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罪を背負った男の顔 - 映画「オッペンハイマー」

原爆の話なので見る前は少し怖かった。
なぜなら自分も被爆国の民なので。

普段生活で原爆のことなんてほとんど考えないとはいえ、このようなセンシティブなテーマの映画を見るのには勇気が要ると思った。

海外で作られた映画なので、原爆投下が礼賛されていないとも限らない。

だけど映画ファンとしてはもちろん見ざるを得ない。なにせアカデミー賞受賞作だ。

# 新宿TOHOシネマ

最前列に「フロント リクライニングシート」になっている。東京出張中でやや眠くてリラックスしたいこともありこの席を予約した。席に寝そべりながら優雅に映画を観る体験は一度してみたかった。

だがいざ行ってみるとまったく席にリクライニング感がない。どうやらフルフラットではなく少しだけ後ろに倒れるタイプのようだった。よく探すと席の横にリクライニング用のレバーがついていた。レバーを倒して映画を観ることにした。

# 睡魔

アカデミー賞作品を見ているのに猛烈に眠い。出張とリクライニングシートのせいだ。3時間の映画の前半2時間ぐらいはほとんど眠ってしまっていた気がする。アカデミー賞作品なのに。

だが原爆実験が成功するところ、広島長崎への原爆投下の知らせを聞くところ、オッペンハイマーが消し炭になった子供の遺体を踏む妄想にとらわれるシーン、何回も鳴り響く爆発音、罪悪感に焼かれるアメリカ人たちの歓喜、アインシュタインとの会合など、一番肝要なシーンは見ることが出来た。

とてもちゃんと作品を見たとは言えないのだが、それでも強く印象に残る部分はあった。

# アメリカ人の歓喜

今では多くの日本人は漫画「はだしのげん」を読んだことがあったり、広島の原爆ドームに行ったことがあってりで、原爆投下がどんなに悲惨な被害を生んだのかのイメージぐらいは持っているんじゃないだろうか。

多くの人間がデロデロに溶かされ焼けただれる。この世のものとは思えない地獄だ。僕らはこうして清潔で綺麗な映画館で平和に映画を見ることができるが、当時、原爆で溶かされた人たちはどれほど苦痛だったのだろうか。

そしてもちろん当時のアメリカ人たちもそんなことは知らない。単に悪の敵国に快進撃を与え、勝利を祝っているだけ。純真無垢な気持ちだろう。だがそのコントラストがこの映画では鮮やかに描き出される。オッペンハイマーは原爆の開発者だけあって、原爆投下が現地に何をもたらしたのかは想像がつく、というより誰よりも理解しているのだ。

手が汚れ、罪を背負った男の表情が印象的だった。

# リベンジ

この映画のコアな部分は鑑賞できた気がするとはいえ、前半2時間も眠ってしまったので、これはまたリベンジしなければならない。


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