見出し画像

残りの人生をあなたはどうやって生きていくの? 〜 what are you doing the rest of your life? 〜

ミシェル•ルグランが作曲し、映画の劇中歌として歌われ、ジャズ•スタンダードにもなっているこの美しい曲、邦題は『これからの人生』となっていますが、私は敢えて逐語的に "…残りの人生を…" と訳したくて。ひとの一生は、長いように見えて、過ぎ去ってしまえばほんとうに短い… それを感じるいまだから("残り" をどうやって生きるか? 誰と共に過ごすのか?)を自分自身に問いかけながら、私も歌います。

短調/マイナーの曲ですが、猛烈な本気のラブソングです。残りの人生すべてを賭ける、全世界まるごと捧げる、そんな歌詞世界… だからもし、重厚なアレンジで力強く技巧的に歌い上げたなら、それはちょっと重苦しい… 私はそう感じてしまう派です。ジャズに限らず多くの歌い手が歌い、楽器演奏もされていますが(あ、いいな…)と私が心から思えたのは、ステイシー•ケントの歌を聴いて。真っ直ぐに歌う、彼女の澄んだ可憐な声が、この楽曲の "深刻さ" をうまく中和し、"切なさ" に転化してくれているように私は感じます。(そして、原曲と歌詞を大切にするステイシーはきっと "言葉のひと"。彼女のそんなところにも、私は共感します)


残りの人生を あなたはどうやって生きていくの? 

残りの人生を あなたはどうやって生きていくの?
北へ向かい、南へ向かい、東へ西へと向かう、あなたの人生
わたしの願いはひとつだけ あなたには
わたしと 共にいて欲しい

あなたの日々の すべての季節とすべての時間と
あなたの日々の こまやかなささやかな暮らしごとと
あなたの日々の "りゆう" と "リズム" と
そんなすべてが わたしと共にはじまり、終わりますように 

あなたを さまざまな光のなかで見ていたい
夜明けに輝く草原で 夜闇の森で 
そして ケーキに灯ったキャンドルの前にあなたが立つとき
わたしは あなたの密やかな願いを聞き届けられるひとでありたい

あなたの瞳のなか 奥底で待っている 未来
あなたの瞳のなか 隠されている 愛の世界
あなたの瞳のなか 眠っているもの わたしはそれを目覚めさせたい
そのためには ひとつかふたつ キスが必要みたい

わたしの人生の すべてを賭けて
わたしの人生の 夏も冬も春も秋も
わたしの人生の 想い起こすことのすべてが
あなたと共に ありますように

<以上、【超•ゆき訳】>


あるいは、ビル•エバンスのピアノを。”歌” ではないからこそ、背後に歌が聴こえる、言葉が聴こえる、そんな演奏だと私は感じます。


<追記>:先日のライブで、初めてこの曲を歌いました。ちょうどその日がバースデイだった山口コージさんのピアノとのデュオで。バースデイ•ソングにぴったりの歌詞だってこと、きっとお分かりいただけますね。

歌うことと並行してマイペースで続けている《歌詞和訳》シリーズですが、私の投稿を見つけてくださった方から思いがけず嬉しいメッセージを頂き、今回、新たに書いてみた次第です。これからもよろしくお願いします。

よろしければサポートをお願いします。頂いたサポートは、活動費に使わせて頂きます◎