2019年公開映画ベスト3

今日横浜DeNAベイスターズのドキュメンタリー『For Real 戻らない瞬間、残されるもの』を観て映画館納め(になるはずなので)今年の公開映画のベストを決めます。

今年は劇場で49本。劇場では逃したけれどDVDリリースで観たものが10本ちょっと。(こうやって見るともう一本だけ映画館で見て50本にすればよかった)ベストテン!ってやりたいんだけど母数がそんなに観てないからこの中ですごく印象に残ったベスト3を。

第三位:ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

あらすじ
タイムズスクエアとグランドセントラルの中間にある本館を含む92の図書館に6000万点のコレクションを誇る世界屈指の知の殿堂であり、地域の住民はもちろん、研究者たちへの徹底的なサービスで、世界中の図書館員の憧れの図書館の舞台裏を記録した傑作ドキュメンタリー


全部で200分を超える長時間ドキュメンタリー。図書館を舞台にしたドキュメンタリーだが司書さんに密着しているだけではなく、図書館で行われるあらゆる分野の研究者や作家の講演の映像や、経営陣の会議の映像、図書館で行われるタウンミーティングなどあらゆる事が画面に映っている。テーマもホームレスが増えている問題から人種差別も、情報格差も含んでいまのNYが抱える問題に図書館の方から関わっていく姿勢を崩さない。
その社会に対する図書館の葛藤やその中で出した答えがここでは書かないけれど素晴らしい。あらゆる人があらゆる情報にアクセスできるような環境を限られた予算の中で作ろうとする姿勢を貫いている。ぜひ直接観て確認してほしい。

その分テーマがものすごい速さで切り替わっていくので付いていくので精一杯になってしまうけれど、それが時間が経つにつれて快感になってくる。知的なマラソンでランナーズハイみたいな感覚なのかもしれない。この図書館に関する本があったとしても読むペースは自分自身で決められるからこんなマラソンみたいな事にはならないからこの快感はこういう映画じゃないと体験できないのかもしれない。

三時間超のドキュメンタリーであまりに集中力を使うし、多分僕じゃテレビやPCの画面では持たないと思うので積極的に進められないがここでしかできない体験は間違いなくあるように思える。

第二位:アベンジャーズ/エンドゲーム

あらすじ
最強を超える敵“サノス”によって、アベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命の半分が一瞬で滅ぼされてしまった…。残されたアイアンマンをはじめとするヒーローたちはもう一度集結し、サノスに立ち向かうため、そして世界を救うために最後にして史上最大の戦いに挑む──。


これは何というか言わずもがな。
なんか冷静に分析とかではなくてただただ感情の昂ぶりだけでランクイン。

『インフェニティ・ウォー』を観たときにショックすぎて泣きながら帰ったけれどそれから一年経ってドクター・ストレンジのグルグルが出てきただけで感情がマックスになってまた泣いてしまった。

正直、ツッコみどころも「え?」と思うところも観てすぐはいっぱいあったような気がするけれどもう忘れた。(書きながら思い出した。『ブラックパンサー』のときの釜山はあんなにかっこよく描かれていたのに、本作の東京は何?『ブレードランナー』的なものをどうしても描きたかったのならまぁ、、、とは思わなくもないけどあまりにもダサすぎる。監督が違うから直接比べてもとは思うけど。)

映画館でMCUをちゃんと観始めたのは『ブラックパンサー』位からのような気がするけどそれまでも含めてちゃんと追い続けておいて良かったなと思える映画体験だった。まだの人!もっといいのがこれから来るだろうからMCU、今からでも遅くないよ。


第一位:バーニング 「劇場版」


あらすじ
小説家を目指しながら、バイトで生計を立てるジョンス(ユ・アイン)は、偶然幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)と出会う。ヘミからアフリカ旅行へ行く間、飼っている猫の世話を頼まれるジョンス。旅行から戻ったヘミはアフリカで出会ったという謎の男ベン(スティーブン・ユァン)を紹介する。ある日、ベンはヘミと共にジョンスの家を訪れ、自分の秘密を打ち明ける。“僕は時々ビニールハウスを燃やしています”―。そこから、ジョンスは恐ろしい予感を感じずにはいられなくなるのだった・・・。


村上春樹の短編集『蛍・納屋を焼く』に収録されている『納屋を焼く』の映画化。原作からは大きく脚色を加えたサスペンスかつ恋愛かつ青春映画。

この映画が今年は圧倒的ぶっちぎりのベスト。ものすごい存在感で他の映画を霞ませるような映画だった。

映画としては意味が無さそうで有りそうなシーンの繰り返しなんだけどトータルで見るとすごい物語になってる。ような気がする。
ここまでしか書けないのがすごく恥ずかしいのだけれども映画館で2回、Blu-rayで4,5回見てもよく分からない映画で消化しきれてない。

こんなによく分からない映画なのにどうしてこんなに何度も観るのか疑問だけれども画面の圧倒的な綺麗さと個々のセリフのかっこよさなのだなと思う。(韓国語は分からないけれども字幕がカッコいい)。
『バーニング』の映画評で確実に触れられるところだとは思うけど一月かけて撮ったという中盤の夕暮れのシーンはものすごい力があった。もはや映像の暴力。特にヘミが躍るシーンはカメラが右にパンすると左側に画面が焼き付いているような気がしてもう四角の枠なんて無くなったかのような錯覚に陥った。(上の予告編にも一瞬だけどもそのシーンがあるのでぜひCheck!)
そのあとのジョンスとベンの会話もものすごい素敵。この夕暮れは全シーン良い。

もう一個、何度も観る楽しみとしては劇中ありとあらゆるところにちりばめられた「メタファー」がどういう意味を持っているのか考えるのがものすごく楽しい。一つの「メタファー」の解釈を変えるだけで最終的な映画の解釈が全く変わってしまうような仕掛けがミカンだったり、タバコだったり、時計だったり猫だったり何個も何個もある。ものすごい映画だ。

村上春樹作品の映像化としても一番優れてたんじゃないかと思う。この作品の原作を読んだのは映画を観た後だけどそれまでに読んでいた僕の村上作品のイメージが序盤のベッドシーンに詰まっていた。この遠回しな性的表現とある種の気持ち悪さが短いシーンで表現されてた。ベッドシーンの主なパートがあんなもののアップである映画もAVも絶対ないでしょうと思う。

実は、村上原作から一番大きな脚色はラストシーンである。正確に言うと原作は映画版の途中で終わるとイメージしてもらうといいと思う。
この映画を通して唯一ハッキリとしたシーンで監督の一種の分かりやすくするサービスで監督自身本当にやりたかったのかなとは疑問に思うけど(かといってそんなに分かりやすい訳ではないのだけど)この作品の方向性と空気感を決定付けているように思える。
この空気感を主題にしてるなと思えた映画を先日観た。『パラサイト 半地下の家族』である。あまり書きすぎるとネタバレになってしまうから良くない(これもギリギリアウトかもしれない)けれど年明けに相当話題になるであろうこの映画を観た後でも前でも『バーニング』と合わせるとより楽しめると思う。ちょっと長くて低いテンションで進むけどぜひ観てください。

3本とも・長い・シリーズモノ・ローテンションとあまり人に勧めにくいものになってしまったけれど年末の暇に一本でも、どうぞ。




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