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フクロウ・ノート(10)ヒューリスティクスについて

大学院の1学期目に学んだ重要なポイントのひとつがヒューリスティクス(Heuristics)でした。ちなみにeurekaが語源(ギリシャ語で何かを発見・発明した時に喜ぶ言葉)らしいです。ヒューリスティクスとは、厳密性は欠けるけれど、意思決定をするにあたって経験則や先入観に基づいて難しい問題を簡単な問題に置き換えてサクサク判断することで、正しく使えば迅速な判断につながるというものです。間違って使うと認知バイアスがかかった誤った判断をすることになります。私の担当教授は自分でリストを作って手元に置いて、いつも判断するときに見直しているという話をしてくれました。

ヒューリスティクスの正しい使いかたをマスターすることがなぜ大切かというと、不確実で変化が多い現代には欠かせない判断ツールだからです。

ヒューリスティクスは、情報が多すぎて充分整理できない、逆に意思決定に必要な知識や情報がほぼ無い、そもそも時間がないという場合に存在意義がでてきます。注意点としては、深い思考と正確性が求められる超重要な意思決定には向いていないということです。つまりヒューリスティクスは、解のわからない課題に対してこれまでの経験則に照らし合わせて解決方法をブレスト的に探ったり、超重要な最終意思決定にしっかり脳の負荷と時間を割くために他を効率化するためのツールといったところでしょうか。

ヒューリスティクスには大きく分けて3つあります。一つ目はクリエイティブに発想するためのもの(13種類)、二つ目は問題解決するためのもの(4種類)、三つ目がメタ認知能力を高めるためのもの(11種類)です。表にまとめてみました。

クリエイティブに発想するためのヒューリスティクス(13種類)

どのような使われ方をするのかあった方がわかりやすそうだったので、事例を拾ってみました。

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問題解決するためのヒューリスティクス(4種類)

これは事例がなくても比較的わかりやすいかも。

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メタ認知能力を高めるためのヒューリスティクス(11種類)

メタ認知能力とは「自身の状態を客観的に俯瞰して観察できる能力」でこれができることによって自分の強みや弱みの把握、冷静な状況判断、そして本質を見極める力が鍛えられると言われています。メタ認知能力を高めるためのヒューリスティクスは、自分の状態を冷静に観察するためのチェックリストという印象です。

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またメタ認知を高めるためのヒューリスティクスを語る上でバイアスについて知ることは欠かせません(※バイアスの種類とそれぞれの定義は後述します)。

ちなみにバイアスとヒューリスティクスの違いは、バイアスは誤った認識の結果うまれるもので、ヒュリスティクスは正しい場合も誤っている場合もあるものという点です。似ている点は、両方とも無意識的に発生してしまう傾向があるという点です。これは起きるからダメだということではなくて、脳の仕組みや自分の思考の癖などを理解することでメタ認知能力を高めることに役立てるということに意味があります。

参考:バイアスの種類

ヒューリスティックに関係のありそうなバイアス、ということで習ったバイアスの種類と定義のご紹介です。

確証(confirmation)バイアス:自分の先入観や仮説を肯定するために都合がいい情報ばかりを意識的・無意識的に集めてしまう傾向のこと。

感情(emotional)バイアス:感情によって判断が歪められてしまう傾向のこと。自分の考えと相反する証拠が出てきても、自分は正しいという心地よい感情を欲して方向転換ができなかったり、逆に自分が誤っているという苦痛を伴う厳しい現実を受け入れない傾向のこと。

記憶(memory)バイアス:人の記憶はあいまいなものであるにも関わらず、自分の記憶に残った事柄に偏った判断をしてしまう傾向のこと。

自己中心性(ego-centric)バイアス:自分だけが知っている情報によって、相手の感情や反応を推し量ったり忖度してしまう傾向のこと。

注意バイアス(attentional):あらゆる可能性を検討せずに、どうしても気になってしまった情報に引っ張られた判断をしてしまうこと。


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