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日本経済の国際的地位は大きく低下した

 国ごとの経済成長率には、かなりの差がある。これを、長期的な観点から見ると、つぎのとおりだ。
 図1に示すように、中国の実質GDPの成長率は、1980年から2010年頃までの期間を通じて10%程度だったのに対して、日本とアメリカの実質GDP成長率は、80年代には5%程度だったが、90年代以降は5%未満に低下した。

図表1 日米中の実質経済成長率(%)

 この結果、世界のGDPに対する比率も、図2に示すように、かなり大きく変わった。
 日本のGDPの世界GDPに対する比率は、80年代初めの10%程度から90年代の中頃に17%台にまで上昇したが、それ以降は傾向的に下落し、2015年には5.9%、16年には6.5%になっている。
 それに対して、中国の比重は、90年代の半ばまでは2%台あるいはそれ以下だったが、その後上昇し、2010年に日本を抜いた。そして、2015年には15.1%、16年には14.9%になっている。

図2 世界のGDPに対する日中米GDPの比重(%)

 実は、豊かさの面でも、日本が停滞している。
 1990年代の初めには、日本の1人当たりGDPは、主要国中でトップだった。しかし、その後はほとんど停滞している。円安になると、ドル表示で高まる程度だ。

図3 一人当たりGDPの変化(日本とアメリカ、ドル)

 中国の1人当たりGDPは着実に上昇し、1990年代半の日本のおよそ80分の1だったのが、2010年にはおよそ10分の1にまでなっている。  IMFの予測によれば、20年ごろの中国の1人当たりGDPは日本の約3分の1になる。かつてアメリカより豊かだった日本経済は、今や中国に追いつかれようとしているのだ。

 世界は大きく変わった。

図4 一人当たりGDPの変化(日本と中国、ドル)


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