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あの曲を弾いて

イングリッド・バーグマン演じるイルザが、サムにこう言うんだ。

そう。
映画『カサブランカ』のワンシーン。

みなさんの頭の中には、あの曲が流れるだろう。
実際、サムがピアノで弾いた曲もそれだ。

As Time Goes By

そこにボギーが早足にやってくる。
ハンフリー・ボガートだ。
映画の中ではリック。

その曲は弾くな!と。

ボギー、あんたの時代はよかったよ


かつてパリで熱烈な恋に落ちたリックとイルザ。

すれ違ったまま、リックの営むナイト・クラブで再会を果たすも、真実を知らないリックは彼女を、彼女との思い出を受けつけない。受けつけられない。

あの曲を弾いて、サム。
歌って。

As Time Goes By(ポロン♪)


違う!

私が聴きたいのはこれじゃないんだ!

いやカサブランカと言えばこれですよ。

でもですね、劇中でね、サムが弾くあの陽気なジャズが聴きたいのよ私は!

軽快なリズムでピアノを弾きながら、サムが足で床をトントントン!ってするのよ。

『カサブランカ』を初めて見たのは高校生の時。

NHKで「世界名作劇場」というのをやっていて、その一回目が『カサブランカ』だった。

モノクロの画面からでも伝わるイングリッド・バーグマンの美しさに、文字通り息をのんだ。

ロバート・キャパとのロマンスも


こんな綺麗な人がいるんだぁ。

吹き替えじゃなく、粗い字幕だったのもなんかかっこよくて。

話がそれたけれど、
その時のサムのあの曲。
とてもワクワクした。胸が躍った。

あの曲を弾いて、サム。

トントントン!


あれはなんて言う曲なの?


切ないラブストーリーを越えて、

わお!

「君の瞳に乾杯」

ボギーの、いやリックの、この名セリフも越えるほどに、私はあの曲に魅了された。

もう一度言うわ。

あの曲を弾いて、サム。
歌って。

え?
Blu-rayでも借りて来い?

そうね。
それもいいかもね……🍸





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