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【詩】 サンクチュアリ

海よりも蒼い扉に寄りかかって
ずっと考えていたんだ
どうして向こう側は
あんなに眩い光に溢れて
けれどみんな疲れた顔をしていて

不意に薄桃色の球体が
きれいに曲線を描いて
真っ直ぐに落ちてきた
思わず腕を伸ばして
両掌で受け止めたけれど
なんだかフワフワして
独りでにピョンピョンと跳ねて
時々歌なんかも歌ってくれる
なんだか妙に眠気を誘われるから
つい本音が口をついて出てきたりして
それでも桃色はくすりと笑って
とても優しい声で
おやすみと言った

押し迫ってくる喧騒や
国境の押し合いなんかが
嘘のように思えた
いつの間にか長くなってしまった手脚を
投げ出してみたら
どこへでも行けそうな気さえした

薄桃の丸をキャンディーのように
何かで包んであげたいけれど
シルクでは気取っているから
オーガンジーでは透けてしまうから
コットンでも物足りないからと
躊躇してしまっている

ピンクのまん丸は
今日も素知らぬ顔で
鼻歌を歌っている
遠い異国のメロディーで
ずっと

あたたかなご支援をありがとうございます❤ みなさんのお心に寄り添えるような詩を形にしてゆきたいと思っています。