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みんなワクワク! みんなハッピー! 『バムとケロのおかいもの』

2021年1月の「本と、おしゃべりと、」のテーマが「絵本・児童書」なので、島田ゆかの絵本『バムとケロのおかいもの』を紹介します!
バムとケロシリーズは1994年に『バムとケロのにちようび』が刊行されて以降、5つの絵本が出ています。その中でも今回紹介するのは、4作目の『バムとケロのおかいもの』! シリーズのどの作品も楽しさがあふれていますが、私にとっては本作が一番のお気に入りです。
ここからおすすめポイントを簡単にお話ししますね。

1・ごはんやおやつなど、食べるワクワクがいっぱい!

バムとケロシリーズでは全作品で食事やおやつのシーンが出てきますが、本作では市場のフードコートでランチをとる場面がとにかく楽しいです! 周囲にいろいろなお店があって、「何を食べようかな」と迷う喜びが伝わってくるし、通行人が美味しそうなものを食べていたりして、何回読んでも楽しめます!

バムとケロシリーズやんちゃなケロちゃんと、しっかり者のバムを中心に話が進みますが、サブキャラの書き込みが細かいのも魅力の一つです。
上記のランチシーンでは、ぜひやめぴという小さな犬に着目してください。note上に本編の絵を乗せるわけにもいかないので、このシーンのやめぴの行動を書き出してみます。

・見知らぬネズミがソフトクリームを落としそうになったことに気づいて、バムが引くカートから走り出すやめぴ
・ソフトクリームが無事だったので、手をたたいて喜ぶやめぴ
・その後、自分もソフトクリームを買おうと元気に走り出すやめぴ
・ウキウキでみんなのところに帰ってくるものの、転んでソフトクリームを落とし、しょんぼりするやめぴ
・それを気にしていたのか、おじぎちゃんがあまぐりを二つ買うシーンがあり、次のコマで一緒に食べているハッピー展開!

上記は、ケロちゃんが食べ物を買いすぎて食べきれなくなるというメインストーリーのわきで、ちまちまと書き込まれています。
子どもにありがちな、泣きそうになるアクシデントと、ともだちの気遣いでハッピーに変わっていく展開がとても楽しい演出です。
バムとケロシリーズではこのような細かいストーリーが満載されているので、何回読みなおしても楽しいし、絵だけで語ってくれるので小さな子供にも読みやすいメリットもあります。

2・買い物のワクワクがたまらない!

本作は買い物がテーマです。バムケロ一行は生活用品や生鮮野菜を入手するだけでなく、趣味の買い物もします。

ケロちゃんがうろうろして面白いものを見つける場面も楽しいですが、みんなでこっとうやさんに入って、好きなものを一つずつ選ぶシーンも非常に微笑ましいです。しっかり者のバムが意外にもどうでも良いものを買うのに、ケロちゃんが買ったガラクタが、後からみんなに役立つ展開が本作の見どころです。

3・シリーズを通した面白さもおすすめポイント!

『バムとケロのおかいもの』はシリーズ4作目ですが、3作目のある出来事でケロちゃんの赤いチョッキが破れてしまう場面があります。

本作では、そのチョッキがリペアされている上に、バムが新しいチョッキの生地を買おうとするシーンもあります。バムがケロちゃんを大事にしているな、とわかる展開にほっこりしますが、ケロちゃんは布地屋さんで変な柄の生地を気に入ってしまいます。その変な柄がいいの?という表情のバムと、絶対これ!という表情のケロちゃんが笑えます。さらに次のコマでは、変な柄の生地が大事にカートに積み込まれていて、見ている側はケロちゃん良かったね、と言いたくなります。
さらに、この変な柄の生地は5作目でさりげなく利用されているので、ぜひ探してみてくださいね。


バムとケロシリーズには、このような細かい仕掛けが無数にあるので、何度読んでも楽しむことができます。ぜひ手に取ってみてください!


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