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素敵すぎた! イヴ・サンローラン展

今年は行きたかった美術展をいろいろ逃してしまった無念さがありました。
なので、イヴ・サンローラン展だけは絶対に行かなくちゃ!と、先日、出勤日だった金曜日(最近は週に一日だけ出勤、あとはリモートワークの日々です)の仕事帰りに行ってきました。

今の勤務地は虎ノ門なので、国立新美術館が直結の乃木坂駅は近いのでありがたかったです。

最近、デザイナーの美術展が多いですよね? ちょっと前に丸の内の三菱一号館美術館でシャネル展。そして、渋谷では閉館してしまったBUNKAMURAミュージアムでマリークワント展。東京都現代美術館ではクリスチャンディオール展…これを逃してしまったのは、本当に残念過ぎて、まったく私は何をしていたのかしら、と我ながら腹立たしい…。

シャネルとマリークワントは観ました。どちらも美術館の規模が小さいので、展示のボリュームは少なったです。

そしてシャネルは、展示されているドレスが初期のものが多かったので、比較的最近のコレクションや銀座のお店のウィンドウで観るようなシャネルスーツなんかを期待していた私には物足りないものでした。

マリークワントも、展示の数はすくないものの、可愛い懐かしいミニスカートなど、観て良かった! と満足感はありました。ミュージアムショップでお洒落なイラストや写真のハガキ、クリアフォルダーなんか、ファッション好きなお友達のお土産も含め、買えたのも嬉しかったし。

と、前置きが長くなりましたが、そのような2つのデザイナー展と比較して、今回のイヴ・サンローラン展は圧倒的に素敵でした~~~!!!

といっても、特に、サンローランのデザインが好きというわけではないのですが。だから何を期待してたというわけでもありませんでした、実は。

しかしながら、数々のドレスの展示は圧巻でした。イブニングドレスはキラキラスパンコール?とかビーズをあしらったものなど、ゴージャスの極み。
個人的には、数あるドレスの中で、ピンクのファーにミニスカートを合わせた可愛くてインパクトのあるスタイルが、今私が持っているスモーキーピンクのフェイクファーコートの着こなしに応用できそうで嬉しかった…、あのスタイルをもうすぐ62歳なのにトライするのか? という心の囁きもないではないのですが(笑)。

印象深く心に響いたのは、女性用のパンツスーツやトレンチコートなど。
サンローランは1962年に最初のコレクションを発表していてまさにそれは私の生まれた年。そして70年代には来日していて、その際に京都を訪れた写真なども展示されていました。70年代に子供~ティーンエージャー時代を過ごした私は、サンローランのお洋服とは程遠い東京の下町育ちとはいえ、着たり見たりしていた洋服は確実にサンローランの影響を受けてたんだなあ、と展示されたドレスたちにどこか遠い懐かしさを感じたのでした。

50年も前の服なのに、今見ても素敵で着てみたい、と思えるものがたくさん。流行りすたりのない、本質的に素敵な美しい服、の圧倒的存在感をまじまじと見せつけられて、最近、雑誌を見てもたまにお店を覗いても、欲しいと思える服がなかなかないことにフラストレーションを感じていたので、なんだか気持ちがハレバレしました。

(ちょっと前に覗いたYoji Yamamotoの服は例外。欲しいものがたくさんありましたが、数年ぶりに観たらお洋服もご多分に漏れず値上がりしていたようで手が出なかっただけのことで、やっぱり素敵でした!)。

そして、この展示で私が感動したのはイブ・サンローランのファッション画がたくさん展示されていたこと。そのイラスト、といっていいのかわかりませんが、本当に素敵で、しばらく、下手なファッションイラストを描いてない私ですが、「やっぱり描きたい!」と思わされました。そして、「デザインを思いつくままに自由に描くのがいいな?!」っていう、インスピレーションのようなものも与えられた気がしました。小学生の頃は、そんな風に自由気ままにお洋服のデザイン画を描いていたことを思い出しました。

本美術展のポスターにもなっている、モンドリアンへのオマージュドレスは実物が展示されていました。

他に、数は少なかったけれど撮影可のドレスたちは…

舞台衣装のデザインもあって、その下絵がまた素敵でした。舞台装置全体のデザインとそこに配置された人物やその衣装の図。デザイナーだから当然なのかもしれませんが、そのままフレームに入れて壁に飾りたいようなお洒落な絵でした。

ファッション画のハガキやイラスト集があればぜひ、買いたかったのですが、残念ながらありませんでしたので、珍しくミュージアムショップでのお買い物はなし。

展示されているドレスの数も、ファッション画の数もボリューム満点。

金曜日の夜でしたが、たくさんの人であふれていました。

意外だったのは、(失礼ですが)一見、ファッションと無縁そうな風貌の中高年男性がちらほらいらしてて、しかも一人で来ているとお見受けする方々も。会期終了間際だから、いかにも業界の方々が来る時期でもないのでしょうが、でもそういう幅広い人々を集めてしまうほどのイブ・サンローランって、すごいなあって改めて思いました。

映像も流れていて、さすがに金曜日の夜の仕事帰りで疲れていて、それでも見ないで帰るのはもったいないと(普段、そういうのは観ないことも多いけど)頑張って壁の前に立って観てました。
印象に残ったサンローランの言葉は「服は一人ひとりの女性の良さを引き立てるも物であるべきだし、そういうものだと信じてる」という主旨の発言。私が普段からそう思っていることと一致していてちょっと感動、改めて「そうよね~」と思いました。服は、着ればいいものじゃなくて、せっかく個々に異なるように創られている人の良さを引き出し引き立てるもの、であるのが理想であり目標。目標っていうのは、自分がそういう風に着こなしたいのもあるし、他の人にもそんな提案をできたらいいなっていう。

サンローランの服は袖を通したことはありませんが、グッチグループに勤めてた時にはグループブランドだったので、YSLのロゴ入りトートバッグを社販で買ってしばらく愛用していました。微妙にくすんだ赤のキャンバス地にYSLのロゴはシャンパンゴールド、持ち手には同じ赤の革があしらわれていて、モノクロファッションのアクセントになる、素敵な大人のバッグでした。再会できたらまた欲しい一品。

サンローランの生涯は映画にもなっていて、以前に見たこともあるのですが、改めてまた観てみようかなとも思わされました。

最近、下火になりかけていたというか風前の灯火状態だった私のファッション熱を再燃させられた、そんな美しく刺激的な美術展でした。



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