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広島#1 瀬戸内の新たなアート&建築スポット 下瀬美術館

美術館であり、建築作品でもあり、さらにはそこに泊まれるとなれば、興味をそそられずにはいられない。しかも私の好きな瀬戸内。昨年の開館より気になっていた下瀬美術館は、近くて遠くに感じていた。仕事で広島に前泊か後泊できれば行こうと思っていたがなかなか機会がなく、今回ようやく同業の友人と訪問することができた。

坂茂建築の静かな美術館

工場やホームセンターの並ぶ町外れの国道沿いに、目立つことなく建っている下瀬美術館。背景には瀬戸内海と宮島(注1)が見える。

敷地内に入っても、目の前にあるものしか見えない。どれも背の低い建物ばかり。鏡貼りで風景に溶け込んでしまっているエントランス棟に入ると、鏡とガラスが混じる空間に、集成材の柱から大きく天井が広がっている。

2023年3月に開館した下瀬美術館。コレクションは、西洋・日本の近代絵画からエミール・ガレの作品と、予想以上に充実していた。特別展も含めると、結構な見応えになった。

展示エリアに使用されているのはコンテナみたいな箱。可動式なので、展示によってレイアウトを変えられるようになっているらしい。

エミール・ガレの庭
美術館エリアの外には庭園がある。私が訪れたのは2月の初旬で花は咲いていなかったが、池の水面とガラス壁面の美しいリフレクションが楽しめた。春にはきっとカラフルな景色なのだろう。

望洋テラス

屋上テラスに続くスロープも美しい
コンテナ展示室越しに宮島が見える

紙管の椅子

坂茂といえば紙管。美術館内に置かれた紙管の椅子には座れる。初めて座ったが、思った以上に座り心地というか触り心地がさらっとしていて良かった。

ロゴデザインはデザイナー原研哉

施設内のサインも含め、デザイナーの原研哉さんが手がけられたそうだ。身近なところでは、蔦屋書店やGINZA SIXのロゴも原デザイン研究所によるもの。ちなみに下瀬美術館の英語名はSimose Art Museumと「Si」なのが面白い。

エントランス棟

施設内には10棟のヴィラが建つ。いずれも坂茂が設計したもので、全部で六種類の異なるデザインとなっている。HPで見ると、1泊2名1室分の料金でオールインクルーシブプランなら約30万円、シンプルステイプランなら約25万円。わかってはいたが、6種類全部楽しんでみようとは、夢のまた夢のことになりそうだ。

ガイド目線で見る下瀬美術館

厳島神社から車で20分強、広島市内まででも1時間もかからない。インバウンド的にはかなり好立地な場所に新たなスポットができたと思う。今後間違いなく行程に含まれてくることになりそうだ。

先日ご案内した海外エージェントのゲストは、視察旅行で下瀬美術館のヴィラに宿泊されている。瀬戸内がゆったりとアートを楽しむエリアとして認識され、そのエリアが広がりつつあることがうかがえた。

国道側の向かいにはショッピングモールがあり何かの時に役立ちそうだ。
お客様を案内していると、実はアートに興味が薄めで早く終わり、軽食をとったり、お土産のお菓子を買ったりすることがある。スペイン語やポルトガル語のお客様でたまにある事例。

美術館内にはエントランスエリアにカフェがある。テーブルと椅子が端に置かれている程度のカジュアルなカフェにしては、少し高めの料金設定。他にフレンチレストランもある。

公共交通機関での行き方

最寄駅はJR玖波駅かJR大竹駅からバスで10分、もしくはタクシー。ただし、玖波駅にはタクシーは駅前に停留しておらず、設置の電話で呼ぶ。
また美術館の無料シャトルバスは土日祝運行のようだが、詳細は要確認のこと。

ちなみに私たちは玖波駅から往復歩いた。国道沿いを30分ほど歩くが、散策の楽しい道ではない。

注1)
ガイドながら正しく理解していなかった。島の名前は「宮島」だと思っていたが、地図上では「厳島」の名称で表記される。いずれの名前も使われていて、特に使い分けの基準はないらしい。

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