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坦々麺屋の調味料の説明を読み、思わず2度見した

GW中、汁なし坦々麺を食べに行った。そこは坦々麺専門店で、メニューは本格四川風と日本風の2種類のみ。カウンター10席ほどの店内は満席だった。私は日本風を注文。コシのある太麺に辛味のある肉味噌と山椒が絡まり、食べ応え抜群! たまたま見つけたお店だったけどアタリだった。

卓上には、見たことのない漢字だらけの調味料が並んでいた。中国の調味料なのか、瓶には朱色でドロっとした液体が入っている。私は麺類を食べる時、卓上の調味料には一通り手を出す主義だ。ただ目の前にある調味料は、味が全く想像できない…。好みの味でなければ、坦々麺の美味しさが減ってしまう。どうしたものか。。ふと、調味料の横にはられた貼り紙が目に入った。

この調味料は、独特な風味と凝縮された旨みが特徴です

ん!!??

ますます分からなくなった。2度見したけど、全くわからん。どんな味なんだろう。。「独特」とはどの程度なのか?臭豆腐やくさやのような独特さだと困る。そんなクセの強い味が凝縮されたら、もっと困る。説明書きを見る前より怖くなった。

とはいえモノは試し、おそるおそる朱色の調味料を坦々麺にかけてみた。確かにクセがある。でも後味はまろやかだ。豆腐をドロドロにして発酵させたような食感がする。朱色だけど、辛さはほとんどない。坦々麺につけると辛さを中和してくれた。覚悟していたほどのドギツイ味ではなかった。坦々麺の美味しさは損なわれず、無事完食できた。

どうして説明書きを読んでも、調味料の味がわからなかったのか?
それは、「それっぽい」言葉で説明されていたからだ。

「それっぽい」言葉は、とっても便利だ。「旨み」「美味しい」「独特な」「こだわりの」と書けば、しっかり説明している感じがする。読む側もわかった気になる。でもよく考えると、具体的に想像できない。説明したつもり・分かったつもりになるだけで、大切な部分が全然伝わってない。

中でもそれっぽい言葉を使いがちなのが、食べ物関係。味覚をことばで表現するのはすごく骨が折れる。めちゃくちゃめんどくさい。だから脳が無意識に「"旨み"っていっときゃよくね!?」「要は"美味しい"んでしょ?」と、それっぽさにショートカットしてしまう。

美味しいを言葉にするのって、本当に難しい。私も、原稿に「曖昧な表現が多い」と何度も直されてきた。気を抜くと「濃厚な旨み」「やさしい味わい」なんて言葉が大量発生してる。

でもそれっぽい言葉に逃げちゃだめだ。「すごい」「美味しい」「すてき」を深堀して、「そもそも旨みって何よ」「独特ってどのへんが??」と自分の味覚を問いつめないといけない。この言語化の苦行は、書く人間が乗り越えなきゃいけない試練なんだと思う。

明日からGWが明ける。書かなきゃいけない原稿もある。気が抜けてそれっぽい言葉ばかり使わないようにしないとな。。


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