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おひとり様

先月、3年ぶりにカラオケに行った。
1人で。

以前は、すぐ近くのショッピングセンターの3階に行きつけのカラオケ店があり、お買い物の前などによく立ち寄ったものだ。
1時間ワンドリンクでワンコイン。
ちょっとしたストレス解消にうってつけだった。
途中から機材がランクアップし、ワンコインでは済まなくなったが、それでも700円。
パート主婦にとっては罪悪感のない、素晴らしい1人遊びだった。

開店当時からいると言うベテランスタッフのサトウさんとは顔馴染みになり、お互い名字で呼び合っていた。

「あら、とらふぐさん!今日はどうする?」
「あ、1時間で」
いつものように首をすくめて人差し指を立てる。

部屋が空いてない時は、パーティールームを用意してくれた。
中は想像以上に広く、特設ステージにミラーボール、画面が3箇所もあった。
一瞬ひるんだが、せっかくなのでミラーボールを回し、ステージにも立ってみた。20席ほどある椅子はどこでも座り放題。左→真ん中→右と、3つの画面を歌いながら渡り歩き、最後にもう一度ステージへ。
ディナーショーさながらにヒトカラを楽しんだ。
タンバリンなんかも使ってみたりして。

そんな行きつけのカラオケ店は、流行りやまいで臨時休業となり、そのまま再開することなく閉店してしまった。
サトウさんと別の階で会ったりしたが、その度に2人で閉店を残念がった。

3年ぶりに行ったお店は、かなり広い有名チェーン店。場所も少し遠く、自転車で緩い坂を1つ越えなければいけない。

今までと違って電話で事前予約をし、少し緊張しながら受付を済ませた。  

「おひとり様で」

と確認される。


ここはドリンクバーだったので、部屋へ入る前に3杯くらいドリンクを持って行った。1時間だからね。いちいち取りに来る手間は省く。

案内された小さな部屋。
周りからは若者たちの絶叫が漏れ聞こえてくる。
以前通っていたお店は、若者はほとんおらず、私より年上の方々が多く利用されていた。さながら老人会の溜まり場のようだった。だから1人でも躊躇なく入れた。

ここはやはりちょっと気後れしたが、曲が入るともう歌うしかない。
誰が見るわけでもなし。久々に歌い散らかした。
原曲キーで歌うのがセオリー。
が、声はなかなか伸びず、すぐに裏返った。やはり日頃の鍛錬は大事だ。
ロックな曲が続き、喉が潰れそうになる。

途中ヒゲダンなんかにも挑戦してみた。
silentの主題歌だったやつ。
むふーと鼻息。なんかチカラ入っちゃったな(照れ)

やっと調子が出て来たぞ!と言う頃にはもうお時間10分前になっていて、慎重に締めの曲を選んだ。

はぁ〜、今日はこれくらいにしとくか!と、簡単に片付けをし、部屋を出る。
受付で澄まして清算をしたが、やはり少し気恥ずかしかった。

楽しかった。が、歌い始め=りは全部失敗した。ことごとく出遅れた。残念だ。帰って原曲を聴き直さねば。

自転車置き場に着いたところで子からメールが来た。
お金の無心だった。

そのあとお腹を下した。

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