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散乱

眼も開けられない程の光と

対極の影が融合した大木の

ベッタリとしたマイナスイオン

どっしりとのしかかる

空気の異称を

独り指折り数えてみる

瞳を閉じれば

血流の鮮やかな様

白いスニーカーの下では

三つ葉のクローバーが

息絶えることなく

その色彩を滲ませることなく

光合成の成果を

無音で噛み締めている


南中の最中

橙色の百合の花咲く

あの角を曲がって

ここまで来た

日傘を忘れた私を

笑うように

さり気なさを装って

君の長い前髪は

上手に虹彩を守っている


皮の厚いレモンを

ぎゅぎゅっと絞ったような

キャンディーが舌の上にて

陽光を爽やかにする

緻密に均一の青い空は

深海まで届く

その重い藍色に思いを託す

心を通すと伸縮する

時というものの中で

突き抜けて

弾け続けて


先の雨の日に見た虹

七色のアーチーを

捻ってくるりと空中に

大波小波

散乱する論理は

白色に光る

粒子の結晶の舞


リュウキュウアカショウビンが

音色を紫の空に返す日は

そう遠くないらしい





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