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自分を豊かにするための費用稼ぎと割り切って勤める。

思いがけず派遣社員という形で融資事務に就いた私。
契約書の記入間違い、必要書類漏れなどを確認後、契約書通り入金や出金操作を行う。という仕事内容でした。

これがもう、商品ごとに契約書、入力が異なるわ、チェック箇所も異なるわ、必要書類も様々で、覚えることが沢山でした。
もちろん覚えきれないので自分なりのマニュアルを作り、忘れても手順通りに行えるようにしておくのです。

特にお金を実際に動かす操作はそれはもう緊張でした。一つの契約書だけで何百万、何千万の単位でお金が動きます。私の最後のクイック一つで時には億単位の金額が入出金されるのです。

他にも日付など、多くの入力情報1つでも間違えたら大変です。もちろん私だけではお金を動かすことはできないように書類や操作上でも上司のチェックが何重にも入ります。

世の中のお金はこういった職業の人が手作業で地道に動かしていることがあるんだなぁと。今となっては貴重な経験です。

没個性の世界。
大事なのは【正確性、処理スピード、丁寧さ】
人間性とかは二の次で良いような気もします。特に外部との接点も無い環境のため人間関係などに変化は殆どなく、閉鎖的かも。

変化なく落ち着く。と感じるか、窮屈と感じる。か、人それぞれ。

朝の通勤時、駅に向かう人々が集まってできた川の一部になって同じく駅に向かいながら、社会生活に今まで培った私という人間はいらないんだな。と妙に納得したようなふっきれたような感覚になったことを覚えています。

ただ色んな地域の営業部からやってくる様々な契約書を通して、日本の経済の流れを垣間見ながら、よく知らなかった銀行やお金の仕組みに小さいながらも、1つの歯車になれたのはとても貴重な経験です。

世の中の経済と直結してるので、今まで聞き流していたニュースが理解できたり、興味を持てたのもこの仕事についてよかったと思えることかもしれません。

派遣社員という形ですが、多くなくとも安定したお給料。
行員の人たちと同じ社員食堂が使用できたり、福利厚生も行員ほどではなくとも適用され、就職が決まらなかった身としては棚から牡丹餅のようなお仕事でした。

しかし、ひたすら受け身。
銀行システムに人が組み込まれたような仕事なので、できて当たり前なんですね。誰かから感謝される。なんてことはなく。
むしろ営業部の人にこの書類が足りない、記入ミスがある。など指摘をしないといけないので嫌われ役だったと思います。

ミスや見落としは許されない。決められた時間内に処理しないといけない。銀行の規定に沿って処理を進めないといけない。という緊迫感も。
AIが普及したら真っ先に無くなるお仕事かもしれません。人が行う以上どうしてもミスや見落としが発生してしまうから。

こんなん覚えたら簡単やん、繰り返しやし。
と、同期は言ってましたが、私はだんだんその繰り返しと変化の無さが窮屈に感じるようになっていきました。

行員歴20年以上の方も多数いる中で、私も20代30代40代とずっとこの毎日の繰り返しを続けるんだろうか?

そんな問いかけを持ったまま私は派遣から社員となり、6年間勤めます。

仕事内容はどうしても馴染めないところがあったのですが、安定したお給料ときっちり定時に終わり、暦通りの休日。有給も必ず定期的に取らないといけない。という条件はプライベートを充実させるのに好条件でした。

就きたい仕事じゃない。ということがあっても案外視点を変えてみるとメリットが沢山見つかるかもしれません。自ら進んで入ったのではなく、その時の流れで入った知らない世界を体験できることは決して無駄なんかじゃなく、むしろ大きな基盤になるんじゃないかな。と思っています。

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