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「継続は力なり」とは限らない

「継続は力なり」を座右の銘としている人は多いかもしれない。
戦後、日本の経済成長を助けてくれた「終身雇用制度」も継続することが大切とされる意識を植え付けた要因ではないだろうか。

ドイツでは転職することは珍しいことではない。
キャリアアップのために、新しい環境を求めて仕事を変えていく。
家族との時間や自分の時間を大切にし、無駄な残業などしないで効率よく仕事を進めるドイツ人は、今自分が何をしたいのか、何ができるのかを鋭く見極め、その時点でのキャリアに合わせて転職していく。


ピアノやバイオリンなどの楽器、スポーツなども、継続し続けることで成果がでることは事実である。バレエなども、訓練し、努力し続けていくことで上達していく。しかし、そこで見落としてはいけないのが、そこにある感情ではないかと思う。

子どもの頃、親に言われて始めた習い事が誰しもあるはずだ。お習字やピアノがその代表例である。自分の意思で始めたわけではないので、なかなか好きになれず、嫌々通う。上手くなるわけがない。
思いきって親に「辞めたい」と伝えるが、「続けていくことに意義がある」と言われ、辞めるチャンスを失う。親に認められるために頑張りたいという気持ちとは裏腹に、イヤイヤ度が増え続け、最終的に限界がきて親を説得して辞めてしまう。
辞めたあとも、「継続していれば形になったかもしれないのに…」と親に愚痴られることも多く、続けられなかった自分はダメな人間なのかという錯覚に陥る。

好きでもないものを続けることで得られることは、本当に価値あることなのであろうか?
嫌なことを我慢し続けることで、本当に素晴らしい結果をうむことができるのだろうか?
「好きこそ物の上手なれ」と昔から言われるが、やはりモチベーションを高め努力し、がむしゃらに取り組むことができる要素に「好き」であることが大きく関わってくると感じる。


人間は常に成長し続けていく。
子どもは体の大きさが変化していくので、その様子がわかりやすい。しかし大人の私たちも変化し続けているのだ。ここでの変化は、ただ単に年を取っていくというだけではない。心情も、住んでいる環境、人間関係などによって変わっていく。その変化をフレキシブルに受け入れることも重要なのではないかと思う。

ドイツ人のキャリアアップによる転職にみるように、変化し続ける自分に合わせて職場も変えていく。自然の流れに沿っているような気もする。
だからこそ次なる目標を作り、自分を向上させていくことができるのだ。

自分が歩んでいた道が、今の自分に見合った道でないと感じたのであれば、勇気をだして別の道を歩んでみるのもいい。
「新しい道で上手くいかないかもしれない」という不安がでてくるかもしれない。しかし、もしかしたら「上手くいくかもしれない」のだ。
それはやってみないと誰にもわからない。
試してみないことには、決して答えがでないのだ。

新しく歩み始めた道が思っていた道と違ったのであれば、また新たな道を探していけばいいだけだ。
世の中には歩んでいける道が無数に存在する。存在しているにもかかわらず、「この道は自分には無理だろう」という勝手な思い込みが、その道を選択肢から削除しているだけである。
進み始めることで、どんどん道が伸びていく可能性だってあるのだ。進むことさえ怖れなければ、きっと道は広がっていく。

自分が変化していくと、今まで居た場所に居心地の悪さを覚えるのは当然のこと。違和感を感じながらも続けていくことに、どのような価値があるのかを一度考えてみるといい。

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