebマーケティングをしていなかったからであると考えます。淡路島という観光地であるにもかかわらず、人を集客することができていなかった自分たちの未熟さです…。

各部屋(和室、洋室、貸切)の稼働日数と利用者数
各部屋の稼働日数と利用者数は以下の通り。

和室 稼働日数:40日 利用者数:156人 平均利用者数:3.9人
洋室 稼働日数:60日 利用者数:122人 平均利用者数:2.0人
ドミ 稼働日数:11日 利用者数:  17人 平均利用者数:1.5人
貸切 稼働日数:14日 利用者数:  76人 平均利用者数:5.4人 

考察として
AirB&BやBooking.comでは、貸切ができるということを記載しておらず、あくまで、それぞれの部屋貸しであるということで掲載しています。貸切は自社webサイトからしか予約ができないため、あまり多くないという数字になっていると考えられます。(ドミトリー利用もある程度ありますが、この半数以上は友人たちです。)

ちなみにOTAに貸切を記載しない理由は様々ありますが、ざっくりと書くと、以下の通りです。

①部屋貸しの方が、お客様同士が適度な距離感であるため、施設を丁寧に扱っていただくことができる。
②わいわいと騒ぎたいだけの人たちの予約を避ける(ミスマッチを防ぐ)

【月別推移(各部屋の稼働日数・宿泊者数)】

前回記載しましたが月別予約件数の推移とそれぞれのターニングポイントを示したものがこちらです。この下に月別の稼働日数と宿泊者数のグラフを記載します。当たり前のことですが、予約件数と稼働日数・宿泊者数は対応して、まったく同じ傾向のグラフになります。

スライド3

稼働日数・人数2

【各部屋の稼働率と平均利用者数】

では、これらの結果から、稼働率を計算すると。

和室稼働率:19.4%
洋室稼働率:22.0%
※2月以降で計算(1月は含めない)
※ドミトリー利用は和室利用に含む
※貸切は和室・洋室それぞれの部屋に含めて計算
(貸切利用1日 → 和室・洋室それぞれで1日利用として計算)

月別にした場合ははこちらです。

月別稼働率

【参考】観光庁(国土交通省)発行の平成30年の宿泊旅行統計調査(観光統計)によると、簡易宿所(ゲストハウスは簡易宿所に含まれることが多い)の稼働率は以下の通りです。

全 国:30.2%
兵庫県:16.1%(全国36番目)

※全国で稼働率が高いのは、大阪や東京などの都市圏の稼働率が高いためであると考えられます。

宿泊旅行統計調査Webサイトはこちら

【属性分析】

昨年の予約件数100件がどのような属性であったのかということを分析します。属性については、あくまで私の目測です。

同行者(だれと行くのか)
全体として、家族というのが多く、そのなかでも小学生以下の家族層が多いことが確認できます。また、友人が多いということもわかります。

円グラフ

じゃらん宿泊旅行調査2019と比較すると、その違いが明らかになります。

じゃらん比較

ここから淡路島の傾向や私たちの宿の傾向がわかります。
まず、考えられるのが一人や夫婦二人での旅行というのは少なく、ファミリーやグループでの旅行が多いということ。
その理由として考えられることが、観光地であること、自然に囲まれた施設やテーマパークがあるということ、子連れでも楽しめるということなどが考えられますが、それらはあくまで魅力的なコンテンツであり、一番の理由として考えられるのは、必然的に車での移動になるということに行きつきました。そして、ロードバイクは別として、淡路島はほぼ車でしか回遊できない。(公共交通での観光はなかなか厳しい。)

1人や夫婦二人であれば、公共交通の方が便利であり、ある程度フレキシブルに行動できます。
それに比べて、ファミリーになれば、荷物も多く、不測の事態に備えられる車の方が便利なのです。都市部に行く以外で旅行に公共交通を使うことは少ないのです。

それが淡路島における傾向であり、うちの宿では「友人」という割合が多いです。これは、若者グループたちのが多く、私たちが想定していた客層に近い人たちであると考えています。ミスマッチもありましたが。

年代別分析
年代別の分析はこちら。あくまで目測です。
家族旅行が多いということもあり、20代~40代が多いということが考えられます。また、友人たちと来られた方の多くは20代〜30代でした。

年齢別2

男女比
男女比(大人)はほぼ同じでした。意外でした。

性別

宿泊者はどこから来たの?
以前、こちらの記事に書いたのでご確認ください。

関西圏(兵庫、大阪)がほとんどであり、次は首都圏(東京近郊)、あとは様々な地域からきています。

【目的】

詳しくは聞いていないことが多いのですが、目的は大きく分けて以下の通りでした。

・淡路島観光
→淡路島に来ること、観光地を巡ることが主な目的。

・四国へ行く前に
→四国を目的地としている人が淡路島で1泊。たとえば、阿波踊りを見たい、高知県に行きたいなど。

・ゆっくりと過ごす・ワイワイ過ごす
→家族での貸切の非日常空間でゆっくりと過ごすことが主な目的。

・サイクリング
→アワイチなど、淡路島をロードバイクで一周する人が多いのです。

・移住検討
→移住を検討している人が淡路島を巡ったり、私たちと話をしたり。

・仕事
→イベントやバスの運転手など仕事で。

・草地家が目的地
→草地家でイベントをしたり、私たちに会いに来てくれたり。

おわりに

今回は、宿の稼働率やお客さんの属性分析を行いました。反省と改善点が多い一年であったということがよくわかりました。
これらの結果を考えたうえで、今年の2月からゲストハウスであるにも関わらず、ドミトリールームをやめました。(ドミトリー利用者は少しありましたが、その半数以上は友人枠でした。)

稼働率を上げることについては、島に来る需要(年間約120万人の宿泊者)を取りこぼさないということに注力すること。

当初は家族旅行がここまで多くなるとは想定していなかったのですが、淡路島という立地、古民家で最大定員数が少ないなどを考えると、実はファミリーなどの貸切の需要がある程度あるということも学びました。

また、新し発見として、若者たちだけでの利用の場合、お酒の勢いもあり宿の扱いが雑になってしまうことがあり、こちらとしても不安でしたが、ファミリー層となると、母親やおばあちゃんを中心としてしっかりと丁寧にそしてきれいに扱ってくれるということも学びました。

このようにやっていくことで学ぶことはたくさんあり、さらに、数字をみることでその傾向と照らし合わせて、ミスマッチを防ぎつつ、来ていただいた方にはしっかりと満足していただけるようにサービスを作っていくということを心がけていきたいと思います。

次は収支のことを書いていきたいと思います。
ようやく、確定申告の準備もできたので、ほぼ数字が整ってきました。

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