YUKOKUNIYOSHI

ジュエリーブランドディレクター・ヴィンテージファッションバイイングなどファッション業界…

YUKOKUNIYOSHI

ジュエリーブランドディレクター・ヴィンテージファッションバイイングなどファッション業界での仕事を経て広く多くの人と関われる場所を探し、観光業に2021年より転身。1977年生まれ。ゆるくフェミニストとしての活動も。40代女子の生き方と働き方を考え中。

最近の記事

4月の集まり

4月は特別な月だ。なぜなら必ず懐かしい人たちと会えるからだ。 大学3年生の4月、私は当時サークルの幹事長で新歓コンパに忙しかった。毎晩遅くまで飲みながら、無意な生活を送っていた。 そんな時、突然新社会人になったばかりの先輩の訃報が入った。 少し前まで、ラウンジでおしゃべりしたり、追いコンで朝まで飲んだりしていたのに。 桜が散ったばかりの東京と、毎晩の飲み会、肌寒い夜、先輩の急な死。 サークル全体に目に見えないけれど確実にそこにある、なんなく、憂鬱で悲しく、重い空気は今でも

    • Only is not Lonely について

      Only is not Lonelyという言葉は糸井重里さんによるものだ。 ほぼ日刊イトイ新聞のダーリンコラムで、ある日この言葉を読んだときに、色々腑に落ちた。 子どもの頃から、もしもこの言葉やこの考え方に触れていたら私はもっと自由だったかもしれない。 多分小学5年生くらいだった頃、父と母と3人で砧の世田谷美術館にワイエス展を見に行った。まだ春になりきれていないようなちょっと寒い初春だった。私が、砧公園のあまり葉がついていない木に登っている写真が居間に飾ってあったのを覚え

      • Do you trust me?に感動する理由

        初夏の爽やかな空気の中に、時々湿っぽい風が入り込んだかと思うと、あっという間の梅雨入り。たまに晴れた日もぬるっとした空気が纏い、気づけば夏にどんどん近づいていると感じる。 ここ最近仕事も加速したように忙しくなり、1時間の出勤時間もたまにグリーン車に乗り込み業務を始めることもある。でもたまにぼーっと電車の外を見ながら、あれやこれや思い出すことも多い。 ある日、そんな出勤の電車の中で、「信じる」「信じてもらう」ということに考え巡らせていた。 以前数人の楽しいメンバーで飲みなが

        • 終わりから始まる

          noteを見てみると、前回公開した記事から1年以上経っていたことに気づく。 その間に何度か書こうと試みていたのだけれど、なんか今じゃないなと思いながら、下書きに書きかけのテキストを溜めながらあっという間に1年が経ってしまった。 自分以外の誰かに読んでもらうための文章を書き始めたのは、以前ジュエリーのブランドディレクターをしていた時、ブランドサイトにコラムを寄稿していたことに遡る。コラムは写真を交えた情緒的なジュエリー談義をメインに、夜のお酒や食事を通し自分の周りの楽しい人々

        4月の集まり

          愛について語るときに我々の語ること

          『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァーの短編のタイトルだ。ここ最近、みんなで語り合うことも少なくなったな。と感じると同時に、淡々と過ごしているような生活の中で「愛」を語るというのはだいぶ非日常な気がしている。それはこのパンデミックな状況もそうさせているのかもしれないし、私自身の仕事の変化や日常の変化も重なっていると思う。会話を交わす人たちの違い、組織やまとまりになった時の情熱の強度などがまだ一致していないのかもしれない。 そんな日々の中で、目に止まって

          愛について語るときに我々の語ること

          時間と空間について

          転職したことによって、色々なことがひっくり返ったような気持ちになった。自分自身で決めたこととはいえ、ぽん、と愛着のある時間と空間から放り出された感覚—それは言いようもなく寂しく、そして名前が消えてくような不透明感が私を覆っていた。元気にしてはいたけれど、心の中は傷つきやすい状態で、今何しているの?と聞かれても上手に答えられない感覚はあまり自分自身健全とはいえなかった。 なんかやらなきゃな。と、新たな会社で働きながら何かを探していた。そうしているうちにふと、数年間会っていない

          時間と空間について

          キャリアとは何か、を考える。

          事の発端は転職サイト、ビズリーチのキャリアカウンセリング機能を利用したことからだった。まだ6月の終わり頃で、新しい仕事に就いて半年が経過しようとしていた。43歳の転機は、そこそこタフな私にもずっしりきていたんだと思う。そして未だにその移行期間は続いている。という認識のもとだった。それもあって、転職サイトを退会せずにいた。 zoomで繋がった画面で、その女性は私に投げかけた。 「来たバスに乗りなさい。と私たちカウンセラーは良くいうけれど、あなたの場合は必ず乗らなくてもいい。

          キャリアとは何か、を考える。

          山椒は小粒でぴりりと辛い

          Though she be but little, she is fierce. 「彼女は小さくても獰猛なのよ」(『夏の夜の夢』 第三幕 第二場) 朝ふと目が覚めて、何故だかシェイクスピアのことを考えた。時々目覚めたての私は脈絡なく、色々なことを思い出し、空想し、スマホで調べてしまう。私、『夏の夜の夢』が好きだった、そういえば。『夏の夜の夢』第三幕 第二場は、幼馴染みの女性同士が恋をめぐって喧嘩をするシーンがある。このちび!と親友に罵られ、負けじと言い返す。そんな場面を思

          山椒は小粒でぴりりと辛い

          大人は「進路」といわない。

          気づけば東京の桜は満開になり、今年もコロナ禍の花見になりました。桜たち、今年も春をありがとう。 前職のホームページで発信していた10年続いたコラムが3月末で閉鎖するので、違うメディアを作りたいと思っていたのですが、しばらくnoteで発信してみようかなと思います。 ◇◇◇ 今年から転職し、新しい仕事が始まった。ちょうどその頃、私と同じ誕生日の12歳の甥っ子が中学受験の追い込み真っ盛りを迎えていた。そして2月ー少し新しい会社に慣れてきたな。と思った頃、彼の受験も終了し、結果

          大人は「進路」といわない。

          選んだことと、選ばなかったことについて

          あらゆる旅は、行間にもう一つの旅を隠している。歩かれなかった道、忘れ去られた曲がり角。そういう旅のことを僕は書いておこうと思う。僕が実際にした旅ではなく、したかもしれない旅、あるいは別の時、別の場所でした旅。僕はそれを日記や地図や航海日誌のような正確さで書き記す。(『さくらんぼの性は』ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳) この小説の作者であるジャネット・ウィンターソンは1959年イギリスのマンチェスターの孤児院で生まれ、労働者階級の養父母の下、特に狂信的なキリスト教徒

          選んだことと、選ばなかったことについて

          40代と30代の違いについて

          私は、42歳になっている。 見た目は童顔だし、年齢不詳ではあるけど。見た目ではなく、40代って自分の中でも社会的にも、立ち居地は結構これまでと違うな。と思う。 ■フィジカルなことで言えば・・ 疲れやすく、痩せにくくなって、お酒は弱くなった。(けど飲みたい回数は増える!)代謝、リカバリーの力が弱くなる。から想定して無茶をしなくなる。全体的にこれは言えること。 心の志向と身体のコンディションのバランスを取ることが優先される。無茶できないって悔しい。 健康体に生まれ育った

          40代と30代の違いについて